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水沢VLBI観測所

水沢VLBI観測所(みずさわVLBIかんそくしょ)とは、岩手県奥州市水沢星ガ丘町にある国立天文台観測所である。

20mアンテナ

国立天文台の中では、現存する一番古い観測所の一つであり、1899年以来、同地で観測を行ってきた。

概要

 
正門

日本及びアジアにおける国際測地学研究の拠点として、臨時緯度観測所として発足、測地学に関連する研究及び測定を実施。地球潮汐・地球形状測定プロジェクトなどである。この観測事業の実施を行った木村栄が、近代測地学の世界的業績であるZ項を発見した場所でもある。これらの観測に用いられた機材開発技術を応用して、月測地学探査に必要な機器開発を実施し、現在月探査計画での観測データ解析も行っている。

1999年から2009年までの正式名称にも含まれていた「VERA」とは、相対基線法による超長基線電波干渉法(VLBI)観測のことであり、精密な銀河マップを作製することを目的に、日本各地にあるVLBI観測点を専用ネットワークで結んだ観測点の解析センターの役割を担っている。

これらのデータ解析には、精密な時刻測定が必要なため、国内では数少ない協定世界時(UTC)を刻む原子時計を運用し、データ解析に活用。研究観測から得られたデータは、情報通信研究機構などと共同利用を行い、それを基準にして、日本電信電話時報(117)、情報通信研究機構JJY日本放送協会(NHK)のラジオ放送の時報などに活用されている。また、この時刻は、観測所のNTPサーバーを通じて、インターネットへの供給を行っている。

沿革

 
観測所創立50周年記念切手(1949年発行)
  • 1899年 - 国際緯度観測事業による世界の6箇所の国際緯度観測所の一つとして、万国測地学協会委員の田中舘愛橘と弟子の木村栄による選定調査により、岩手県胆沢郡水沢町に臨時緯度観測所を設置
  • 1911年 - 万国緯度中央局となる
  • 1920年 - 緯度観測所に組織変更
  • 1988年 - 国立天文台が発足し、東京大学附属東京天文台・名古屋大学附属空電研究所第3部と統合
  • 1997年 - RISE推進室を設置
  • 1999年 - VERA観測所を設置
  • 2002年 - 全ての観測点のファーストライト(水沢、入来、小笠原、石垣島)
  • 2003年 - VERAの運用開始
  • 2004年 - AOSシステム運用開始。VERA局のデータをネットワーク経由によって水沢で取得可能となる
  • 2006年 - 緯度観測所とVERA観測所が統合されて、水沢VERA観測所に変更
  • 2007年 - 月探査機「かぐや」打ち上げ成功により、RISE推進室からRISEプロジェクトに組織変更
  • 2009年 - 水沢VERA観測所から水沢VLBI観測所に改称

業務解説

明治時代に、日本では様々な制度改革を行い、欧米各国の科学技術を導入して、富国強兵によって江戸幕府が結んだ対日不平等条約を解消する政策を実施。天体観測などの科学技術手法を用いて、正確な緯度を測定する事業を行うために、臨時緯度観測所を設置することが決まった。

現在も、国際緯度観測事業を行いつつ、測地学観測の観測所として機能している。天文保時室は、天体観測及び緯度観測のために、なくてはならないものであり、以前まで東京天文台三鷹観測所にて観測の行われていた子午儀と連動することによって、正確な日本標準時(JST)を刻み続ける業務を実施してきた。

改組以前から、情報通信研究機構(前:総務省通信総合研究所)と連携して正確なGPS時計や数台からなる原子時計を運転して国際時刻比較を行うことで、数万年に1秒しか狂わないとされているJJYの精度を高めること、そして世界時(UT))や協定世界時(UTC)の精度を上げるための国際協力業務の継続を実施。

