この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
不正指令電磁的記録に関する罪(ふせいしれいでんじてききろくにかんするつみ)は、コンピュータウイルスを作成する行為等を内容とする犯罪(刑法168条の2および168条の3)。2011年の刑法改正で新設された犯罪類型である。
不正指令電磁的記録に関する罪 | |
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法律・条文 | 刑法168条の2、168条の3 |
保護法益 | プログラムに対する社会一般の信頼[1] |
主体 | 人 |
客体 | 不正指令電磁的記録 |
実行行為 | 不正指令電磁的記録の作成等 |
主観 | 故意犯(、目的犯) |
結果 | 挙動犯、危険犯 |
実行の着手 | - |
既遂時期 | - |
法定刑 | 各類型による |
未遂・予備 | 未遂罪(168条の2第3項) |
背景
サイバー犯罪条約加盟のために国内法の整備が必要となったため、2004年に刑法等改正案が提出されたが、同時に共謀罪を処罰するための組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)改正も含まれており、共謀の範囲が不明確で処罰範囲が広がるとの懸念がされていた。
このため、長期にわたって継続審議になっていたが、2011年の通常国会に、従来の改正案のうち共謀罪の部分を削除して提出し、同年6月に改正案が成立、7月14日から施行された。
不正指令電磁的記録作成等
正当な理由がないのに、人の電子計算機(コンピュータ)における実行の用に供する目的で、刑法168条の2第1項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(168条の2第1項)。同項各号に掲げられた電磁的記録とは、
- 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
- 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
の2種類である。典型的には、コンピュータウイルス等のマルウェアが想定されているため、「ウイルス作成罪」ともよばれる[2]。
ここでいう反意図性は、「当該プログラムについて一般の使用者が認識すべき動作と実際の動作が異なる場合」に肯定される[3]。
また、ここでいう不正性は、「電子計算機による情報処理に対する社会一般の信頼を保護し、電子計算機の社会的機能を保護する」という観点から、「社会的に許容し得ないプログラム」について肯定される[3]。
正当な理由がないのに、1項1号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した場合も同様とされる(168条の2第2項)。
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不正指令電磁的記録取得等
正当な理由がないのに、168条の2第1項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、または保管した場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処される(168条の3)。
未遂
供用罪(168条の2第2項)については、未遂も処罰される(168条の2第3項)。
脚注
出典
関連項目
外部リンク
- いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について (PDF) - 法務省