礫(䃯、れき、つぶて、こいし)は、小さい石、小石である[1]。「礫」には様々な定義があるが(#大きさによる分類参照)、本項では特に断りのない限り、砂、ゴマ粒よりも大きく、握り拳大程度までの大きさの石について述べる。
概説
礫にはさまざまな色やきめのものがあり、石英などの鉱物の縞を持つものもある。礫はほぼ滑らかだが、他の岩石や礫との接触の頻度によっては跡のあるものもある。
土砂のような可動性堆積物によって形成された堆積物海岸は、主成分となる堆積物の種類により、礫浜(礫浜海岸)、砂浜(砂浜海岸)、泥浜(泥浜海岸)に分けられる[2][3][4]。礫浜には波の侵食に対して表面保護特性があり、また動植物に生息環境を与える生態的地位も持つ[5]。
礫でできた浜堤が存在する場所もあり、サフォーク(イングランド)にあるオー川(en:River Ore)の入口のように、礫の土手が移動し航行上の著しい課題となる[6]。
大きさによる分類
堆積学に基づく分類
堆積学における礫(れき、英: gravel[7])とは、粒の直径が2mm以上の砕屑物のこと。砂よりも大きい。粒子が角張っている場合は、角礫(かくれき、英: rubble[7])という。礫が固結してできた岩石は礫岩と呼ばれる。
礫は粒子の大きさによってさらに細分されている。
- 巨礫(boulder) - 径が256mmより大きいもの。
- (大礫)(cobble) - 径が64 - 256mmのもの。
- (中礫)(pebble) - 径が4 - 64mmのもの。
- (細礫)(granule) - 径が2 - 4mmのもの。
粒径2mm以上をひとくくりに礫とするのは、礫と砂とを分類するためであり、礫のうちでも巨礫と中礫・細礫とでは性質が大きく異なる。
大礫
中礫
(いずれも100円硬貨との比較)細礫
地盤工学における分類
土壌分類では、粒径2 - 75mmのものが礫に区分される[8]。
火山学における分類
地球外での生成
火星では礫岩が見つかっており、かつての河床で形成されたものと解釈されている。その礫岩はアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車キュリオシティによって発見されたものであるが、含まれる礫の大きさの範囲は砂粒程度からゴルフボール大にまで及ぶ。歩くペースで流れ、踝から腰の深さの川で堆積したと分析されている。[10][11]
脚注
- ^ “”. コトバンク. 2023年2月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
- ^ “”. 海岸林用語集. 日本海岸林学会. 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
- ^ “” (PDF). 国土交通省 (2006年12月27日). 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧。
- ^ “石川の自然 第20集”. 石川県教育センター. pp. 1-2. 2021年9月23日閲覧。
- ^ “石の隙間を利用する魚たち”. 独立行政法人土木研究所自然共生研究センター. 2016年11月16日閲覧。
- ^ (英語)“Ore and Alde, Rivers”. 2016年11月13日閲覧。
- ^ a b 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。ISBN (4-8181-8401-2) 。
- ^ 地盤工学会 (2009年11月25日). 地盤工学会基準書. ISBN (978-4-88644-083-9).
- ^ Fisher, R. (1961). “Proposed classification of volcaniclastic sediments and rocks”. Geol. Soc Amer. Bull. 72: 1409-1414.
- ^ (英語)“NASA Rover Finds Old Streambed on Martian Surface”. News. Jet Propulsion Laboratory / California Institute of Technology (2012年9月27日). 2016年11月19日閲覧。
- ^ “火星探査車が見つけた丸い小石”. アストロアーツ (2012年10月1日). 2016年11月19日閲覧。
参考文献
関連項目
- 堆積物 - 砕屑物
- 礫岩(堆積岩)
- 砂利
- 水磨礫
- 偽礫
- 礫器
- 小岩 (曖昧さ回避)
- 大石 (曖昧さ回避)
- (「礫」で始まるページの一覧)
- (「小石」で始まるページの一覧)
- (タイトルに「礫」を含むページの一覧)
外部リンク
- 産業技術総合研究所地質調査総合センター. “岩石の分類”. 地質図のホームページ. 2012年9月21日閲覧。