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В

В, в は、キリル文字のひとつ。ギリシャ文字Β(ベータ)に由来し、ラテン文字B大文字が同形であるが、発音はラテン文字の V に相当する。また、小文字は大文字をそのまま小さくした形である。ラテン文字の B に相当する文字は、Б である(由来は同じ)。

対応するグラゴル文字 (ヴェディ)である。

由来

ギリシア文字Β(ベータ)に由来する。ベータは古ギリシア語で [b] と発音され、新ギリシア語で [v] と発音された。ベータはフェニキア語𐤁(ベート)に起源を持つ。

呼称

音素

原則として [v]有声唇歯摩擦音)を表す。ただし、摩擦力は西欧語より弱い様で、[w]有声両唇軟口蓋接近音)にも聞こえることがある。そのためか、日本語ではしばしばワ行に転写される。また、日本語のワなどをキリル文字に転写する場合も、近似音としてこの文字を使うことが多い。(例:ウィキペディア→Википедия、和歌山→Вакаяма

  • ロシア語やブルガリア語では、無声子音の前や語尾に位置した場合に原則として無声化する。日本語では、[v] で表される場合は「ヴァ」行、[f] になる場合は「フ」で表す。但し、これはこの文字に限った話ではないが、「ヴァ」の音はワ行やバ行で表されることがある。
  • ウクライナ語では原則として無声化しない(東ウクライナ)からではロシア語同様無声化する場合が多い。基本的には母音を伴う場合は [v]、それ以外はどの位置にあっても [w] となる。これは、ベラルーシ語の ў に用法的にも発音的にも合致する。ただし、地域によって発音の差は大きい。キエフなど(中部ウクライナ)ではすべての場合において [ʋ] と発音されることが多く、(東ウクライナ)ではロシア語同様無声化する場合もある。東ウクライナや西ウクライナでは [v][w] を併用する原則どおりの発音である場合が多い。日本語転写では、[v] で表される場合は「ヴァ」行、[w] で表される場合は「ウ」(ワ行)で表すことになるが、中部ウクライナの発音に沿ってすべて「ヴァ」行で表すことも稀に見られる。ロシア語の「フ」と異なる[1]

アルファベット上の位置

ウクライナ語、セルビア語、ブルガリア語、ベラルーシ語、マケドニア語、ロシア語の第3字母である。

Вに関わる諸事項

ロシア語では単体で、後ろに対格を伴って「~の中へ」という意味の前置詞を表す。また、後ろに前置格を伴うと場所を表す前置詞になる。

ギリシャ語から語彙を借用する際、ラテン文字を用いる言語では「β」を古典ギリシャ語に基づいて "b" で表すが、キリル文字圏では「в」で表した。しかし、比較的新しい西欧経由で伝わった語彙に関しては「б」で表す。

  • символ/英語: symbol(シンボル)
  • био-/英語: bio-(「生命、生物」の意の接頭語)

符号位置

大文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 小文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
В U+0412 1-7-3 В
В
в U+0432 1-7-51 в
в

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Орфоепічний словник / Укладач М. І. Погрібний — К.: Радянська школа, 1984

参考文献

  • (ウクライナ語) Сучасна українська мова / О. Д. Понаморів, В. В. Різун та ін.; За ред. О. Д. Понаморева. — 2-ге вид., перероб. — К.: Либідь, 2001.(O・ポノマリーウ編『現代ウクライナ語』第2版、キエフ、2001)
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