概要
発射実験は国際機関へ通告せずに行われるが、2009年以降、銀河2号・銀河3号・光明星の発射時は事前に国際海事機関や国際民間航空機関に発射を通告している。北朝鮮は人工衛星搭載の打ち上げロケット発射は純粋な平和目的の宇宙開発であると主張している。これに対し、日本・韓国・アメリカ・国際連合安全保障理事会は、仮に人工衛星搭載でも発射は事実上の弾道ミサイル発射実験と見なしている。
ミサイル発射の年表
No. | 日時 | 型 | 飛翔エリア | 予告 | 北朝鮮の主張 | 衛星名 | 推定飛行距離 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1998年8月31日 | テポドン1号 | 秋田県沖 | なし | 衛星打ち上げ | 光明星1号 | |
2 | 2009年4月5日 | 銀河2号 | 秋田県・岩手県 | あり | 光明星2号 | ||
3 | 2012年12月12日 | 銀河3号 | 沖縄県沖 | 光明星3号 | |||
4 | 2016年2月7日 | 光明星1号(銀河3号) | 沖縄県 | 光明星4号 | |||
5 | 2017年8月29日 | 火星12 | 北海道沖 | なし | ミサイル発射 | 該当なし | |
6 | 2017年9月15日 | ||||||
7 | 2022年10月4日 午前7時22分頃 | 新型地対地中長距離弾道ミサイル | 北海道・青森県 | 該当なし | 約4600 km(過去最高)[1]。 |
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (1993年) - 日本海に向けた初の飛翔体。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (1998年) - 光明星1号も参照。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2006年) - 北朝鮮の核実験 (2006年)も参照。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2009年) - 北朝鮮の核実験 (2009年)も参照。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2012年) - 光明星3号1号機と光明星3号2号機を参照。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2013年)
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2014年)
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2016年) - 北朝鮮の核実験 (2016年1月)、北朝鮮の核実験 (2016年9月)も参照。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2017年) - 火星12、火星14、火星15、北朝鮮によるミサイル発射実験 (2017年8月)も参照。
- (北朝鮮によるミサイル発射実験 (2018年))[2] - 日本に向けた飛行は行われていない。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2019年)[3][4][5][6][7][8][9] - 1年間の重大実験が2回と打ち上げが13回、計15回に及んだ。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2020年)[10][11][12] - 1年間の打ち上げが計5回に及んだ。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2021年) - 1年間の打ち上げが計8回に及んだ。
- 北朝鮮によるミサイル発射実験 (2022年) - 3月24日に発射されたロケットが青森県沖のEEZ内へ落下した[13]。
- 北朝鮮による飛翔体発射実験 (2023年)
対策
国際連合報告者は、北朝鮮は物資不足で飢餓の恐れがあるなか、ミサイル発射実験を行っていると報告した[14]。北朝鮮当局は、2021年4月、国民に対し「苦難の行軍」を実施すると公表し、1990年代後半の飢餓の再来を予告している[15]。
2021年9月11日、12日、北朝鮮は2度にわたり日本海に向けて巡航ミサイルを発射した[16]。また、同月15日12時32分頃と12時37分頃[17]、有蓋貨車から[18]日本海に向けて弾道ミサイルを2発発射した[19][20]。
