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改札鋏(かいさつばさみ、かいさつきょう)とは、鉄道駅の改札口において、入場するときにきっぷへ使用開始(済み)であること示す「切れ込み」を入れるために使われる道具(鋏)のこと[1]。改札パンチ[2]もしくは改鋏(かいきょう)とも呼ばれる。
概要
日本に鉄道が開業した当初より、国内ほぼ全ての鉄道事業者で長らく用いられてきた。その後、国鉄民営化後のJRグループでは、1990年にJR東海の東海道新幹線において日付入りスタンプ(改札印)が初めて導入されたのを皮切りに、JR各社でスタンプへの置き換えが急速に進んだ。JR東日本の首都圏においては自動改札の導入時期と重なったため、各駅の供用開始まで改札鋏が使用され続け、1993年頃まで用いられていた駅もあるが、JR全体としては1992年頃にはほぼ使われなくなった[3]。
現在では民鉄においても、入鋏道具として第一線で実際に改札鋏を用いている鉄道事業者は数少なくなっており、「きっぷを切る」光景そのものが珍しくなっているが、例えば小湊鉄道など[4]一部の地方鉄道などでは現役であり、興味的に受け止められることもある[4]。
きっぷに切れ込みを入れる行為のことを入鋏(にゅうきょう)[2]、入れられた切れ込みのことを鋏痕(きょうこん)、形状のことは特に痕形とも呼ぶ。鋏痕は時代を通じて全国でおよそ140種類あるとされ、例えば東京鉄道管理局では46種類あった[2]。
本体の形状は大きく分けて「一般型」と、多客をさばく必要のある省線東京鉄道管理局向けとして戦前期に考案された「東鉄型」の2種類がある。一般型はニギリ(持ち手)部分がニッパーなど一般工具のような形状だが、東鉄型はニギリの先端どうしが当たる構造になっており、その反動で速く切ることが可能[2]である。
JRでは2019年12月から28年ぶりに、有人改札で回数券で入場する場合に、スタンプと併用して改札鋏を使う事例が出てきた。また、例えば東京メトロなどやJRにおいても、本来の用途では使わないものの、遅延証明書への入鋏など副次的用途もしくは念のため残されている鉄道事業者や駅がある。
改札鋏の鋏痕
例として、小田急電鉄の各駅における入鋏済み乗車券の鋏痕を示す。すべての駅で鋏痕が異なっていることがわかる。小田原線 - 江ノ島線 - 多摩線の順。
新宿
南新宿
参宮橋
代々木八幡
代々木上原
東北沢
下北沢
世田谷代田
梅ヶ丘
豪徳寺
経堂
千歳船橋
祖師ヶ谷大蔵
成城学園前
喜多見
狛江
和泉多摩川
登戸
向ヶ丘遊園
生田
読売ランド前
百合ヶ丘
新百合ヶ丘
柿生
鶴川
玉川学園前
町田
相模大野
小田急相模原
相武台前
座間
海老名
厚木
本厚木
愛甲石田
伊勢原
鶴巻温泉
大根
(現・東海大学前)大秦野
(現・秦野)渋沢
新松田
開成
栢山
富水
螢田
足柄
小田原
東林間
中央林間
南林間
鶴間
大和
桜ヶ丘
高座渋谷
長後
湘南台
六会
善行
藤沢本町
藤沢
本鵠沼
鵠沼海岸
片瀬江ノ島
五月台
栗平
黒川
はるひ野
小田急永山
小田急多摩センター
唐木田
脚注
関連項目
- 検札鋏 - 列車内で乗務員が使用する鋏。