「なごり雪」(なごりゆき)は、伊勢正三が作詞・作曲したかぐや姫の楽曲。イルカによるカバー・バージョンがヒットを記録し、世代を超えて歌い継がれている。
「なごり雪」 | ||||
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かぐや姫の歌 | ||||
収録アルバム | 『三階建の詩』 | |||
リリース | 1974年3月12日 | |||
規格 | (LP) | |||
時間 | 3分13秒 | |||
レーベル | PANAM(日本クラウン) | |||
作詞者 | 伊勢正三 | |||
作曲者 | 伊勢正三 | |||
その他収録アルバム | ||||
かぐや姫フォーエバーDisc 2(10) Best Dreamin'Disc 2(18) (かぐや姫ベスト・ドリーミン・コンサート)(17) | ||||
#イルカのカバー #伊勢正三のセルフカバー #その他のカバー | ||||
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概要
1974年3月12日、かぐや姫のアルバム『三階建の詩』の収録曲として発表された。オリコンアルバムチャート1位、年間5位。
歌詞には「東京」の文言が出てくるが、伊勢本人は出身地である大分県津久見市の津久見駅をモチーフにしたと語っている[1]。
翌1975年8月の吉田拓郎・かぐや姫 コンサート インつま恋でも歌唱され、同DVDにて視聴することができる。
同年11月にシングル発売されたイルカによるカバーバージョンがヒットを収め、以降、日本の早春を代表する歌の一つとして歌い継がれ、さまざまなアーティストによってカバーされている。
2002年にはこの歌の世界観に対する独自の解釈に基づき、大林宣彦監督が大分県臼杵市でロケを行い『なごり雪』として映画化した[1]。
2005年、第56回NHK紅白歌合戦の「スキウタ」アンケートで白組18位にランクインされた。
2009年10月24日から[2]JR九州の津久見駅で接近メロディとして「なごり雪」のメロディが使用されている。当初は特急発着時に流されていたが[3]、2020年11月現在では特急「にちりん」等の列車の入線前に流されている[4]。また、2010年3月には同駅に、歌詞の一部と伊勢が津久見駅に寄せた文とを刻んだ2枚の石板が並んだ記念碑が設置されている[4][3]。
2013年に日本気象協会が選定した「季節のことば36選」で、3月のことばの一つに「なごり雪」が選ばれた[5]。これを知った伊勢は「ものすごくうれしかった。実はこの曲を発表した当時、なごり雪という言葉は存在しなかった。勝手にこんな言葉を作られては日本語の乱れを助長する。『名残の雪』に変えたらどうだとまで言われた。作り手としては<の>はどうしても入れたくなかった。曲はヒットしたがモヤモヤは残った。あれから40年近くたって気象協会の<季節のことば>に選ばれたと聞き、胸のつかえが下りた気分」と語っている[6]。
カバー
イルカのカバー
「なごり雪」 | ||||
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イルカ の シングル | ||||
初出アルバム『夢の人』 | ||||
B面 | ラバーボール | |||
リリース | ||||
ジャンル | フォーク | |||
時間 | ||||
レーベル | PANAM(日本クラウン) | |||
チャート最高順位 | ||||
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イルカ シングル 年表 | ||||
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1975年11月、イルカの歌によるカバーバージョンがシングルとして発売。翌1976年に掛けて、オリコンの集計で55万枚近いセールスを記録した。累計売上は80万枚[7]。自身のシングルとしては最大の売上を記録した。
このシングル盤は編曲が松任谷正隆、アコースティックギターは吉川忠英、エレキギターは鈴木茂、ベースは(宮下恵補)、ドラムは村上秀一の演奏によってレコーディングされた[8]。
オリジナルとは一部のメロディが異なる。※イルカバージョンは最後の「綺麗に」から「なった」までを溜める。
収録曲
- なごり雪
- 作詞・作曲:伊勢正三/編曲:松任谷正隆
- ラバーボール
- 作詞・作曲:イルカ/編曲:石川鷹彦
伊勢正三のセルフカバー
2002年、上述の映画「なごり雪」のサウンドトラックのために伊勢正三が再録音、シングルとして発売された。
