腐敗槽(ふはいそう)は、簡易な生活排水処理技術の一種。英語ではセプティック・タンク(ST、Septic tank)という[1]。
腐敗槽(セプティック・タンク)はフランスで19世紀末に発明された排水処理技術で、東南アジアやアメリカ合衆国などのトイレが湿式(水洗トイレ)の地域において簡易な汚水処理装置として普及している[1][2]。
構造
腐敗槽は浄化槽と同じく排水を発生場所で処理する分散処理のため住戸ごとに設置される[1][2]。2室以上の処理槽を連結した構造で沈殿分離及び嫌気性微生物によって処理水を分解する[1]。隣接する槽の底部は閉鎖されている形式と開放している形式があり、閉鎖されている形式の腐敗槽では上部から側溝などに放流し、開放されている形式の腐敗槽では地下浸透させる[1]。
問題点
腐敗槽のBOD除去率は50%程度で日本で開発された浄化槽に比べると処理性能は低い[1]。堆積する汚泥の引き抜きが定期的かつ適切に行われていないために所期の性能を発揮できていないことも多いとされている[1]。また、処理槽の底が開放された形式の腐敗槽では汚泥の堆積を放置したことに伴う地下水汚染などの環境汚染も指摘されている[1]。