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明治大学和泉キャンパス

(画像提供依頼)：和泉ラーニングスクエアの(画像提供)をお願いします。（2022年12月）

明治大学和泉キャンパス（めいじだいがくいずみキャンパス）とは、東京都杉並区永福にある明治大学のキャンパスである。

明治大学和泉キャンパス

敷地面積は80,226.91㎡。

使用学部・研究科

学生の間では、駿河台への進級後に和泉の必修科目を再履修することを「和泉返し」、留年することを「和泉止まり」と呼ぶ[1]。

歴史

明治大学では1923年の関東大震災で駿河台校舎が全焼したことから、狭隘な駿河台を離れて郊外に移転すべきだとの提案があり、理事会は小平移転を一度は決定したが、商議員会や校友会などから異論が噴出して移転断念となった[2]。

 
「京王電車沿線名所図絵」（1936年）[3]
（明大予科の郊外誘致は京王電軌の経営戦略の一環だったことがわかる。）

その後、駿河台では記念館などの再建が進んだものの、教室の狭小問題が根本的に解決されたわけではなかったため、1930年（昭和5年）1月28日の商議員会で予科校舎の和田堀町和泉新田旧火薬庫跡地への移転を決定した[4]。同地は江戸時代から武庫司所管の「(御焔硝蔵)」があった場所で、維新後も陸軍省の「火薬庫敷地」として利用されていた[5]。なお、同地の買収の際に京王電気軌道社長井上篤太郎（明大推薦校友で1934年から明大専務理事）[5]の尽力があったことが知られており、1935年（昭和10年）には予科校舎の最寄り駅として明大前駅が移転開業し[6]、(帝都電鉄)とともに連帯運輸を開始した[7]。

買収後は和泉総合グランド（または予科グランド、和田堀グランド）[8]として先行使用され、野球部の合宿所も駒沢から移転した[9]。1934年（昭和9年）3月24日に予科校舎が竣工し、翌月の新学期から予科の授業は始まった[10]。その後、1939年（昭和14年）までに武道場、講堂、図書館も順次整備されていったが[11]、戦時中には軍の徴用によって予科は再び駿河台校舎に移転することになり、1945年（昭和20年）4月26日と5月25日の空襲では駿河台よりも甚大な被害を受けるという苦難にも見舞われた[12]。

戦後は文系5学部（法・商・政経・文・経営）教養課程のキャンパスとなり、平成期に入ると新たに情報コミュニケーション学部の1、2年生と国際日本学部の全学年がこの地で学ぶこととなったが[13]、(中野キャンパス)の開設（2013年）により国際日本学部は和泉を離れ[14]、現在に至る。