またなごみーず(伊勢・太田裕美・大野真澄(元・ガロ)によるユニット) では、コンサートで度々伊勢のギター伴奏で太田が歌っている。
収録曲
- 両曲とも、作詞・作曲:伊勢正三
- なごり雪 -opening version-
- なごり雪 -ending version-
メディアでの使用
- 1976年に清水由貴子が、日本テレビ系列『スター誕生!』の第16回決戦大会で「なごり雪」を歌って合格、翌1977年に清水はアイドル歌手として芸能界デビューを果たした。
- 1982年 榊原郁恵(第33回NHK紅白歌合戦にてカバー)
- 1990年 日本ビクター(「ムービーごっこ」ビデオカメラCM曲、福山雅治)
- 2010年 養命酒製造(「ハーブの恵み」TVCMソング、元ちとせ&秦基博)
- 2011年 田島貴男(養命酒製造「ハーブの恵み」CMソングとして歌われる。
その他のカバー
- 1976年 天地真理(アルバム『私は天地真理』に収録)
- 1976年 岩崎宏美(ライブアルバム『ロマンティック・コンサートⅡ〜ちいさな愛の1ページ』に収録)
- 1977年 新沼謙治(アルバム『地図のない青春 新沼謙治III』に収録)
- 1978年 五木ひろし(アルバム『ひろしとギター 4』に収録)
- 1978年 ビューティ・ペア(アルバム『〈スター・マイ・セレクション・シリーズ〉ビューティ・ペア』に収録)
- 1992年 Mi-Ke(アルバム『忘れじのフォーク・白い2白いサンゴ礁』に収録)
- 1993年 永田真代(シングル『なごり雪』に収録)
- 1994年 裕木奈江(アルバム『ever green 〜Best〜』に収録)
- 1994年 永井みゆき(アルバム『全曲集'95~応援歌でヨイショ』に収録)
- 1998年 鈴木真仁(アルバム『いちご白書をもう一度』に収録)
- 1999年 結城比呂(アルバム『時の断層』に収録)
- 2000年 七緒香(アルバム『はじまりのうた』に収録)
- 2000年 岡村靖幸(シングル「真夜中のサイクリング」に収録)
- 2001年 市井紗耶香(アルバム『FOLK SONGS』に収録)
- 2002年 チェウニ(アルバム『Tokyo・トーキョー・東京』に収録)
- 2002年 新垣勉(アルバム『出逢い~我が心の歌~』に収録)
- 2003年 ビリケン(「nagoriyuki」としてシングルに収録)
- 2003年 JINDOU(シングル「なごり雪」に収録)
- 2003年 (アルバム『温故知新』に収録)
- 2004年 松浦亜弥(アルバム『FS5〜卒業〜』に収録)
- 2004年 ketchup mania(アルバム『GAL盤』『THE BEST OF ketchup mania』に収録)
- 2004年 0108(音羽ゆりかご会)(コンピレーション・アルバム『想い出がいっぱい 〜旅立ちの日に3〜』(キング KICS-1063)に収録)
- 2005年 高橋直純 (アルバム『scene〜残したい風景〜』に収録)
- 2005年 Ryu(ミニアルバム『ユメ-襟を濡らす涙』に収録)
- 2005年 平原綾香(アルバム『From To』に収録)
- 2005年 石川ひとみ(アルバム『With みんなの一五一会〜フォークソング編』に収録)
- 2006年 徳永英明(アルバム『VOCALIST 2』に収録)
- 2006年 ムック(限定配布アルバム『COVER PARADE』に収録)
- 2006年 神園さやか(アルバム『二十歳の原点』に収録)
- 2006年 嘉門達夫(替え歌「なごり寿司」としてアルバム『笑撃王』に収録)
- 2007年 Kat McDowell(「ナゴリユキ」としてミニアルバム『kat』等に収録)
- 2007年 リュ・シウォン(シングル「(花の首飾り)」に収録)
- 2007年 夏川りみ(配信限定アルバム『歌さがし 〜リクエストカバーアルバム〜』に収録)
- 2008年 中孝介(シングル「春」に収録)
- 2008年 鬼束ちひろ(ライブDVD『NINE DIRTS AND SNOW WHITE FLICKERS』に収録)
- 2009年 坂本冬美(アルバム『Love Songs 〜また君に恋してる〜』に収録)
- 2009年 Scott Murphy(アルバム『Guilty Pleasures LOVE』に収録)
- 2009年 ダンカン・レッドモンズ(アルバム『Up And At 'Em』に収録)
- 2009年 中西保志(アルバム『メロディーズ』に収録)
- 2009年 中森明菜(アルバム『フォーク・ソング2 〜歌姫哀翔歌』に収録)
- 2009年 岡平健治(アルバム『I LOVE GM』に収録)
- 2009年 (遠藤由美)(配信限定)
- 2010年 松原健之(アルバム『旅立つ季節に』に収録)
