人間万歳(にんげんばんざい)は、武者小路実篤による戯曲。1922年9月1日発行の『中央公論』に掲載された。1925年3月に帝劇で文芸座により初演。
あらすじ
ある宇宙の神様は、自分の脳味噌の垢の入った命の水を垂らして地球に生物を誕生させた。その脳味噌の垢により、人間が生まれる。地球を管理している天使は、時に災害に見舞われ、時に争いを起こす人間を心配し、逐一神様に伝えに来るが、神様は人間にそれほどの興味を示してはくれない。しかし、あるとき訪ねてきた隣の宇宙の神様に、調和を実現し見上げるような死を遂げた人間の話を聞き、天界の神や天使たちは「人間万歳」と人間を讃美するのだった。
主な登場人物
- 神様
- 物語が繰り広げられている宇宙の神様。好色な面を持ち「馬鹿」と暴言を吐く等、人間的な部分が目立つ。
- 天使
- 神様に地球を任せられ、地球の成長を逐一神様に報告しに来る。人間に同情し、一喜一憂する。
- 滑稽天使
- 神様の側近のような役割の天使。尻尾を持っていて、嬉しいときそれを動かす。滑稽な口ぶりで神様や天使を導く。
- 女の天使
- 七人つ星の兄妹天使のうち一番若い女の天使。美しく、神様に気に入られている。
- 道徳天使
- 天界の道徳を管理する天使
- 生命天使
- 神様に「俺の道徳天使」と呼ばれている。
- 隣の神様
- 神様がいる宇宙の隣の宇宙の神様。
- 覆面の神
- 九幕、神様の夢に隣の宇宙から来た神様として登場する。暴力で天界を奪おうとする。
- (備考)冒頭に「倉田百三兄に捧ぐ」とあるが、倉田百三とは大正、昭和初期に活躍した小説家、劇作家であり、大正7年の肋骨カリエスの手術のため、福岡を滞在した事を契機に当時武者小路実篤が行なっていた「新しき村」運動に協力。約半年という短い期間ながら、「新しき村」福岡支部に尽力した。
上演記録
- 大正一四年三月帝国劇場 文芸座
- 昭和二十九年七月帝国劇場 宝塚雪組[高木史朗]
- 昭和三十二年十一月(不明) 霞座
- 昭和四十三年九月十五日 ※新しき村五十年祭
外部リンク
- 武者小路実篤 作品鑑賞 - 調布市武者小路実篤記念館