年表

 
和泉予科校舎（1934年竣工）
 
和泉第1校舎（1988年竣工）
 
現在の和泉図書館
  • 1923年 - 関東大震災で駿河台校舎が壊滅[15]。
  • 1924年 - 小平移転問題紛糾（～25年）[2]。
  • 1930年 - 和田堀町和泉新田旧火薬庫跡地を購入[4]、和泉総合グランド開設。
  • 1934年 - 予科校舎竣工、「予科移転祭兼体育デー」[16]を開催（今日の明大祭の源流）。
  • 1935年 - 明大前駅開業。予科武道場（揖譲館）竣工[17]。
  • 1938年 - 予科校庭に故・飯塚国五郎少将（元明大予科配属将校）の留魂碑を建立[18]。
  • 1939年 - 予科講堂および図書館竣工[19]。
  • 1944年 - 予科校舎が東京師団経理部に徴用され、予科は駿河台に移転[20]。
  • 1945年 - 空襲により予科講堂など全焼[21]。
  • 1946年 - 予科校舎の徴用終了[12]。
  • 1949年 - 新制明治大学が発足し、法・商・政経・工・農各学部1年生のキャンパスとなる[22]。
  • 1951年 - 和泉第1校舎を3階建てから4階建てに増築[22]。農学部が生田に移転[23]。
  • 1952年 - 工学部1、2年生が駿河台に移転し[24]、和泉は法・商・政経各学部1、2年生のキャンパスとなる[25]。
  • 1956年 - 体育館（のちの第4校舎）竣工[26]。
  • 1960年 - 文・経営各学部の1、2年生が和泉に移転[27]、第2校舎および第1学生会館竣工、安田火災グラウンドを借用（1964年に購入）[26]。
  • 1961年 - 野球部合宿所が調布に移転[28]。
  • 1965年 - 第3校舎竣工[29]。
  • 1967年 - 第2学生会館竣工[30]。
  • 1982年 - 厚生会館竣工[31]。
  • 1985年 - 第2研究棟および視聴覚棟（のちのリエゾン棟）竣工、和泉校舎創設50周年記念式典を挙行[31]。
  • 1987年 - 和泉図書館増築竣工[32]。
  • 1988年 - 第1校舎竣工[32]。
  • 1993年 - 新第1学生会館（学生食堂、和泉の杜）竣工[32]。
  • 1996年 - 総合体育館西棟竣工[32]。
  • 2004年 - 情報コミュニケーション学部設置[32]。
  • 2005年 - メディア棟竣工[33]。
  • 2008年 - 国際日本学部設置[32]。大学院教養デザイン研究科設置[34]。
  • 2009年 - 和泉インターナショナルハウス竣工[35]。
  • 2010年 - 総合体育館東棟竣工[36]。
  • 2012年 - 和泉新図書館竣工[37]。
  • 2013年 - 国際日本学部が中野キャンパスに移転[14]。
  • 2019年 - 明治大学グローバル・ヴィレッジ（MGV）竣工[38]。
  • 2022年 - 和泉ラーニングスクエア竣工[39]。

施設

 
和泉キャンパス正門
 
メディア棟と創立者レリーフ
 
創造の泉
 
和泉インターナショナルハウス
 
グローバル・ヴィレッジと総合体育館
  • 第1校舎
1988年竣工。地下1階、地上6階建て。延べ床面積17,732m2。事務室、診療所、学生相談室、50以上の各種教室、情報処理教育施設、多目的実習室、自然科学実験室、国際交流ラウンジなどを有する[40][41][42]。
  • メディア棟
2005年竣工。地下1階・地上7階建て[33]。延べ床面積13,400m2。情報コミュニケーション学部新設にともなう学生数増加と、ITなどの最新メディア教育に対応する校舎として建設された[13][43]。
  • リエゾン棟
1985年竣工。当初は視聴覚棟。地上3階建て。延べ床面積650m2[44]。主に大学院の授業用[40]。
  • 和泉図書館
現在の図書館は2012年5月に開館した地上4階建てで、1,200の閲覧席に加えて共同閲覧室、グループ学習室、各種講座用ホールやギャラリー、カフェなどを併設。
  • 明大マート
1階に売店、2階に三省堂書店明治大学和泉店が入る[45]。
  • 第2学生会館
1967年竣工。地下1階、地上4階建て。延べ床面積2,159m2[44]。堀口捨己設計、通称新学館。
  • 部室センター
A棟（通称新々学館）、B棟、C棟からなる[46]。
  • 総合体育館
  • 西棟
1996年竣工。メインホール・サブホール・卓球場・フィットネスルーム・室内プール・クライミングウォール・講義室・更衣室等を設置。
  • 東棟
2010年竣工。多目的スポーツルーム・ゴルフ練習場・ラウンジ・ミーティングルーム・更衣室を設置。
1993年竣工。地上3階建て。1階では定食や丼物など、2階は麺類を提供し、3階はフリースペースとなっている[47][48]。
  • 創造の泉
中庭の泉を中心にして通路が放射状に広がっている。
  • 研究棟
1972年竣工。地下1階、地上3階建て。延べ床面積2,848m2[44]。
  • 第2研究棟
1985年竣工。地上2階建て。延べ床面積603m2[44]。
  • 創立者レリーフ
創立130周年記念事業の一環として、2012年に設置[49]。
  • 和泉インターナショナルハウス
2009年3月竣工。地上3階建て、留学生および招聘研究者用宿舎[35]。
  • グラウンド
1964年に安田火災海上保険グラウンドを購入。なお戦時中に同グラウンドを軍事教練用に借用したこともあった[50]。総合体育館の建設によって以前よりも狭くなった。
  • グローバル・ヴィレッジ（MGV）
2019年竣工。地上3階建て。外国人留学生と日本人学生が国際コミュニティを形成する「学びの場」として位置づける[38]。
  • 和泉ラーニングスクエア
2022年竣工。地上8階建て。延べ床面積12,240m2[51]。第2校舎南側に建設された新教育棟[39]。
旧施設
  • 旧第1校舎
1934年竣工の旧予科校舎。建設当初は3階建てだったが、1951年に4階建てに増築した。現在の第1校舎新築により1989年に解体された[52]。跡地にはメディア棟が建てられた。
第2校舎の設計資料
  • 第2校舎
1960年竣工。地上3階（一部4階）建て。延べ床面積6,646m2[44]。堀口捨己設計。校舎の外壁を巨大なスロープが取り囲んでいるのが特徴で、8つの大教室を設置。「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築100選」に選定された（2003年）[53]。
  • 第3校舎
1965年竣工。地上4階建て。延べ床面積3,194m2[44]。小教室中心で、主に語学などに使用された。
  • 第4校舎（体育館）
1956年竣工。地上3階建て。延べ床面積3,084m2[44]。堀口捨己設計。