- 2011年 田島貴男(養命酒製造「ハーブの恵み」CMソングとして歌われる。アルバム『白熱』にボーナス・トラックとして収録)
- 2011年 蘭華(アルバム『昭和を詠う〜大切なものへ〜』収録。BELLWOOD RECORDS BZCS-1083。編曲:綾部健三郎)
- 2012年 河村隆一(カヴァーアルバム『The Voice 2』に収録)
- 2013年 有安杏果(ももいろクローバーZ)with南こうせつ (アルバム『5TH DIMENSION』初回限定盤Aに収録)
- 2013年 森恵(カバーアルバム『RE:MAKE1』に収録)
- 2013年 岩佐美咲(アルバム『リクエスト・カバーズ』に収録)
- 2014年 桑田佳祐(ライブ・ビデオ『昭和八十八年度! 第二回ひとり紅白歌合戦』に収録)
- 2014年 吉幾三(カバーアルバム『あの頃の青春を詩う vol.2』に収録)
- 2014年 平井堅(カバー・アルバム『Ken's Bar III』初回生産限定盤AのDVDに収録)
- 2014年 リン・ユーチュン(アルバム『WINTER GIFT ~リン君からの贈り物~』に収録)
- 2015年 PENICILLIN(カバー・アルバム『Memoriese~Japanese Masterpieces~』に収録)
- 2015年 川野夏美(アルバム『フォーク・ソングス ~唄い継ぐ、未来へ~』に収録)
- 2016年 仮面女子[9]
- 2017年 岩佐美咲(シングル『鯖街道(通常盤)』にアコースティックバージョン収録)
- 2017年 津吹みゆ(ミニアルバム『望郷こころ歌 Vol.2 ~永遠の名曲選~』に収録)
- 2017年 城南海(カバーアルバム『ユキマチヅキ』に収録)
- 2017年 山田姉妹(カバー アルバム『あなた 〜よみがえる青春のメロディー』に収録)
- 2018年 丸本莉子(「なごり寿司」の歌詞でカバー[10])
- 2018年 豊崎愛生(カバーアルバム『AT living』に収録[11])
- 2019年 Toshl(カバーアルバム『IM A SINGER VOL.2』に収録)
- 2020年 n/(配信アルバム『Best Practice 1 -Cover Songs Selection-』に収録)
- 2020年 木山裕策(アルバム『花 麗しき日本の愛唱歌』に収録)
- 2021年 太田克樹(シングル「流れ星」に収録)
- 2021年 さだまさし(カバーアルバム『(アオハル49.69)』に収録[12])
- その他
メディアでの使用
- おやじの背中 第3話「なごり雪」(2014年7月27日、TBS) - 挿入歌
脚注
- ^ a b “”. うたの旅人. BS朝日. 2018年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月28日閲覧。
- ^ “” (PDF). 津久見市役所. p. 2. 2020年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月28日閲覧。
- ^ a b . 大分合同新聞. (2010年3月13日). オリジナルの2010年3月23日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b . 西日本新聞: p. 2. (2020年11月27日). オリジナルの2020年11月26日時点におけるアーカイブ。2020年11月27日閲覧。
- ^ “”. web.archive.org (2014年10月18日). 2020年3月15日閲覧。
- ^ 梶原しげる (2013年11月7日). “”. BPnetビズカレッジ. nikkei BPnet 〈日経BPネット〉. 2013年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年3月15日閲覧。
- ^ 『産経新聞』1996年5月13日付東京夕刊
- ^ BS12 Twellv『GUITAR STORIES』#17吉川忠英編 2011年11月13日放送
- ^ https://www.youtube.com/watch?v=Ax8im581qTc
- ^ 丸本莉子、カバー曲「なごり寿司」MV公開 安田大サーカス クロちゃんがホステス嬢を口説く、リアルサウンド、2018年2月3日。
- ^ “豊崎愛生くつろぎカバー集でユーミン、はっぴいえんど、大滝、RCの名曲歌う”. 音楽ナタリー (2018年9月19日). 2018年10月11日閲覧。
- ^ “さだまさし、カバーアルバムで伝えるフォークソングの普遍性 時代を超えて今に響くメッセージの本質”. 音楽リアルサウンド (2021年10月27日). 2021年11月22日閲覧。