公共政策大学院(こうきょうせいさくだいがくいん)とは、公共政策の立案に関わることのできる高度専門職業人の育成を専門とした大学院。
日本においては大学院研究科として創設されているところや、専門職大学院として創設されているところなど、形態としては様々である。公共政策大学院で取得できる学位としては、公共政策学修士(専門職)、公共政策修士(専門職)、公共法政策修士(専門職)、公共経営修士(専門職)などがある。
概要
個々の大学院によりカリキュラムは異なるが、一般的には、公共政策分野ばかりではなく、政治行政一般、法律、リーダーシップ、交渉術、ジャーナリズム、経済財政分野などでスキルを積むことになる。修了者の進路としては、政治家、行政官、民間企業、マスメディア、NPO、国際機関などが想定され、修了者の政策立案能力をはじめ身に着けたスキルを如何に活用するかが、当面の課題である。
アメリカでは政権交代にともなって(閣僚)だけではなく幹部級の多くの官僚も交代するが、公共政策に限らず大学・大学院の教職がその人材供給源、並びに人材吸収源のひとつとなっている。
なお、(愛知政治大学院)[1]のように大学院を名乗り、学長等の職位を設けて受講生を募集する政治塾などがあるが、それらは学校教育法に規定される大学院や独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が認定する教育施設ではなく、学位は得られない。また、同法第135条では、「専修学校、各種学校その他第1条[2]に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない」としており、第146条では「(この)第135条の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する」としている。
各国の公共政策大学院
日本国
2003年に専門職大学院制度が施行されると、同年早稲田大学大学院公共経営研究科、2004年には東京大学大学院公共政策学連携研究部・公共政策学教育部、東北大学大学院法学研究科公共法政策専攻が設置された。2005年度には一橋大学大学院国際・公共政策教育部や北海道大学大学院公共政策学連携研究部・公共政策学教育部が、2006年度には京都大学大学院公共政策連携研究部・公共政策教育部がそれぞれ設置された。2007年度には、明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科が専門職大学院へ移行した。
- 東京大学公共政策大学院
- 京都大学公共政策大学院
- (一橋大学国際・公共政策大学院)
- (東北大学公共政策大学院)
- (北海道大学公共政策大学院)
- 早稲田大学政治学研究科公共経営専攻
- 明治大学大学院ガバナンス研究科
- 大阪大学大学院国際公共政策研究科
- 政策研究大学院大学
- (法政大学大学院公共政策研究科)
- (中央大学大学院公共政策研究科)
- (立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科)
- 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科
- 関西大学大学院ガバナンス研究科
米国
米国の公共政策学校は各校政策分析に異なる方法で取り組んでいる。シカゴ大学ハリス・スクール・オブ・パブリック・ポリシーではシカゴ大学の方針により定量的および経済的なアプローチを持ち、ハインツ・カレッジ(カーネギー・メロン)は計算を駆使しながら、技術主導の方法を、ケネディ・スクール(ハーバード大学)はより政治的な科学とリーダーシップに基づくアプローチをとる。インディアナ大学公衆環境問題学部は、環境科学および非営利団体の管理に利用可能な学際的な集中力で伝統的な公共政策訓練を提供している。さらに、イリノイ大学シカゴ校では政策立案における意思決定の段階(例: アジェンダ設定 )、および枠組み効果の重要性と政策形成における認知限界を強調する公共政策訓練を提供している。
米国で教育と品質の専門的基準を満たしている公共政策学校は、公共政策行政管理学校ネットワーク (NASPAA)の認定を受けている [3]
- ワシントン大学 (ワシントン州)エバンズ公共政策大学院(Daniel J. Evans School of Public Affairs)
- 南カリフォルニア大学(USC)公共政策大学院(School of Policy, Planning, and Development)
- ウィリアム・アンド・メアリー大学トーマス・ジェファーソン公共政策大学院
- ミネソタ大学H.H.ハンフリー公共政策大学院(H.H. Humphrey Institute of Public Affairs)
- ミシガン大学フォード・スクール
- カーネギーメロン大学ハインツ・カレッジ
- カリフォルニア大学バークレー校ゴールドマンスクール
- カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)公共政策大学院
- コロンビア大学国際公共政策大学院(SIPA)
- シラキューズ大学マックスウェル行政大学院
- シカゴ大学ハリススクール
- ハーバード大学ケネディ・スクール
- インディアナ大学ブルーミントン校(SPEA)
- ジョージタウン大学公共政策研究所(PPI)
- カリフォルニア大学サンディエゴ校
- コーネル大学公共政策大学院(CIPA)
- ランド研究所政策大学院 (Frederick S. Pardee RAND Graduate School)
- ジョージア州立大学 アンドリューヤング政策 大学院
- ワシントン大学 エバンズ公共政策大学院
- ラトガース大学 エドワード・J・ブルステイン計画・公共政策 学部
- ジョージタウン大学 マックコートスクールオブパブリックポリシー
- ミシガン大学 ジェラルドR.フォード公共政策 大学院
- カリフォルニア大学バークレー校 ゴールドマン公共政策大学院
- カリフォルニア大学リバーサイド校 公共政策大学院
- バージニア工科大学 行政管理政策センター
- スタンフォード大学 国際政策フォードドーシー修士号
- バージニア大学 フランクバテンリーダーシップ大学院
- ジョージメイソン大学公共政策学部
- シカゴ大学 ハリス公共政策研究大学院
- カーネギーメロン大学 情報システム公共政策大学院(ハインツ・カレッジ)
- ミネソタ大学ツインシティー校ヒューバートH.ハンフリー公共政策学部
- ジョージア工科大学 イヴァンアレン教養学部
- コーネル大学公共政策大学院
- インディアナ大学ブルーミントン校オニール公環境環境学部
- ハーバード大学 ジョンFケネディスクールオブスクール
- オハイオ州立大学 ジョングレン公共政策学部
- ジョンズ・ホプキンズ大学公共経営大学院プログラム
- テキサス大学オースティン校 リンドンB.ジョンソン公立学校
- ケンタッキー大学 マーティン公共政策・行政学部
- マイアミ大学の行政管理プログラム(UMPA)の修士[4]
- クリーブランド州立大学 マキシングッドマンレヴィン都市問題学校 [5]
- シラキュース大学 マックスウェル市民権公共政策学校
- ミドルベリー大学 モントレー国際学院
- ニューヨーク大学 ロバートF.ワーグナー大学院公共サービス研究科
- ウィスコンシン大学マディソン校 ロバートM.ラフォレット公共政策学部
- ニューヨーク州立大学オールバニ校ロックフェラー大学公共政策学校
- デューク大学 サンフォード公共政策大学院
- コロンビア大学国際公共政策大学院
- マサチューセッツ大学アマースト校 公共政策学部
- リバティ大学 ヘルムズスクールオブスクール
- 南カリフォルニア大学 ソルプライス公共政策大学院
- オレゴン州立大学 公共政策大学院
- ブッシュスクールオブスクールアンドパブリックサービス
- ジョージ・ワシントン大学 トラクテンバーグ公共政策行政学部
- アーカンソー大学 クリントンスクールオブパブリックサービススクール
- カリフォルニア大学ロサンゼルス校 ラスキンスクールオブパブリック・パブリックスクール
- ジョージア大学
- メリーランド大学 公共政策学科
- メリーランド大学カレッジパーク校 公共政策学部
- プリンストン大学 プリンストン公共国際政策学校
- ペパーダイン大学公共政策学部
- ピッツバーグ大学大学院国際広報研究科
欧州
ヨーロッパでは、(ルイススクールオブスクール)など政治的な研究をメインに行うフランスの研究所であっても、経済学、新公共経営、および政策分析を組み合わせた公共政策への学際的なアプローチをし、パリ政治学院は政治的、組織的社会学、世界の安全保障とこれらの中核となる要素を補完する経済学、およびそれらを牽引するリーダー育成研究を主な研究内容としている。
欧州委員会を通じてエラスムス・ムンドゥスプログラムは公共政策におけるエラスムス・ムンドゥス修士プログラムに資金を提供する[6] 2007年以来、このプログラムはEurorpeの4つの主要な政策志向の学校結集: バルセロナ国際研究所(IBEI) (スペイン)、中央ヨーロッパ大学 (ハンガリー)を、エラスムス大学ロッテルダム 国際社会研究所 (オランダ)およびヨーク大学政治学部(イギリス)である。
英国
- オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院
- ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス行政学科
- ケンブリッジ大学政治国際学科(MPhil in Public Policy [7])
- ブリストル大学政策学部
- ダラム大学政府及び国際問題学部
- ロンドン経済学部政治学院
- エジンバラ大学行政学院政府アカデミー大学院
- ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン公共政策学部
- オックスフォード大学社会政策インターベンション学科
- ロンドン大学東洋アフリカ研究学院財務管理研究センター
- キングス・カレッジ・ロンドン社会科学部公共政策科
- ストラスクライド大学公共政策大学院
- ヨーク大学政治学部
ドイツ
- (ヘルティスクールオブガバナンス)、ベルリン
- ウィリーブラントスクールパブリックスクール、エアフルト
- ドイツ行政科学大学、シュパイアー
- NRWスクールオブガバナンス、デュースブルク
- バイエルン公共政策大学院 (ミュンヘン政治学院)、ミュンヘン
- ツェッペリン大学 政治学、国際政治学
イタリア
- グイド・カルリ社会科学国際自由大学
- ローマ・ルイス・スクール・オブ・ガバメント
チェコ共和国
- プラハ・チャールズ大学公共社会政策学科
ハンガリー
- ブダペストコルヴィナス大学(公共政策・管理学科EAPAA認定)
オランダ
- マーストリヒト大学および国連大学 マーストリヒト大学院 マーストリヒトガバナンス大学院
- エラスムス大学ロッテルダム 国際社会研究所
ロシア
- ロシア連邦大統領下ロシア国家行政行政学院
アジア
台灣
カザフスタン
- ナザルバエフ大学公共政策大学院
ネパール
- 中央管理局(CDPA)
- トリブバン大学行政キャンパス(PAC)
- マヘンドラモランマルチプルキャンパス(MMC)
フィリピン
- アテネオ・デ・マニラ大学政府のアテネオ・スクール
- 国立大学フィリピンディリマン校行政とガバナンススクール
- フィリピン工科大学経済、金融、政治大学
カタール
- ハマドビンカリファ大学カタールイスラム学部イスラーム公共政策学科
シンガポール
- シンガポール国立大学 リークアンユー公共政策 大学院
- 南陽理工大学S.ラジャラトナム国際研究院
- 国際研究スクール
- チェンマイ大学公共政策学部
ブルネイ・ダルサラーム国
- ブルネイ大学ダルサラーム校 政策研究所
中国
インド
ハイデラバードのタタ社会科学研究所は、ハイデラバードキャンパスで公共政策とガバナンスの修士号を発表。バンガロールの国立ロースクールは、開発と公共政策の間のインターフェースとして法に特に焦点を当てながら、2014年にインドの一流教員とのMPPプログラムを開始。インド経営大学院が提供する公共政策管理コースの大学院課程は、健康政策や環境政策などの特定の政策分野に特に重点を置いた学際的なコースであり、経済的かつ定量的なアプローチを開発した。
インドのビジネススクール、ハイデラバード&モハリは、世界有数の公共政策学校であるフレッチャー法科大学院とタフツ大学の外交官との協議の中で、行政学修士レベルの公共政策管理プログラム(MPPP)を開始。農村管理アナンド研究所には公共政策とガバナンスに特化したセンターがある。公共政策と地方分権化、公共政策分析、公共システム管理などのコースを提供。同研究所は開発コンサルティングに積極的に取り組んでいる。マハトマ・ガンジー大学国際関係政治学部が最初に学際的な公共政策とガバナンスの修士号を提供。
インドのジンダル政府公共政策大学院は、発展途上国およびBRIC諸国における政策決定過程に焦点を当てた公共政策に関する学際的訓練を提供。長年公共政策の学期別卒業証明書を提供している[8]インドタクシャシラ協会では、インドの学問としての公共政策の開発だけでなく、作業の専門家への公共政策の教育にアクセスすることに焦点を当ててきた。経営開発研究所(GurugramのManagement Development Institute、MDI)は公務員のためのPublic Policy Program [9]とPublic Policy and Governanceの博士プログラムを提供している。FMS-WISDOM、バナスタリ・ヴィダヤピス (Banasthali Vidyapith)は、公共政策とCSR、政治学と行政の修士号を専門とするMBAを提供している[10]。
- インドビジネススクール、ハイデラバード
- ニューデリーインド行政学院
- インド経営研究所アフマダーバード
- インド経営研究所バンガロール
- インド・カルカッタ経営研究所
- MDIグルガオン公共政策・ガバナンス学部
- インド大学国立法科大学院、バンガロール
- ハイデラバードタタ社会科学研究所公共政策・ガバナンス学部
- ジンダル政府公共政策大学院、ソニパット、ハリヤーナ州
- TERI大学、ニューデリー
- タクシャシラ協会公共政策学校(独立シンクタンク)
- アーメダバード CEPT大学企画学部
- ラジャスタン中央大学、公共政策学科、法とガバナンス
- ジャンム中央大学公共政策行政学科
- スリスリ大学、グッドガバナンスおよび公共政策学科、Cuttack、Odisha
- FMS-WISDOM、バナスタリ・ヴィダピス、ラージャスターン州
