概要
旧暦10月10日に行われる収穫祭であり、北関東を中心に甲信越から東北地方南部にかけて広く分布し、西日本の刈上げ行事である亥の子と対応している[1]。「案山子上げ」「案山子の年取り」「大根の年取り」「大根の年越し」などとも言う[1]。
十日夜では、稲の収穫を感謝し翌年の豊穣を祈って、田の神に餅・ぼた餅が献じられるほか、稲刈り後の藁を束ねて(藁づと)や(藁鉄砲)を作り、子供達が地面を叩きながら唱えごとをする行事が行われる[2][1]。地面の神を励ますためとも、作物にいたずらをするモグラを追い払うためとも言われる[2]。唱えごとにはバリエーションがあり、埼玉県では「トーカンヤ、トーカンヤ、朝そばきりに昼団子、ヨーメシ食ったらひっぱたけ」「トーカンヤ、トーカンヤ、十日のぼた餅生でもいいから十食いたい」などのバリエーションが存在する[1]。
長野県では、田んぼを見守ってくれた案山子を田の神に見立てて、田から内庭に移して供え物をする「(案山子上げ)」が行われる[1]。また、「十日夜は大根畑に入ってはいけない。畑へ入って大根の割れる音を聞くと死ぬ」という伝承を持つ地域がある一方で、埼玉県ではわら鉄砲で大根畑を叩いて「音に驚いた大根が抜け出してくる」「音を聞いた大根が背伸びをして大きくなる」という伝承を持つ地域もある[1]。
脚注
参考文献
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- 柳田國男 著『年中行事』、十日夜の藁鐵砲、日東出版社、1949年
- 谷口貢、 鈴木明子 編『民俗文化の探究 : 倉石忠彦先生古稀記念論文集』、三輪京子著、「十日夜のワラデッポウの唱え言葉」、岩田書院、2010年、(ISBN 978-4-87294-614-7)