経歴
新潟県柏崎市出身[1][2]。2000年東洋大学文学部哲学科卒業[3]。活動の拠点とするイキウメは2003年結成。超常的な世界観で、身近な生活と隣り合わせに現れる異界を描く。空間と時間を同時に編集するシームレスな演出を特徴とする。
2007年『散歩する侵略者』(2005年初演)を小説として発表する(現在、角川文庫刊)。2008年上演の『表と裏と、その向こう』で、読売演劇大賞優秀作品賞、優秀演出家賞。2009年上演の『関数ドミノ』『奇ッ怪〜小泉八雲から聞いた話』で、紀伊國屋演劇賞個人賞、芸術選奨新人賞ほか受賞。
2010年ロンドン・ロイヤルコート劇場 (The Royal Court Theatre) の劇作プログラム(インターナショナル・レジデンシー)参加。同年『プランクトンの踊り場』で、鶴屋南北戯曲賞。2011年上演の『太陽』で第63回読売文学賞戯曲・シナリオ賞。『奇ッ怪 其ノ弍』『太陽』で第19回読売演劇大賞 最優秀演出家賞、大賞を受賞。
2013年劇団の実験室、カタルシツを開始。第一回公演ではドストエフスキー原作『地下室の手記』を翻案、演出。『地下室の手記』『片鱗』の演出で、第21回読売演劇大賞優秀演出家賞、『片鱗』で同賞優秀作品賞を受賞する。
2014年四代目市川猿之助によるスーパー歌舞伎Ⅱ『空ヲ刻ム者』の作・演出、『太陽2068』(蜷川幸雄 演出)、『暗いところからやってくる』(小川絵梨子 演出)の脚本を手掛ける。2016年舞台原作の映画『太陽』(入江悠監督)が公開、2017年『散歩する侵略者』『(予兆 散歩する侵略者)』(黒沢清監督)が公開される。
2017年イキウメは『天の敵』『散歩する侵略者』を上演。両作品で第52回紀伊國屋演劇賞団体賞(イキウメ)を受賞する。2018年、映画『散歩する侵略者』が25カ国で上映される。
『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』(2016年 世田谷パブリックシアター)、『ゲゲゲの先生へ』(2018年 東京芸術劇場)と、公共劇場と連携した新作公演を書き下ろし演出。2019年『終わりのない』(脚本・演出 前川知大、企画制作 世田谷パブリックシアター・エッチビイ)を上演。
2016年ロンドンで英語による『太陽』リーディング上演(The Studio Theatre, RADA)。2018年仏語による『散歩する侵略者』リーディング上演(パリ市立劇場)、ラジオフランスでラジオドラマを放送。2019年韓国語による『散歩する侵略者』がソウル・アルコ劇場で本上演(アーツカウンシルコリア主催)、韓国語版の戯曲と小説『散歩する侵略者』が出版される。2021年ドゥサンアートセンターで「太陽」上演、韓国語版の戯曲「太陽」が出版される(ALMA出版社)。
作品リスト
脚本・演出
- ヘリコプター畑(2003年)
- ボッサ!世界担当 (2003年)
- 窓際のベリーロール(2004年)
- 思慮深いモンスター(2004年)
- はばかるな(2005年 脚本)
- 短篇集 図書館的人生vol.1(2005年)
- 双魚(2006年 脚本)
- PLAYER(2006年)
- 江戸から着信!?(2007年 脚本)
- 煙の先(2007年 脚本)
- 狂想のユニオン(2007年)
- 抜け穴の会議室(2007・2010年)
- ウラノス(2008年 脚本)
- 眠りのともだち(2008年)
- 表と裏と、その向こう(2008年)
- 図書館的人生vol.2 盾と矛(2008年)
- 相思双愛(2009年 脚本)
- 奇ッ怪〜小泉八雲から聞いた話(2009年)
- 狭き門より入れ(2009年)
- 見えざるモノの生き残り(2009年)
- 図書館的人生Vol.3 食べもの連鎖(2010年)
- 現代能楽集Ⅵ 奇ッ怪 其ノ弐(2011年)
- ミッション(2012年 脚本)
- The Library of Life (2012年)
- 片鱗(2013年)
- 空ヲ刻ム者(2014年)
- 太陽2068(2014年 脚本)
- 暗いところからやってくる (2012・2014年 脚本)
- 新しい祝日(2014年)
