棚氷(たなごおり、英: ice shelf)とは、陸上の氷河または氷床が海に押し出され、陸上から連結して洋上にある氷を指す。その上面は多くの場合、平坦な形状となっている。氷棚(ひょうほう)とも呼ぶ。
洋上にある氷という点では、海氷と似ているが棚氷は陸上で形成され、海氷よりもだいぶ厚くなることがある点が異なる。海氷は通常、数m程度の厚さであるが棚氷はもっと厚く数十mの厚さとなることがある。
氷山とも、陸上の氷と連結している点が異なる。ただし、棚氷の先端部では、沖合いへ氷が移動する動きが行われており、波浪や解氷などによって氷の分離(カービング)が行われ、テーブル型氷山の生成が行われる。
地球上のほとんどの棚氷は南極氷床に存在している。大きさとしてはロス海に面するロス棚氷が地球上で最大であり、それにウェッデル海のフィルヒナー・ロンネ棚氷と東南極のアメリー棚氷が続く。
棚氷はカービングするか、海洋による底面・側面融解によって消失する。棚氷が消失すると、背後の氷河を支える力が失われるため、氷河の海洋への流出が加速的に進行する。
南極における棚氷融解の主な原因は、海洋が供給する熱であると考えられている。地球温暖化に伴って氷河の表面融解が進行すると、クレバスが成長しやすくなり、カービングによる崩壊のリスクが高まる。
北極の棚氷
カナダ
- (アイルス棚氷)(Ayles)
- (ミルン棚氷)(Milne)
- (ワードハント棚氷)(Ward Hunt)
- (マクリントック棚氷)(M'Clintock)
- (マークハム棚氷)(Markham)
- (サーソン棚氷)(Serson)
- エルズミーア棚氷 - 分裂
南極の棚氷
2001年現在の棚氷の一覧。
- ロス棚氷(Ross)
- ロンネ棚氷(Ronne)
- フィルヒナー棚氷(Filchner)
- (アメリー棚氷)(Amery)
- ラーセン棚氷(Larsen)→ラーセンA・ラーセンBが氷山として分離、ラーセンC棚氷(Larsen C)のみが残存
- (リーセル・ラーセン棚氷)(Riiser-Larsen)
- (フィンブル棚氷)(Fimbul)
- シャクルトン棚氷(Shackleton)
- (ジョージ6世棚氷)(George VI)
- ウエスト棚氷(West)
- ウィルキンス棚氷(Wilkins)→2009年4月5日の時点で南極大陸からの分離が確認された[1]。
- ゲッツ棚氷(Getz)
- (クック棚氷)(Cook)
- (ドットソン棚氷)(Dotson)
- (コスグローヴ棚氷)(Cosgrove)
- (アボット棚氷)(Abbot)
- (ヴェナブル棚氷)(Venable)
- (バッハ棚氷)(Bach)
- (プリンスグスタフ棚氷)(Prince Gustav)
- ブラント棚氷(Brunt)
- (キュアー棚氷)(Quar)
- (エクストレム棚氷)(Ekström)
- (ラザレフ棚氷)(Lazarev)
「en:List of Antarctic ice shelves」も参照
脚注
- ^ AFPBB News「南極のウィルキンス棚氷、氷山への分解が進行 温暖化の影響」2009年4月29日
関連項目
外部リンク
- Images of Antarctic Ice Shelves National Snow and Ice Data Center