アクセス

 
明大前駅

  京王線・  井の頭線 明大前駅から徒歩5分ほど[54]。和泉キャンパスの必修科目を取りこぼして「和泉返し」となった場合でも、駿河台-和泉間の移動時間は30分程度で済む。

明大前駅-甲州街道間の通学路（都市計画道路補助第154号線）はかつては道幅が狭く、通学時間帯になると大混雑が発生していたが[55]、2006年（平成18年）に拡幅工事が完了し、明大前商店街振興組合連合会によって「明大通り」と名付けられた[56]。

和泉キャンパス正門前の歩道橋（明大前歩道橋）は1日に3万人以上の利用者があり、明大や地元住民、地元商店街の要望により2010年（平成22年）にバリアフリー対応のエレベーターが設置された[57]。

和泉球場

 
和泉球場（1935年、右側）

1930年（昭和5年）から1960年（昭和35年）まで存在した明治大学野球部のグラウンド。1937年（昭和12年）春から1938年（昭和13年）秋までの六大学リーグ4連覇[58]、「秋山・土井時代」[59]と呼ばれる黄金期は和泉時代の出来事である。また、戦後まもなく神宮球場が占領軍に接収されていた時期には東京六大学野球の公式戦が和泉球場で行われたこともある[60]。

  • 明法2回戦（1947年5月10日、明2-0法）
  • 慶立決勝戦（1948年5月1日、慶1-2立）
  • 法立1回戦（1948年5月22日、法0-1立）
  • 慶東決勝戦（1948年10月12日、慶1-0東）

