EtherCATはEthernet for Control Automation Technologyの略である。ドイツ企業、ベッコフオートメーション(Beckhoff Automation)によって開発されたイーサネットに基づく(フィールドバス)システムである。EtherCATの開発目標は、同期のために実時間(real time)処理が可能な低い通信ジッターで、短いデータ更新時間(cycle time)を必要とする自動化機器に、小さなデータをイーサネットを使い低いハードウェア費用で適用することである[1]。
概要
自動化機械(automation)で使用する通信機器(device)はデジタルやアナログ入出力であり、モーション用の高機能なデバイスでも1つの通信機器で必要なデータは10バイト程度となる。このデータ通信単位はイーサネットフレームの最小サイズよりも小さい。産業用のネットワークではコントローラ(PLC)と通信ユニット(マスタ)が機能デバイス(スレーブ)に対して1対多通信を行う。このため、1スレーブに1フレームのデータを送信するとイーサネットではプロトコルによるオーバーヘッドが通信帯域の大部分を占めることになり、帯域を無駄に消費することになる。 EtherCATはこの解決手段として、論理的にリングネットワークに接続したデバイスにコントローラが1つのイーサネットフレームで全てのスレーブあてのデータを送信し、かつスレーブは受信フレームを「(オンザフライ)」を行うとともに、時刻同期機能を実現している。
プロトコル
EtherCATの通信プロトコルはIEEE 802.3のイーサネット規格に準拠し、イーサタイプ(イーサネットヘッダーにおいてLANフレームが運ぶ上位プロトコルの識別子を格納するフィールド)0x88a4を使用し、データリンク層はEtherCATスレーブコントローラが処理する。アプリケーション層の代表的なプロトコルはCAN application over EtherCAT(CoE)であり、EtherCATスレーブコントローラに接続したマイクロコントローラ上のソフトウェアとして実装する。
EtherCAT Technology Group
EtherCATはEtherCAT Technology Group(2003年に設立)(略してETG)により機能要件や認証などが規定されている。ETGの加盟企業は世界では2400社程度である[2]。 ETGはドイツのニュルンベルクに本部を置き、東京、北京(中国)、ソウル(韓国)、オースティン・テキサス(米国)に支部を持つ 。会費無料等、入会条件が緩いため近年会員数が増加している。
脚注
関連項目
外部リンク
- EtherCAT Technology Group
- ベッコフオートメーション株式会社