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YM3812(FM Operator type - L2、OPL2)は1985年に日本楽器製造(現・ヤマハ)が開発したFM音源チップである。 YM3526(OPL)の直接の後継品で、YM3526に対して電気的にも物理的にも完全な後方互換性を有している。
概要
YM3526は1chあたり2オペレータで音色を作るため、オペレータの組み合わせ(アルゴリズムと呼ぶ)が直列か並列の2通りしか無く、また並列の場合は一方のオペレータがただの正弦波のみとなってしまい、簡便さと引き替えに音作りの幅が狭くなっていた。 これを補うため、それまでのFM音源では正弦波固定だった原波形を4種類から選べるようにして、単純なアルゴリズムでも複雑な変調波が得られるようになっている。
ヤマハのFM音源では、もともと原波形の正弦波をチップ内部のROMにテーブルとして保持しており、波形出力時にテーブルを参照するインデックスの値を連続的に増減することで変調効果を得ていた。そのため、原波形のテーブルを複数保持することで容易に波形の切り替えを実現することができた。この方式は実装コストの割に効果は絶大で、以後のFM音源チップにも積極的に取り入れられ[1]、後の(AFM音源)やAWM音源にも繋がる技術となった。また、ヤマハの(ポータトーン)や(ポータサウンド)シリーズの一部モデルに搭載されるなど、楽器向けとしても十分な性能を発揮することができた。
OPL2の発売に伴い、前年に発売されたばかりのOPLは早々に廃番となった。 初期状態では波形選択機能は無効にされており、ソフトウェア的にも完全にOPLと同等となるため、OPLを採用した製品でも容易にリプレースすることができた。[2]
搭載されたパーソナルコンピュータおよび周辺機器
- (AdLib Music Synthesizer Card) Ad Lib, Inc.製のISAバス用サウンドカード。YM3812を1個搭載していた。以後、PC用サウンドのデファクトスタンダードとなった。
- Sound Blasterシリーズ クリエイティブメディア製のISAバス用サウンドカード。AdLib相当の機能に同社の以前の製品(Game Blaster)と同等のゲームポートおよびPCMを追加した物で、AdLibを駆逐して新たなスタンダードとなった。
使用されたアーケードゲーム
脚注
- ^ (YM2414)(OPZ)では、同様の仕組みで8種類の波形を使用できる。また、後継チップのYMF262(OPL3)でも波形の種類が8種類に増加した。
- ^ ただし、後継品の供給が間に合わず、まったく別の音源とソフトウェアで代替した例(テラクレスタ)がある。
- ^ 株式会社インプレス (2017年4月28日). “M2 Shot Triggers「弾銃フィーバロン」インタビュー前編 19年ぶりの“フィーバー!”ディスコサウンド彩る異色のSTGが本日配信!”. GAME Watch. 2020年9月26日閲覧。