力学補正時刻であるうるう秒に関しては、本観測所はあくまでも観測データを供給する観測所であるので、その決定は情報通信研究機構などで実施している。本観測所の原子時計は、UTC局からの指示を受けて、同時に補正を行っている。

2004年稼動の"AOS"は、Astronomical Online Systemのこと。"1Gigabit/sec=128MByte/sec"の専用線通信によって、VERA局をオンラインで結ぶシステムのこと。このシステムが稼動する以前は、観測点での観測データにタイムスタンプをマークした磁気テープを解析器に掛けて、相関演算を行う必要があった。現在のシステムの場合には、観測データと同時にタイムマークデータを専用線で送ることで、直接相関演算を行い、解析が可能になっている。

2015年からは、同観測所准教授だった(本間希樹)が所長に就任。2019年には本間所長ら同観測所研究者らが参加する国際プロジェクト「イベントホライズンテレスコープ」が、ブラックホールの影を世界で初めて撮影し注目を集めた。しかし、2020年度の天文台関連の予算は半分程度に減額されることとなり、観測所でも電波望遠鏡の停止や人員の補充が行われないなど研究への影響が懸念される事態に至った[1]。結果として、他の研究を実施するなどして予算が確保され電波望遠鏡の維持は可能となった[2]。2021年には必要最低限の研究が可能な予算要求がほぼ満額で決定された[3]

敷地内施設概要

 
奥州宇宙遊学館(旧本館)
 
木村榮記念館(旧本館分館)
 
本館
  • 旧本館 - 1921年に竣工した2代目の本館。奥州市に譲渡され奥州宇宙遊学館として活用されている。登録有形文化財(建造物)。
  • 旧本館分館 - 1899年に竣工。臨時緯度観測所時代に建てられた初代本館。現在は改装され「木村榮記念館」として測地学資料等の展示等を行っている。登録有形文化財(建造物)。
  • 眼視天頂儀室 - 緯度観測専用望遠鏡「眼視天頂儀」が設置されていた。屋根を水平左右方向にスライドさせて開放し、天頂の天体を観測していた。同じ仕様の望遠鏡と観測小屋が北緯39°08'上の世界6カ所に設置され、地軸の微小な振動運動の結果により生じる誤差を測定していた(「国際緯度観測所」を参照)。眼視天頂儀本体は木村榮記念館(旧本館分館)に展示されており、天頂儀室は外部からのみの見学できる。登録有形文化財(建造物)。
  • 眼視天頂儀目標台および覆屋 - 眼視天頂儀室の真北、約100mの場所にあり、直方体の台に電球の灯装置を2個を並べて固定。天頂儀室にいる観測者は、覆屋の窓越しに見える電球の明かりを見ながらし正しい方角を確認して、天儀を操作していた。外部からのみ見学できる。登録有形文化財(建造物)。
  • VERA解析棟 - VERA観測のデータ解析を行うための研究解析本部。
  • 重力絶対測定室/RISE実験室
  • 口径20m電波望遠鏡 - VERA水沢局
  • 口径10m電波望遠鏡 - ミリ波観測用
  • 現:本館(研究解析棟)
    • 研究室
    • 天文保時室 - 協定世界時(UTC)を刻む原子時計数台の運用を行う。日本標準時(JST)を刻む原子時計は、情報通信研究機構にて実施している。
  • スーパーコンピュータ室 - 天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイⅡ(ツー)」理論演算性能 3.087 Pflops(ペタフロップス)[4]
  • 江刺地球潮汐観測室 - 精密重力場観測(超伝導歪計、精密加速度測定装置など)機器によって、地球潮汐観測を実施している。本館等がある水沢の観測所敷から直線距離で約17km離れた奥州市江刺伊手地内の阿原山山腹にある。
  • 光学望遠鏡群(撤去)- 敷地内の北緯39°8′3″の緯度線上に並んでいた。1970年台の最盛期には、眼視天頂儀に加え浮遊天頂儀、写真天頂筒、ダンジョン・アストロラーブが、毎晴天夜観測を行っていた。[5]

