ニッポノサウルス(Nipponosaurus sachalinensis)は、1934年(昭和9年)に、樺太豊栄郡川上村で発見されたハドロサウルス科の恐竜。白亜紀後期の約8,300万 - 8,000万年前とされる地層より出土した。ヒパクロサウルス属に近縁と考えられている[1]。ニッポンリュウ(日本竜)とも呼ばれる。
発見
化石は、三井鉱山川上炭鉱施設内の病院建設現場から発見された。命名者は北海道大学教授、長尾巧[2]。発掘された化石は頭骨の一部、骨盤、腰椎、後脚など、全身の約40%[3]が得られている。産出層は白亜紀に形成された海成層であり、死後、死体が海浜に移動したか、海岸で死亡したとされている。日本人によって研究、記載されたはじめての恐竜である。模式標本は北海道大学に保管され、復元骨格は北海道大学総合博物館と国立科学博物館に展示されている。しかし第二次世界大戦でソビエト連邦に占領された事が原因で発見地は「ロシア」と表記されている。
形態
体長約4メートル、体重1トン程と推定される[4]。大腿骨遠位部(膝関節側)には腱を通すための溝が深くトンネル状になっており、腱が抜けない様になっていた[5]。これは、高速走行に適した形態であったと推定されている。[6]また、坐骨先端の突起から、ランベオサウルス亜科に近縁と判断された[2]。