宋元以来俗字譜(そうげんいらいぞくじふ)は、中華民国中央研究院歴史語言研究所が1930年に出版した異体字字典。劉復、(李家瑞)編。
概要
宋・元・明・清の時代に刊行された12の民間刊本で使用されている漢字のうち、略字(俗字)で表記されているものだけを集めて一覧にした漢字表。1500字程度の漢字を部首・画数順に配して表の最上段に「正楷」として字体を掲げ、その下の12段に各出典に現れる対応する俗字を並べる形でまとめられている。全体として延べ6200字余の俗字が収録されている。
字体の研究において重要な資料の一つに数えられる。また、本書の1930年発行当時、中国では漢字の簡化運動が盛んであり、その後1950年代の簡体字に本書収録文字と一致するものが多く見られる。日本の当用漢字・常用漢字における新字体にも同様に一致するものが多く、中世以降に中国大陸から入ってきた字体の来歴が窺える。
出典となった刊本
No. | 書名 | 時代 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 『古列女伝』 | 宋 | 写本 |
2 | 『(大唐三蔵取経詩話)』 | 宋 | 影印本 |
3 | 『京本通俗小説』 | 元 | 写本を繆荃孫がまとめ直したもの |
4 | 『(古今雑劇三十種)』 | 元 | 影印本 |
5 | 『全相三国志平話』 | 元、至治 | 影印本 |
6 | 『朝野新声(太平楽府)』 | 元 | 影印本 |
7 | 『(嬌紅記)』 | 明、宣徳 | 影印本 |
8 | 『(薛仁貴跨海征東白袍記)』 | 明 | |
9 | 『(岳飛破虜東窓記)』 | 明 | |
10 | 『(目蓮記弾詞)』 | 清 | 不完全な刊本 |
11 | 『金瓶梅奇書前後部』 | 清、嘉慶 | |
12 | 『(嶺南逸史)』 | 清、同治 |