潮汐摩擦(ちょうせきまさつ、英語: tidal friction)とは、潮流によって生じる海水と海底との摩擦のことである[1]。潮汐摩擦の影響で地球の自転速度は少しずつ遅くなっており[2]、1日の長さは100年につき約1000分の1秒ずつというペースで長くなっている[1]。
長年加速
天体の黄経は、時間の2乗に比例して増加することが知られている[3]。天体の運動が加速されていくこの現象を「長年加速」あるいは「永年加速」という[3][4]。1693年にイギリスの天文学者であるエドモンド・ハレーが、月の運動でこの現象を見出した。彼は古代の日食や月食などの記録を調べ、月の公転運動が100年につき約10秒の割合で加速されることを見出した[3]。ただしこれは、あくまでも減速している地球の自転を基にした時計(世界時)で観測したことによる見かけ上のものに過ぎなかったため、実際には長年減速(永年減速)であることがわかった[3][4]。地球の自転速度は、月の引力による潮汐摩擦の影響で遅くなるのである[3]。そのため1日の長さが100年につき約0.001秒ずつ増加し、太陽や水星、金星などの公転運動にも月と同様に長年加速が存在することがわかった[3]。また、月は地球から少しずつ遠ざかっており、そのペースは1年につき3cm~4cmくらいである[3][4]。