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再配分

再配分(さいはいぶん)は、文化人類学経済学社会学などにおいて用いられる概念。人類学においては、再配分は権力の中心に対する義務的な支払いと、中心からの払い戻しを指す。

概要

再配分は、社会構造の中心性を特徴とする。物理的なものや所有権が共同体の配分の中心へ向けて動いたあと、再び中心から社会のメンバーへ向けて動く。集団内で財が集められたのち、慣習、法、中央における臨機の決定において配分がなされる。所有権の再配分においては、物資の物理的な移動をともなわない場合もある。再配分は狩猟採集社会から中央集権国家にいたるまで政治制度の一部であり、貯蔵、徴税、分業や社会階層、大規模な儀礼を可能にする。

再配分を、互酬交換とともに社会統合の主要なパターンのひとつとする学説もある[1]

再配分の例

小規模な共同体
家族や荘園、古代ローマのファミリア、ゲルマン民族のムント、スラヴのザドルガ、狩猟採集社会の集団でも再配分は行われる。個人の働きによる収穫物や捕獲物も、集団全体で分けられた。
大規模な貯蔵
古代メソポタミアのシュメルバビロニア帝国、古代エジプトの新王国、南アメリカのインカ帝国などは大規模な貯蔵制度による再配分を行った。食料をはじめとする物資は管理され、共同労働への支払いや食料不足の際に現物で支給された。
領土の拡大と生産物の多様化によって、再配分は地理的に分化した集団を結びつけ、結果として分業を進める効果も持った。
祭礼
祭礼や食物分配の儀礼と結びついたものとしては、アフリカではダホメ王国の貢祖大祭[2]モシ人の収穫祭であるバスガ[3]などがある。太平洋のトロブリアンド諸島で交易用カヌーが進水すると行うサガリは、カヌーの建造に関わった人々に食物を配分する儀式である[4]。アメリカ大陸北西部のポトラッチのように、裕福な者からの贈与は再配分と関係を持つ[5]
慈善
東ローマ帝国の再配分は、大土地所有者である教会の慈善と密接に結びついており[6]、イスラームのザカートワクフの制度にも再配分の面がある[7]
租税
近代以降に成立した国民国家で行われている租税も、徴集と中央からの再配分となる。

再配分と市場

再配分は、共同体の内部において市場と結びつくことがあり、そうした市場では食料などの日用品を扱う。古代ギリシアのポリスの再配分には、富裕者の家政(オイコス)を用いた方法、都市国家レベルでの中央集権的な方法、アゴラの市場を用いた方法の3種類があった。アテナイの富裕者だったキモンは古来からの領地にもとづく再配分を行ない、貧困の市民に収穫物を分け与えた。これに対してペリクレスはアゴラの方法を推進し、それまで無料だった法廷の陪審者に報酬を支給し、アゴラで食料を入手できるようにした[8]

中世ヨーロッパでは領主や教会、のちには都市自治体が食料や日用品の流通を促進させ、必要物資を確保するための市場管理を行った[9]。北アメリカでは植民地時代から19世紀にかけて市場法の伝統があり、都市では食料の高騰や欠乏を防ぐためにパブリック・マーケットが設立された。食料品はパブリック・マーケットを通してのみ購入でき、市場外取引、転売、買占めは禁止された。老人、未亡人、身体障害者、貧困者などは売り場使用料や営業時間制限を免除され、路上での行商が認められた。ニューヨークのように冬が厳しい都市では、食料の他に燃料も管理された[10]

再配分と交易

共同体間の大規模な交易では、輸入財の分配と輸出財の徴集が必要となり、再配分を用いた管理交易が運営された。管理交易に特徴的な制度が交易港であり、外国交易者の保護、軍事的な保証、交易財の貯蔵の便宜、交易財の品目と比率の合意などを行った。

数学と文字

再配分で管理する物資の数量や種類が増えるにつれ、計算や記録も複雑化した。このため再配分システムは、シュメルのトークンとブッラ[11]や、ミケーネ文明の貯蔵制度[12]における線文字Bなど、初期の文字の発達と関連があるとされている。エジプトでエジプト式分数が発達した理由として、再配分による現物経済もあげられている[13]

出典・脚注

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注釈

出典

参考文献

単行本

  • 網野徹哉『インカとスペイン 帝国の交錯』講談社〈講談社学術文庫〉、2018年。 
  • 大月康弘『帝国と慈善 ビザンツ』創文社、2005年。 
  • 加藤博『文明としてのイスラーム』東京大学出版会、1995年。 
  • 川田順造『無文字社会の歴史 - 西アフリカ・モシ族の事例を中心に』岩波書店〈岩波現代文庫〉、2001年。 
  • マーシャル・サーリンズ 著、山内昶 訳『石器時代の経済学』法政大学出版局〈叢書ウニベルシタス〉、1984年。 (原書 Sahlins, Marshall David (1975), Stone Age Economics 
  • (三瓶弘喜) 著「十九世紀アメリカにおける市場」、山田雅彦 編『伝統ヨーロッパとその周辺の市場の歴史』清文堂、2010年。 
  • ジョージ・G・ジョーゼフ 著、垣田高夫, (大町比佐栄) 訳『非ヨーロッパ起源の数学 - もう一つの数学史』講談社〈ブルーバックス〉、1996年。 (原書 Joseph, George Gheverghese (1990), The Crest of the Peacock: Non-European Roots of Mathematics 
  • カール・ポランニー 著、栗本慎一郎端信行 訳『経済と文明 - ダホメの経済人類学的分析』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2004年。 (原書 Polányi, károly (1966), Dahomey and the Slave Trade 
  • カール・ポランニー 著、玉野井芳郎、栗本慎一郎、(中野忠) 訳『人間の経済』岩波書店〈岩波モダンクラシックス〉、2005年。 (原書 Polányi, károly (1977), The Livelihood of Man, Academic Press 
  • ブロニスワフ・マリノフスキ 著、泉靖一増田義郎 訳『西太平洋の遠洋航海者』講談社〈講談社学術文庫〉、2010年。 (原書 Malinowski, Bronisław Kasper (1922), Argonauts of the Western Pacific: An account of native enterprise and adventure in the Archipelagoes of Melanesian New Guinea 
  • マルセル・モース 著、森山工 訳『贈与論 他二篇』岩波書店〈岩波文庫〉、2009年。 (原書 Marcel, Mauss (1925), Essai sur le don: forme et raison de l'échange dans les sociétés archaïques 
  • (屋形禎亮) 著「古代エジプト」、樺山紘一 編『岩波講座 世界歴史2 オリエント世界』岩波書店、1998年。 
  • 山田雅彦 著「ヨーロッパの都市と市場」、佐藤次高岸本美緒 編『市場の地域史』山川出版社、1999年。 

論文・記事

  • (明石茂生)「古代メソポタミアにおける市場,国家,貨幣 : 商人的経済再考」『経済研究所年報』第28号、成城大学経済研究所、2015年4月、163-236頁、ISSN 0916-1023、NAID 120005765221、2020年7月16日閲覧 
  • (木原徳子)「トークンからみたウルク・エクスパンション」(PDF)『西アジア考古学』第7号、日本西アジア考古学会、2006年3月、61-81頁、ISSN 13456288、NAID 40015182195、2020年7月16日閲覧 
  • 周藤芳幸「ミケーネ社会からポリス社会への構造転換に関する統合的研究」『研究報告書.科学研究費補助金報告書;基盤研究(C);16520438』2007年、2020年7月16日閲覧 

関連項目

外部リンク

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