呪禁師は道教の影響を受けて成立し、呪術によって病気の原因となる邪気を祓う治療などを行った。古くは仏教の祈祷と混同されて用いられた例もある(『日本書紀』敏達天皇6年条)が、本格的な導入の初出は『日本書紀』にある持統天皇5年(691年)条である。
律令制においては呪禁()も病気治療や安産のために欠かせないものとされ、呪禁師の中で優秀なものは呪禁博士(定員1名)に任ぜられ、呪禁生(定員6名)の育成に努めた。だが、後に(厭魅蠱毒)()事件の続発によって呪禁()そのものが危険視されたこと、同様に道教の呪術を取り入れた陰陽道の台頭によって8世紀末期頃には事実上廃止され、9世紀には呪禁師の制度自体が消滅した。
参考文献 - (下山積與)「呪禁師」(『国史大辞典 7』(吉川弘文館、1986年) (ISBN 978-4-642-00507-4))
- (野村忠夫)「呪禁師」(『日本史大事典 3』(平凡社、1993年) (ISBN 978-4-582-13103-1))
- 加納重文「呪禁師」(『平安時代史事典』(角川書店、1994年) (ISBN 978-4-04-031700-7))
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