研究内容

緯度観測・地球観測

  • 江刺地球潮汐観測室 - 地球潮汐地殻変動の連続観測を行う施設。地殻歪計重力計を備える。
  • GGPプロジェクト - 超伝導重力計の国際観測網計画(重力場の精密測定によって地球の形状を測定するプロジェクト)。CHAMP計画の地上支援プロジェクトとして位置づけられている。

天体観測

  • 天文保時室 - 日本標準時の基準となる世界時や国際原子時を運用する世界の3極の一翼を担う。NTPサーバーなども設置し報時も実施。
  • VERAVLBI観測)観測 - 銀河系内の電波天体の正確な位置の測定。
水沢局と(石垣島局)、(鹿児島入来局)、(小笠原観測局)の電波望遠鏡を結んで三角測量を行い、天体の正確な位置を算出するプロジェクト。2007年、オリオンKLの正確な位置の特定に成功している。

シミュレーション

  • CfCAプロジェクト - 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト 共同利用のためのスーパーコンピュータの運用と研究開発を行う組織。

宮沢賢治と緯度観測所

花巻農学校(現・岩手県立花巻農業高等学校)の教師をしていた宮沢賢治が、たびたび水沢緯度観測所を訪れており、数々の名著の構想を育んだとされる。童話『風野又三郎』(『風の又三郎』の先駆作品の一つ)には水沢緯度観測所の一文が書かれ、『銀河鉄道の夜』の題材のヒントになったとされている(『風野又三郎』では、水沢緯度観測所でテニスに興じる「木村博士」が登場する)。

旧緯度観測所の本館を保存した奥州宇宙遊学館では、「宮沢賢治と緯度観測所」として、賢治とこの地方の関わりについてたどっている。また、賢治をモチーフとした「又三郎」がマスコットキャラクターとして使用されている。

所在地

  • 岩手県奥州市水沢星が丘2-12
    • 交通
      • JR東日本東北本線水沢駅より
        • 「水沢駅通り」まで徒歩5分。ここからZバス「(見分森行)」で「天文台前」下車。
        • 徒歩20分。
      • JR東日本・東北新幹線水沢江刺駅より岩手県交通「(水沢江刺駅線) 胆沢病院行」または、Zバス「(水沢病院行)」で、「水沢駅通り」下車。ここから
        • Zバス「見分森行」に乗り換え、「天文台前」下車。
        • 徒歩15分。

見学案内

国立天文台の他の観測所と同じで、年末年始を除き9時から17時まで一般見学可能(奥州宇宙遊学館及び木村榮記念館は、年末年始のほか火曜休館)。パンフレットは奥州宇宙遊学館で配布している。

その他

脚注

  1. ^ “岩手の観測所、ブラックホール研究暗転 予算大幅減/退職者補充なし”. 毎日新聞 (2020年4月9日). 2020年4月13日閲覧。
  2. ^ “観測停止のピンチから一転 岩手の電波望遠鏡、運用続く:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年9月17日閲覧。
  3. ^ “水沢VLBI、予算ほぼ満額 21年度・数億円 /岩手”. 毎日新聞. 2021年9月17日閲覧。
  4. ^ 新天文学専用スーパーコンピュータ『アテルイⅡ』始動!
  5. ^ “Farewell Optical Telescope”. www.miz.nao.ac.jp. 2020年9月6日閲覧。
  6. ^ “宇宙桜「やっと咲いた」、植樹から8年…岩手”. 読売新聞 (2020年4月9日). 2020年4月13日閲覧。

関連項目

研究テーマ

外部リンク

  • 国立天文台水沢
    • 木村榮記念館
    • 奥州宇宙遊学館

座標: 北緯39度8分0.5秒 東経141度7分57.4秒 / 北緯39.133472度 東経141.132611度 / 39.133472; 141.132611

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