磯村尚徳

磯村 尚徳（いそむら ひさのり、1929年（昭和4年）8月9日 - ）は、日本の元ニュースキャスター。

祖父は陸軍大将磯村年､父は陸軍中将磯村武亮､妻文子は東京大学名誉教授鈴木竹雄の長女。鈴木家は味の素の創業者一族。元NHKアナウンサー・松平定知はいとこ。

来歴

東京生まれ。初め（小学校）と終わり（旧制高等科→新制大学）が学習院で、間に挟んで都立第四高校（都立戸山高校）に通った。陸軍の駐在武官だった父の勤務先の関係で、小学時代の大半をトルコで過ごした。トルコではフランス人学校で学び、フランス語を習得する。帰国後、学習院に入りなおした。

学習院大学政経学部を卒業後の1953年にNHKに入局。当時NHKではフランス語の使い手が必要だったため、たった一人東京報道局に配属になった。1954年外信部に異動、以後ハノイ特派員、カイロ特派員を経て^[1]、ヨーロッパ総局パリ支局特派員（1958年-1962年）、東京報道局政治部の自民党記者クラブ大野派担当記者を経て、1966年アメリカ・ワシントン支局長、帰国後1971年に外信部長に昇格。1974年4月から報道局副主幹としてニュースセンター9時の初代編集長兼キャスターを担当。1977年よりヨーロッパ総局長、1984年に報道局長、専務理事待遇特別主幹を歴任。

1991年東京都知事選挙への立候補のためNHKを退職。一度は出馬を表明し撤回したアントニオ猪木と政策協定を結んだが、東京都知事選に落選。その後はフリーの外交評論家として活躍。パリに渡り、パリ日本文化会館館長を2005年3月まで務める。その他様々な要職・委員を務める。2011年、旭日中綬章を受章^[2][3]。2019年には(ルネサンス・フランセーズ栄誉賞)を受賞する。

人物

• フランス語の達人で、英語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語も解する。1998年2月の1998年長野オリンピック開会式の総合司会を当時NHKアナウンサーだった道傳愛子とともに務めた。磯村はフランス語、道傳は英語も担当した。
• 好奇心旺盛で、グルメやファッションにも詳しい。好きなブランドはエルメス、(シャルベ)など。エルメスのネクタイならあえて無地のを選ぶことが多いが、ニュースセンター9時の中で、自分がそのとき身に付けていたスーツを指差して「この外国製の背広を…」などと話したこともある。
• 1977年度(日本記者クラブ賞)を受賞。

著作

• 『ちょっとキザですが』講談社 1975年 のち文庫
• 『黄昏どきのおしゃべり : 座談』朝日ソノラマ、1977年1月25日。(NDLJP):12129216。 
• 『ちょっとキザですが 続』講談社、1977年1月31日。(NDLJP):12275500。 のち文庫
• 『世界を翔ぶ : またまたちょっとキザですが』講談社、1978年10月10日。(NDLJP):12267217。  のち文庫
• 『世界トップレディーインタビュー』主婦の友社〈Tomo選書〉、1979年6月30日。(NDLJP):12149271。 
• 『今日は!磯村です : 対談 ちょっとキザですが』講談社、1980年9月10日。(NDLJP):12182298。 
• 『ブローニュの森から : 磯村尚徳ヨーロッパ報告』日本放送出版協会、1982年12月10日。(NDLJP):12180061。 
• 『旅して想う 「NHKワールド・ネットワーク」より』日本放送出版協会 1988
• 『新しい女性これからの時代 磯村尚徳対談集』(誠書)房 1989
• 『世界の中の日本』中央出版社 1989
• 『ニュー・ストリーム人間図式』青春出版社 1989
• 『ちょっとごぶさたしましたが』講談社 1991
• 『新・ちょっとキザですが』講談社 1997年
• 『しなやかなフランス人』毎日新聞社 1999
• 『日本人はなぜ世界が読めないのか カルロス・ゴーンの成功の秘密』朝日出版社 2003

共編著

• 『近代国家の像』瀬川昌昭、(岡田多生)共著 日本放送出版協会 1965 NHK海外シリーズ
• 『フランス・ジョーク集』編著 萩野弘巳訳 実業之日本社 1976
• 『セーヌで語ろう』深田祐介共著 文芸春秋 1980 のち文庫
• 『アジアとの対話』矢野暢共編著 NHK取材班 構成 日本放送出版協会 1984
• 『経済大国の試練 世界の中の日本 NHK特集=緊急リポート』NHK日本プロジェクト取材班共著 日本放送出版協会 1986
• 『経済大国の苦悩 世界の中の日本NHK特集=緊急リポート』NHK日本プロジェクト取材班共著 日本放送出版協会 1987
• 『土地はだれのものか 世界の中の日本 NHK特集=緊急リポート』NHK日本プロジェクト取材班共著 日本放送出版協会 1987
• 『アジアからの挑戦 世界の中の日本 NHK特集=緊急リポート』NHK日本プロジェクト取材班共著 日本放送出版協会 1988
• 『今こそ経済正義を 国際シンポジウム』アンセルモ・マタイス共編 (みくに書房) 1988
• 『"壁"崩壊後の世界 大転換期、90年代のシナリオ』NHK取材班共著 日本放送出版協会 1990 NHKスペシャル
• 『この目で見た東欧 磯村・岩城トークスペシャル』岩城宏之共著 ジャパンタイムズ 1990
• 『世界の中の日本』編著 近藤書店 1991

翻訳

• V・ジスカール＝デスタン『人間から出発する社会』萩野弘巳共訳 ダイヤモンド社 1977
• J.J.セルヴァン＝シュレベール『世界の挑戦』小学館 1980
• ジェラール・メルメ『フランス人白書』福井芳男、伊藤晃共監訳 (エディション・フランセーズ) 1986
• ジョン・モール『ヨーロッパ人と知的につきあう方法 マナーにご用心! 仕事と旅行での文化の衝突』西村書店 1992
• ヤン・アルテュス＝ベルトラン写真 アンヌ・アルテュス＝ベルトラン文『空から見たパリ』河出書房新社 1993

出演

• ニュースセンター9時（司会、1974年4月 - 1977年3月）
• ゆく年くる年（司会、1976年 - 1977年）
• NHK特集 あのとき世界は - 磯村尚徳戦後史の旅（レポータ、1978 - 79年）
• ポーランド　試練の秋（レポータ、1981年）
• ＮＨＫ特集　世界の中の日本　土地はだれのものか（キャスター 1987年）- NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス
• あなたとともに50年 今日はテレビの誕生日（2003年2月1日）^[4]
• BSフジLIVE プライムニュース（BSフジ、コメンテーター、2010年8月10日・10月19日）

出典

1. ^ 『ちょっとキザですが』磯村尚徳著 講談社 1975年発行
2. ^ 磯村氏が中綬章、久里氏にも小綬章
3. ^ “” (PDF). 内閣府. p. 1 (2011年4月). 2016年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月10日閲覧。
4. ^ 磯村尚徳 - オリコンTV出演情報

外部リンク

• 磯村尚徳 - NHK人物録