この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
裁判所法(さいばんしょほう、昭和22年法律第59号)は、裁判所(最高裁判所・下級裁判所)の組織、裁判官などの裁判所職員や司法修習生の任免、任命資格、裁判事務の取扱等を定めた日本の法律。1947年4月16日公布、5月3日施行。
予審制等の廃止
前身法は、大日本帝国憲法前日公布の裁判所構成法(1890年2月10日公布、11月1日施行)。
敗戦時の最上級審は、司法省(のちの法務省)が所管していた大審院で[1]、法律としては判事懲戒法及び行政裁判法、行政庁ノ違法処分ニ関スル行政裁判ノ件(明治23年法律第106号)、裁判所構成法中改正(大正2年法律第6号)、(樺太の)裁判所の設立に関する件(昭和13年法律第11号)などがあった[2][3][4][5]。
また刑事手続では、大正11年刑訴法の起訴便宜主義と、地方裁判所の予備審問の制度、警察による違警罪即決例が共存していた。
戦後、極東委員会の占領政策の下、日本国憲法発布の前段階として、憲法第76条の「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」の規定に基づき裁判所法及び裁判所法施行法が施行された。 帝国議会衆議院は1947年3月17日に裁判所法案を可決した際、「官僚独善の弊害の打破」の付帯決議を行った[6]。
一、 裁判所は、憲法が国民に対し保障せる、人権尊重の精神に徹し、官僚独善の弊風を打破し、形式主義を排除し、真に国民の信頼に応うる裁判民主化のために努力すべし。
一、 陪審制度に関しては、単に公判陪審に止まらず、起訴陪審をも考慮するとともに、民事に関する陪審制度に対しても十分なる研究を為すべし。
一方、同時に公布された裁判所法施行法(昭和22年法律第60号)によって違警罪即決例、予備審問制度・判事懲戒法が廃止され、刑事訴訟法が規定していた起訴便宜主義のみが残存した。
概説
第12条は司法行政事務として、「最高裁判所が司法行政事務を行うのは、裁判官会議の議によるものとし、最高裁判所長官が、これを総括する」と定めている。
第48条は裁判官の身分保障について、「裁判官は、公の弾劾又は国民の審査に関する法律による場合及び別に法律で定めるところにより心身の故障のために職務を執ることができないと裁判された場合を除いては、その意思に反して、免官、転官、転所、職務の停止又は報酬の減額をされることはない』と規定して、これに基づき裁判官の報酬等に関する法律や懲戒処分の手続が設定されている。
構成
改正
- (平成15年法律第128号)
- (平成16年法律第8号)
- 裁判所法の一部を改正する法律(平成29年法律第23号)
関連項目
参考文献
- 3月17日帝国議会衆議院『付帯決議』官報〈帝国議会衆議院議事速記録第20号〉、1947年、310頁 。
脚注
- 出典
外部リンク
- 裁判所法 - 日本法令外国語訳データベース
- 『(裁判所法)』 - コトバンク