『蛮書』(ばんしょ)は、唐の樊綽(はんしゃく)による雲南の地誌。『雲南志』『雲南史記』などとも呼ばれる。全10巻。現行本は輯逸書である。
成立・テクスト
南詔王の世隆は(大礼国)の皇帝を名乗り、咸通3年(862年)に安南に侵入した。南詔に対抗するために安南経略使として(蔡襲)が赴任した[1]。樊綽は蔡襲の幕僚であり、雲南各地の地理や風俗を記録し、10巻の書物にまとめた[2]。翌年、南詔は再び安南を攻撃して交趾を陥落させ、蔡襲は死んだが、樊綽は辛くも逃がれた[1]。
『蛮書』は明代にいったん失われ、清代に四庫全書を編纂するとき『永楽大典』から輯逸したが、文義の通じない箇所が残った[3]。
現代中国では向達『蛮書校注』(中華書局1962)、方国瑜主編『雲南史料叢刊』巻2所収の『雲南志』(雲南大学出版社1998)がある[4]。
構成
- 雲南界内途程
- 山川江源
- 六詔
- 名類
- 六𧸘[5]
- 雲南城鎮
- 雲南管内物産
- 蛮夷風俗
- 南蛮条教
- 南蛮疆界接連諸番夷国名
非漢族の言語に関する記載
脚注
関連文献
- 武内剛、林謙一郎編「「蛮書」索引」『南方文化』第15巻、1988年、163-185頁。
外部リンク
- 林謙一郎『雲南・東南アジアに関する漢籍史料』雲南地方史研究室(名古屋大学) 。