- インド公共政策大学院
北米
カナダ
- カルガリー大学 公共政策学部
- ダルハウジー大学行政学部ノースカロライナ州ハリファックス
- オンタリオ州キングストン・クイーンズ大学政策学部
- マギル大学、モントリオール、マサチューセッツ州マックスベル公共政策大学院
- コンコルディア大学 公共政策行政学修士(MPPPA)、モントリオール、QC
- モントリオール大学モントリオール政治学部
- カールトン大学公共政策・行政学部、オタワ、ON
- オタワ大学オンタリオ州オタワ公共政策および国際問題に関する研究科
- ケベックシティ・ラヴァル大学政治学科、広報学修士
- ケベック大学州立行政学院
- サスカチュワン大学およびレジーナ大学、レジーナ、SKのジョンソン - 小山公共政策大学院
- トロント大学オンタリオ校の ミンクグローバル問題公共政策 大学院
- オンタリオ州トロントヨーク大学のグレンドン公共および国際問題学部
- オンタリオ州トロントライアソン大学公共政策行政学修士号
- サイモンフレイザー大学、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー校公共政策学部
- ブリティッシュコロンビア大学、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー校公共政策・グローバル問題学部 [11]
- BC州ビクトリア州ビクトリア大学行政学部
- オンタリオ州ウォータールー・ウォータールー大学とウィルフリッドローリエ大学の共同イニシアチブ・バルシリー国際問題学部
中南米
メキシコ
- メキシコシティ、経済教育研究センター行政課
- メキシコ自治工科大学
- メキシコ国立大学国際研究センター
- メキシコ国立自治大学大学院
- メキシコシティ行政研究所、メキシコシティ
- モンテレイ工科大学 モンテレー、メキシコキャンパスの公共および公共改革学校
- イベロアメリカーナ大学の社会科学政治学科
- メキシコ自治大学、UACM、Colegio de de Ciencias SocialesとHumanidades(CienciasPolíticaとAdministrators Urbana)。
- カリフォルニア大学オートノーマデシナロア校、FACULTAD DE ESTUDIOS、国際協会YPOLÍTICASPÚBLICAS
ブラジル
オセアニア
オーストラリア
- オーストラリア国立大学 クロフォード公共政策 大学院
- オーストラリアおよびニュージーランド政府学校
- タスマニア大学
アフリカ
エジプト
- カイロ・アメリカン大学のグローバル総務部
南アフリカ
- 西ケープ大学大学院 [12]
中東
イスラエル
- ヘブライ大学エルサレム大学フェダーマン公共政策大学院
アラブ首長国連邦
- ドバイ・スクール・オブ・ガバメント、ドバイ
脚注
- ^ 自民党愛知県連が運営する政治塾である。自由民主党中央政治大学院にならって、杉浦正健が愛知県連会長時代に設立した。ただし、中央政治大学院は愛知政治大学院と異なり、受講生名目の募集は行っていない。
- ^ 学校教育法第1条の条文 : この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
- ^ NASPAA Standards 2014-02-10 at the Wayback Machine.
- ^ Master of Public Administration Program (UMPA) at the University of Miami
- ^ “Roster of Accredited Programs” (英語). NASPAA Accreditation. (2014年4月7日)2018年5月16日閲覧。
- ^ Erasmus Mundus Master Program in Public Policy
- ^ MPhil Public Policy
- ^ The Graduate Certificate in Public Policy. http://takshashila.org.in/the-takshashila-gcpp/
- ^ “Best Public policy management Program in India”. www.mdi.ac.in. 2019年4月4日閲覧。
- ^ “Political Science And Public Administration - Welcome to Banasthali Vidyapith”. www.banasthali.org. 2019年4月4日閲覧。
- ^ https://policyschool.ubc.ca/
- ^ “School of Government webpage”. University of the Western Cape. 2015年11月5日閲覧。