「金の斧」(きんのおの)あるいは「ヘルメースときこり」は、イソップ寓話のひとつで、正直であることが最善の策であるという教訓の物語である。
あらすじ
正直なきこりが斧を川に落としてしまい嘆いていると、ヘルメース神が現れて川に潜り、金の斧を拾ってきて、きこりが落としたのはこの金の斧かと尋ねた。きこりが違うと答えると、ヘルメースは次に銀の斧を拾ってきたが、きこりはそれも違うと答えた。最後に鉄の斧を拾ってくると、きこりはそれが自分の斧だと答えた。ヘルメースはきこりの正直さに感心して、三本すべてをきこりに与えた。
それを知った欲張りな別のきこりは斧をわざと川に落とした。ヘルメースが金の斧を拾って同じように尋ねると、そのきこりはそれが自分の斧だと答えた。しかしヘルメースは嘘をついたきこりには斧を渡さなかった。欲張りなきこりは金の斧を手に入れるどころか自分の斧を失うことになった。
類話
日本では当初ヘルメース神を水神と訳したためか、これを女神とすることが児童書などで一般的となっている[1]。
脚注
- ^ 三宅興子「『金の斧、銀の斧』の神さまの姿」『イソップ絵本はどこからきたのか』三弥井書店、2019年。