- 地下室の手記(2013年二人芝居版、2015年ひとり芝居版)
- プランクトンの踊り場(2010年)、(聖地X)(2015年改題)
- 語る室(2015年)
- 太陽(2011年、2016年)[4]
- 遠野物語・奇ッ怪 其ノ参(2016年)
- 生きてる時間(2017年)
- 天の敵(2017年)
- プレイヤー(2017年 脚本)
- 関数ドミノ(2005・2009・2014年、2017年脚本)
- 散歩する侵略者(2005・2007・2011・2017年)
- 図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの(2018年)
- ゲゲゲの先生へ(2018年)
- CO.JP(2018年 脚本演出協力、脚本・演出 安井順平)
- 獣の柱(2013・2019年)[5]
- 終わりのない(2019年)[6]
- 外の道(2021年)
小説
- 散歩する侵略者 (2007年12月 メディアファクトリー、2017年7月 角川文庫)
- 鬼の頭 (群像 2011年4月号掲載、日本文藝家協会「文学2012」所収 2012年4月 講談社)
- ヤブ蚊と母の血 (小説新潮 2014年8月号掲載 新潮社、2018年7月新潮文庫nex「だから見るなといったのに: 九つの奇妙な物語」所収)
- 太陽 (2016年2月 KADOKAWA)
絵本
- (くらいところからやってくる) (絵:(小林系)、講談社)原作
漫画
映画
テレビ・ラジオ
- 奉納イデア毛抜き祭(NHK)脚本・演出
- 散歩する侵略者〜鳴海と真治の二週間〜(NHK-FM)脚本
- 予兆 散歩する侵略者(WOWOW)原作
- マリオ~AIのゆくえ~(NHK)脚本
受賞歴
- 第52回紀伊國屋演劇賞 団体賞(イキウメ『天の敵』『散歩する侵略者』)
- 第21回読売演劇大賞 優秀演出家賞(『地下室の手記』『片鱗』の演出)
- 第21回読売演劇大賞 優秀作品賞(『片鱗』)
- 第19回読売演劇大賞 大賞、最優秀演出家賞(『奇ッ怪 其ノ弍』『太陽』)
- 第19回読売演劇大賞 優秀作品賞(『奇ッ怪 其ノ弍』)
- 第63回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞(『太陽』)
- 第14回鶴屋南北戯曲賞(『プランクトンの踊り場』)
- 第18回読売演劇大賞 優秀演出家賞(『プランクトンの踊り場』『図書館的人生Vol.3 食べもの連鎖』)
- 第44回紀伊國屋演劇賞 個人賞(『関数ドミノ』『奇ッ怪〜小泉八雲から聞いた話』)
- 第17回読売演劇大賞 優秀演出家賞(『関数ドミノ』『狭き門より入れ』)
- 第60回芸術選奨新人賞 (『関数ドミノ』『奇ッ怪〜小泉八雲から聞いた話』)
- 第16回読売演劇大賞 優秀作品賞(『表と裏と、その向こう』)
- 第16回読売演劇大賞 優秀演出家賞(『表と裏と、その向こう』『図書館的人生vol.2 盾と矛』)
脚注
- ^ 『読売年鑑 2016年版』読売新聞東京本社、2016年、p.558
- ^ “アーティスト・インタビュー:前川知大”. Performing Arts Network Japan (2008年12月24日). 2019年12月14日閲覧。
- ^ “『東洋大学報』第231号、2012年、p.18”. 2019年12月8日閲覧。
- ^ 竹内みちまろ (2016年4月3日). “『太陽』原作の前川知大、神木隆之介&門脇麦の演技を絶賛”. cinemacafe.net. 2016年4月28日閲覧。
- ^ “ブラッシュアップを繰り返すことで作品を研ぎ澄ませていきたい イキウメ『獣の柱』作・演出の前川知大にインタビュー”. SPICE (2019年4月11日). 2109年12月14日閲覧。
- ^ ““山田裕貴=川端悠理”の切実な叫びが響くーー前川知大『終わりのない』が描くのは“意識の旅””. Real Sound (2019年11月4日). 2019年12月14日閲覧。
外部リンク
- 公式サイト(イキウメ / エッチビイ)
- 前川知大 (@tomomaekawa) - Twitter