用途
中世頃までは黄色顔料として広く利用されていた。各地に産するが毒性があり、その供給に限りがあるため、今日では顧みられない。純度の高いものは、輝きのある冴えたレモン色を呈する。普通には橙黄色~黄褐色を呈する。古画にあっては、荒粒で用いられ、現在でも豊かな黄色を保っている。しばしば、近い関係にある鶏冠石 (リアルガー) を含んでいる。古代ローマ時代のプリニウスやウィトルウィウスが言及している、古典時代から使用された顔料であり、黄鉛が発明されるまでは黄色の顔料として絵画に利用されていた。ティツィアーノのバッカスとアリアドネ (1520〜1523年) などに印象的な使われ方を見る事ができる[3]。
毒性のために現在ではほとんど利用されていないが、雄黄色という言葉として残っている。
中医学では解毒剤や抗炎症剤として利用されているが、鶏冠石(realgar、As4S4)との混同が見受けられ、鉱物としてどちらであるかは定かではない。なお、中国語では鶏冠石を「雄黄」、日本語で言う雄黄 (orpiment) を「雌黄」という[4]。
毒性と取り扱い
雄黄の毒性はヒ素によるものだが、ヒ素単体よりも水溶性が高いため、劇物とは言われないが人体に対する毒性は強く、毒物として法令で指定されている[5]。保護眼鏡と手袋を使い、また粉塵を吸い込まないようマスクをするなどして、塊でも粉体でも人体に直接に触れる事のないように取り扱う。保存には専用の容器を用意し、また飲食をする場所に持ち込むべきではない。容器外に飛散したり環境中に放出される事は厳に防ぐべきである。
脚注
- ^ 文部省学術奨励審議会学術用語分科審議会編 『学術用語集 採鉱ヤ金学編』 (日本鉱業会)、1954年。(J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター)
- ^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、(ISBN 4-8181-8401-2)。
- ^ Lucas and Plesters, Bacchus and Ariadne, National Gallery Technical Bulletin, Vol. 2, p. 25-47 (1978) 中の p. 41
- ^ 地学団体研究会地学事典編集委員会編 『地学事典 増補改訂版』 平凡社、1981年、(ISBN 4-582-11501-2)。
- ^ [1] 毒物及び劇物取締法 別表 第一条 23
関連項目
参考文献
外部リンク
- Orpiment(mindat.org)
- Orpiment Mineral Data(webmineral.com)