これについて、岸田文雄前政調会長は9月13日に外交・安全保障政策について記者会見し、弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する「敵基地攻撃能力」の保有について「有力な選択肢」と発言[21]、内閣総理大臣就任後も、北朝鮮のミサイル基地を先制攻撃して無力化する能力の向上に前向きな姿勢をみせた[22]。高市早苗もまた、そのための法整備を急ぎたい考えを示した[23][注釈 1]。こうした流れを受けて、11月12日、日本の防衛省では「防衛力強化加速会議」についての会合が持たれた[注釈 2]。また、2021年10月17日、アメリカ国防総省の情報機関は、北朝鮮の軍事力に関する報告書を発表し、北朝鮮が2021年から2022年にかけて長距離弾道ミサイルの発射実験を再開する可能性があるとして、警戒感を示した[25]。
脚注
注釈
出典
- ^ “”. web.archive.org (2022年10月4日). 2022年10月4日閲覧。
- ^ “North Korea Says It Has Tested ‘Ultramodern Tactical Weapon’”. www.nytimes.com (2018年11月15日). 2019年12月2日閲覧。
- ^ “”. www3.nhk.or.jp (2019年9月11日). 2019年9月11日閲覧。
- ^ “北朝鮮ICBM施設で動き、韓国は「ミサイル関連活動」と判断 ロイター”. ロイター (2019年3月16日). 2019年9月11日閲覧。
- ^ “北朝鮮が弾道ミサイル発射、EEZ内には落下せず 5月以降13回目”. www.sankei.com. 2019年12月2日閲覧。
- ^ “”. www3.nhk.or.jp. 2019年12月2日閲覧。
- ^ “” (PDF). www.mod.go.jp (2018年11月15日). 2019年12月2日閲覧。
- ^ “”. www3.nhk.or.jp (2019年12月9日). 2019年12月9日閲覧。
- ^ . 朝日新聞デジタル. (2019年12月15日)2019年12月15日閲覧。
- ^ “”. www3.nhk.or.jp. NHK NEWS WEB (2020年3月2日). 2020年3月2日閲覧。
- ^ “”. www.nikkei.com. 日本経済新聞. 2020年3月9日閲覧。
- ^ “「北朝鮮、弾道ミサイル防衛網突破の核ミサイル製造に躍起」米議会調査局が報告書”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2020年7月18日閲覧。
- ^ “”. www7.kaiho.mlit.go.jp. 海上保安庁 (2022年3月24日). 2022年3月24日閲覧。
- ^ NHK NEWS WEB (2021年10月23日). “国連報告者 “北朝鮮 物資不足で飢餓のおそれ””. 日本放送協会 2021年11月5日閲覧。
- ^ 李泰炅 (2021年8月10日). “想像以上の苦境? 北朝鮮が再び「苦難の行軍」を決めたのはなぜか”. JBプレス2021年11月5日閲覧。
- ^ 讀賣新聞 (2021年9月14日). “北巡航ミサイル、高性能なら難しい探知・迎撃…低空を地形に沿って進む可能性”. 讀賣新聞社 2021年9月18日閲覧。
- ^ “お知らせ(続報)” (PDF). 防衛省. (2021年9月15日)2021年9月18日閲覧。
- ^ . 朝鮮中央放送. (2021年9月16日). https://youtube.com/watch?v=RpGxtCKy19Q&feature=youtu.be+2021年9月16日閲覧。
- ^ 防衛省大臣官房広報課 (2021年9月15日). “防衛大臣臨時記者会見”. 防衛省2021年9月18日閲覧。
- ^ 日本経済新聞 (2021年9月15日). “北朝鮮が弾道ミサイル2発発射 日本のEEZ外落下と推定”. 日本経済新聞社 2021年9月18日閲覧。
- ^ 東京新聞 (2021年9月13日). “岸田文雄氏 敵基地攻撃能力「有力な選択肢だ」 中期防見直しで「防衛費増」にも意欲”. 東京新聞社 2021年11月5日閲覧。
- ^ 時事ドットコム (2021年10月19日). “岸田首相、敵基地攻撃能力保有も選択肢 北朝鮮ミサイル技術に危機感”. 時事通信社 2021年11月5日閲覧。
- ^ 産経ニュース (2021年9月13日). “高市氏「敵基地の早期無力化を」 北ミサイルに懸念”. 産経新聞社 2021年11月5日閲覧。
- ^ a b 香田(2018)pp.54-55
- ^ NHK (2021年10月17日). ““北朝鮮が来年にかけ長距離弾道ミサイル再開の可能性”米機関”. 日本放送協会 2021年11月5日閲覧。
参考文献
関連項目
外部リンク
- 北朝鮮の主なミサイル基地 (asahi.com)
- 地図蔵「北朝鮮」