明大祭

明大予科の和泉移転を記念して、1934年11月1日から5日間にわたって行われた「予科移転祭兼体育デー」を起源とし[16]、戦前は「予科祭」、戦後は「和泉祭」の名で慣例化されていた。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 明治大学用語集30選！「知ってた？」これであなたも明治通
  2. ^ a b 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、39-42頁
  3. ^ 『京王電車回顧二十年』
  4. ^ a b 『明治大学五十年史』 1931年、48-49頁
  5. ^ a b 『明治大学百年史』 第四巻 通史編Ⅱ、129頁
  6. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、130頁
  7. ^ 京王電気軌道株式会社 『京王電気軌道株式会社三十年史』 京王電気軌道、1941年、132頁
  8. ^ 明治大学和泉小史展.pdf
  9. ^ 昭和時代 | 概要・年表 | 野球部紹介 | 明治大学野球部公式サイト
  10. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、130-131頁
  11. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、131-134頁
  12. ^ a b 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、362-363頁
  13. ^ a b 『明治大学小史』 212-213頁
  14. ^ a b 第4のキャンパス「中野キャンパス」が完成 | 明治大学 2022年12月17日閲覧。
  15. ^ 『明治大学百年史』 第三巻 通史編I、823-828頁
  16. ^ a b 明治大学 『図録明治大学百年』 1980年、123-125頁
  17. ^ 『明治大学六十年史』 74頁
  18. ^ 『明治大学六十年史』 83頁
  19. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、134頁
  20. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、362頁
  21. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、363頁
  22. ^ a b 『明治大学小史』 131頁
  23. ^ 『明治大学小史』 148頁
  24. ^ 『明治大学小史』 148-150頁
  25. ^ 『明治大学小史』 131-132頁
  26. ^ a b 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、586頁
  27. ^ 『明治大学小史』 132頁
  28. ^ 雌伏の時代 | 概要・年表 | 野球部紹介 | 明治大学野球部公式サイト
  29. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、585頁
  30. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、938頁
  31. ^ a b 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、947頁
  32. ^ a b c d e f 明治大学の歴史（年表） | 明治大学.html
  33. ^ a b 明治大学 和泉メディア棟　2019年3月21日閲覧。
  34. ^ 『明治大学小史』 213頁
  35. ^ a b 明治大学和泉インターナショナルハウス　2019年4月14日閲覧。
  36. ^ 運動施設（体育館・グランド）概要 | 明治大学
  37. ^ 和泉図書館 | 明治大学
  38. ^ a b 明治大学グローバル・ヴィレッジ MGV | 【公式】明治大学の学生寮
  39. ^ a b “和泉ラーニングスクエアの竣工式を挙行”. 2022年12月15日閲覧。
  40. ^ a b 大学院施設案内 | 明治大学
  41. ^ 国際交流ラウンジ | 明治大学
  42. ^ 『明治大学140年小史』 180頁
  43. ^ 『明治大学140年小史』 181頁
  44. ^ a b c d e f g 『明治大学百年史』 第二巻 史料編II、1128頁
  45. ^ キャンパスについて | 明大サポート
  46. ^ 和泉キャンパス キャンパスマップ｜明治大学
  47. ^ 2.作品紹介 明治大学和泉新第一学生会館　2019年3月21日閲覧
  48. ^ 食堂（和泉キャンパス） | 明治大学 2022年12月25日閲覧。
  49. ^ 和泉キャンパスに創立者肖像 レリーフ記念碑を設置｜明治大学
  50. ^ 『明治大学百年史』 第二巻 史料編II、778－779頁
  51. ^ 『明治大学140年小史』 186頁
  52. ^ 和泉キャンパス予科校舎が語ること（キャンパス編） | 明治大学 2022年12月17日閲覧
  53. ^ さよなら和泉第二校舎 | 明治大学140周年記念サイト 2022年12月25日閲覧。
  54. ^ 明治大学和泉キャンパス アクセスマップ
  55. ^ 明大画報製作委員会 『明大画報』 1990年、清水書院、156-159頁
  56. ^ 明治大学広報│第571号（2006年5月1日発行）
  57. ^ 国道20号「明大前歩道橋」にバリアフリー型エレベーターを設置 - 大学プレスセンター 2022年12月18日閲覧。
  58. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、228頁
  59. ^ 『明治大学百年史』 第四巻 通史編II、606頁
  60. ^ 『激動の昭和スポーツ史 6 大学野球』 ベースボール・マガジン社、1989年、70-73頁

参考文献

  • 明治大学 『図録明治大学百年』 1980年
  • 明治大学百年史編纂委員会 『明治大学百年史』 第二巻 史料編Ⅱ、学校法人明治大学、1988年
  • 明治大学百年史編纂委員会 『明治大学百年史』 第三巻 通史編Ⅰ、学校法人明治大学、1992年
  • 明治大学百年史編纂委員会 『明治大学百年史』 第四巻 通史編Ⅱ、学校法人明治大学、1994年
  • 明治大学史資料センター 『明治大学小史』 学文社、2010年　(ISBN 9784762020414)
  • 明治大学史資料センター 『明治大学140年小史』 DTP出版、2021年

関連項目

外部リンク

 
ウィキメディア・コモンズには、明治大学和泉キャンパスに関連するカテゴリがあります。
  • 和泉キャンパス キャンパスマップ｜明治大学
  • 和泉キャンパスの歴史 - 明治大学（PDF）
  • 明治大学和泉小史展（PDF）
  • 明大前商店街
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