伊予鉄道モハ5000形電車(いよてつどうモハ5000がたでんしゃ)は、2017年(平成29年)に登場した伊予鉄道の軌道線用電車である。
概要
2002年(平成14年)登場の2100形に続く超低床型LRVとして[4]、2017年(平成29年)9月に2両(5001・5002)が登場した[1][2][5]。以後2019年1月(5003・5004)[6]、2020年2月(5005・5006)[7]、2021年2月(5007・5008)[8]、2022年2月(5009・5010)と毎年度2両ずつが導入されている。また2022年度も追加で2両が導入されており、以後2024年度まで年度ごとに2両ずつ、第16編成までの導入が決まっている[9]。
車体
2100形に引き続き、アルナ車両のリトルダンサータイプSが採用されている。これは従来車(高床車)と同様の車軸付き台車を採用するものの、それらを車体の両端に配置することで、可能な限りの低床化を図るもので、台車上となる高床部分には運転台と4人掛け座席および運賃箱が設置されている[10]。
2100形から車体寸法および車内通路幅を拡大し、併せて乗降扉に外吊りのスライドドア(プラグドア)を採用したことなどから[11]、車両定員は2100形の47名(座席20名)から60名(座席26名)に増加した[2]。また、この乗降扉には開閉予告灯を設置し、乗客に対し乗降時の注意を喚起している。
構体は普通鋼製溶接組立方式を基本とし、前頭部および屋根覆い部にFRP製カバーを設置している。
車体デザインは「乗ってみたくなる未来型流線形デザイン」[2]をコンセプトとし、前面には3次元曲面ガラスを用いて丸みを強調している。
車体塗装は同社が2015年(平成27年)に打ち出した「IYOTETSUチャレンジプロジェクト[12]」の一環として、保有する電車・バスに採用の「愛媛らしさ」を表現したオレンジ色[13]を基調とした。
行先表示には、同社の鉄軌道車両としては初となるLEDを採用しており[11]、外国人観光客向けとして英語表記にも対応する[2]。
内装は白と黒のモノトーンで統一されたカラーリングを主とし、座席は従来車と同様の全席ロングシート配置ながら、当形式での改良点として中央部にはスタンションポールを設置している[10]。更にバリアフリー対応として、2100形と同様に車椅子スペースを設け、乗降口床にはスロープを内蔵している。このスロープ部の床面にはセンサーが設けられており、スロープを収納していない場合は、力行操作ができない[10]。また、車椅子スペースには収納座席を設置し、車椅子の利用がない場合は、通常のロングシートとして使用することが可能である[10]。
そのほか、中吊り広告を廃し、新たにデジタルサイネージを導入したこと、および、照明装置にはフラットタイプの面発光LEDを採用[2]したこと、並びに、Wi-Fi機器を搭載しており、無料インターネット接続サービス「えひめFree Wi-Fi」を提供していることが特色である。
5011,5012号は車内の電光掲示がフルカラー表示になっている。
運転台
車内
5002のナンバープレートとアルナ車両のプレート
車体前面(上)と側面(下)の行先表示
主要機器
台車は住友金属工業製のFS-95Aを採用している[10]。この台車は、2100形とほぼ同仕様の、車輪径660mm・軌間1067mmの車軸付きペデスタル式で、これに主電動機として出力60kWの三相かご型誘導電動機を装荷し、TD継手を用い駆動させている[10]。
なお、電装品に関しては、こちらも2100形に引き続き、先に述べた主電動機を含め、主に東洋電機製造製を使用している。
特筆される点として、VVVF制御装置と補助電源装置を一体化し小型化を図ったC-PCU装置を設置したこと[10]が挙げられ、これによって捻出された屋上スペースを用いて、2100形では床下に設置されていた空気圧縮機を屋上へと設置し、車内空間の拡張を図っている。
C-CPU装置と並んで屋上に設置される冷房装置は、出力24.5kWの屋上集中式[10]である。
ブレーキは多段階制御方式の電気指令式ブレーキに加え、空気ブレーキを併用する電空協調制御を採用[10]し、常用7段、非常、保安ブレーキを有している。また、デッドマン機能も付いている[10]。
運用
2017年9月21日より営業運転を開始した[1][2][5]。運用は、主に3系統、5系統と朝、晩の出庫入庫時の古町延長運転のみだったが、2020年3月31日に2系統環状線で営業運転を始めた。初運用は5001。また同年4月2日に1系統環状線で営業運転を始めた。初運用は5006。現在は本町線以外の全線で運転をしている。
5001の運用開始日=2017/9/21
5002の運用開始日=2017/9/22
各車状況
車両の写真
5001号
5002号
脚注
出典
- ^ a b c “新型LRT車両が営業運転を開始しました!”. 伊予鉄道. 2017年9月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “新型LRT車両 営業運転開始!(9/21)”. 伊予鉄道. 2017年9月22日閲覧。
- ^ 伊予鉄道株式会社モハ5000形車両用電機品 - 東洋電機技報 第137号 2018年
- ^ (PDF)(プレスリリース)伊予鉄道、2017年1月25日。 オリジナルの2019年1月30日時点におけるアーカイブ2021年1月29日閲覧。 。
- ^ a b “伊予鉄の新型LRT 営業運転開始”. 愛媛新聞オンライン. (2017年9月22日)
- ^ (PDF)(プレスリリース)伊予鉄道、2018年12月25日。 オリジナルの2021年1月29日時点におけるアーカイブ2021年1月29日閲覧。 。
- ^ (PDF)(プレスリリース)伊予鉄道、2020年3月5日。 オリジナルの2021年1月29日時点におけるアーカイブ2021年1月29日閲覧。 。
- ^ (PDF)(プレスリリース)伊予鉄道、2021年1月29日。 オリジナルの2021年1月29日時点におけるアーカイブ2021年1月29日閲覧。 。
- ^ {{Cite web|url=https://www.iyotetsu.co.jp/img/pdf/barrier_free2020.pdf |title=2020年度 移動等円滑化取組計画書|format=PDF |publisher=伊予鉄道|accessdate=2020-08-27}}
- ^ a b c d e f g h i j 日本鉄道運転協会『運転協会誌』2017年12月号 pp37-39
- ^ a b . 南海放送 (NNN). (2017年9月21日). オリジナルの2017年9月22日時点におけるアーカイブ。
- ^ “https://www.bing.com/ck/a?!&&p=2bb545e74bf83abaJmltdHM9MTY3NDUxODQwMCZpZ3VpZD0zMzgzMmE5OS1iNTkxLTZjYjktMzc0OC0zOGU2YjRlYjZkNzkmaW5zaWQ9NTIwOQ&ptn=3&hsh=3&fclid=33832a99-b591-6cb9-3748-38e6b4eb6d79&psq=IYOTETSU%e3%83%81%e3%83%a3%e3%83%ac%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%82%af%e3%83%88&u=a1aHR0cHM6Ly93d3cuaXlvdGV0c3UuY28uanAvaW1nL3BkZi9jaGFsbGVuZ2UucGRm&ntb=1”. 伊予鉄グループホームページ. 2023年1月24日閲覧。
- ^ “伊予鉄道5000形、市内電車の新型車両は「未来型流線形デザイン」9月導入へ”. マイナビニュース. (2017年1月25日)
- ^ “NTTドコモさんのラッピング電車が運行開始♪”. 伊予鉄総合企画公式ツイッター. 2021年1月31日閲覧。
- ^ “松山市内線電車『新型LRT車両』への広告掲出について”. 太陽石油(SOLATO). 2020年9月22日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 伊予鉄道株式会社モハ5000形車両用電機品 - 東洋電機製造