春日大社 > 影向の松 (春日大社)
影向の松(ようごうのまつ)は、奈良県奈良市の春日大社一の鳥居をくぐってすぐの、参道右側に生育しているクロマツである。延慶2年(1309年)の春日権現験記にも記された[1][2]古い巨木であったが、1995年(平成7年)に枯れた[3]ため、現在は巨大な切り株の横に後継樹の若木が植えられている[3]。
由来
この地は昔、春日大明神が翁の姿で降臨され、万歳楽を舞われた地とされる[3][4]。教訓抄によると、松は特に芸能の神の依代(よりしろ)であり、この影向の松は能舞台の鏡板に描かれている老松の絵のルーツとされている[1][3]。
春日若宮おん祭・松の下式
毎年12月17日の春日若宮おん祭では、影向の松の前で細男(せいのお)座・田楽座・猿楽座が芸能を披露する、松の下式(まつのしたしき)と呼ばれる重儀が執り行われる[4]。特に猿楽座は弓矢立合を演じるが、古くは金春流・金剛流参勤の年は弓矢立合、観世流・宝生流の年は船立合を演じる事が定められていた[4]。
この松の下を通りお旅所へ参入すると、十列児(とおつらのちご)は馬より降り、装束の長い裾を曳きつつ馬を曳き芝舞台を三度廻り、馬長児(ばちょうのちご)は馬上のまま三度舞台を廻って退出する[5]。この時、ひで笠に付けた小さな五色の紙垂を、大童子(だいどうじ)が神前へ投ずる[5]。
(金春太夫)が柴の垣に結びつけた白紙をお旅所前で解いてから祭場へ入る所作は「金春の埒(らち)あけ」と呼ばれ、「埒があく」という言葉もこれからおこったと伝わる[5]。
脚注
参考文献
- 御神木 影向之松 現地案内板
- (小倉つき子)『ドラマチック奈良』ならフィールド、2010年3月8日。
外部リンク
- 影向の松(ようごうのまつ) - 春日大社公式サイト内のページ
- 春日若宮おん祭 中心神事スケジュール - 春日大社公式サイト内のページ
- 春日大社 影向の松 - 奈良県サイト内 2010年の奈良の実景
座標: 北緯34度40分55.07秒 東経135度50分5.99秒 / 北緯34.6819639度 東経135.8349972度