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『三匹の子ぶた』(さんびきのこぶた、原題:Three Little Pigs)は、1933年5月27日にユナイテッド・アーティスツから配給された、ウォルト・ディズニー製作、バート・ジレット監督のアニメーション短編映画作品である。またシリー・シンフォニーの短編映画がスクリーンで上映されたのは1963年再公開の「プカドン交響楽」以来5年ぶりのことである。
三匹の子ぶた | |
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Three Little Pigs | |
監督 | バート・ジレット |
脚本 | ボリス・モルコビン |
製作 | ウォルト・ディズニー |
出演者 | (ビリー・ブレッチャー) |
音楽 | フランク・チャーチル |
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
公開 | 1933年5月27日 |
上映時間 | 約8分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
前作 | (ノアの箱船) |
次作 | (おとぎの王国) |
同題の伝統的なお伽話を原作としたこの短編映画は、シリー・シンフォニーシリーズ第36作であり、1934年度のアカデミー賞短編アニメーション部門を受賞した。1994年にジェリー・ベックによる『The 50 Greatest Cartoons』で行われた投票では、本作はアニメーション史における11番目の重要な作品として格付けされた。2007年にはアメリカ議会図書館による合衆国国立フィルム登録簿に、「文化的、歴史的、美術的に重要な作品」として収録された。
作品内容
この短編では三匹の子ぶたに以下の名前が与えられている。フルートを吹きながらわらの家を建てる子ぶたはファイファー・ピッグ、ヴァイオリンを奏でながら木の枝の家を建てる子ぶたはフィドラー・ピッグ、レンガの家を建てて安全を手に入れた後で初めてピアノを弾く子ぶたはプラクティカル・ピッグである。末の弟プラクティカルは兄たちをかくまい、ビッグ・バッド・ウルフを追い払った後に兄弟にいたずらを仕掛け、ウルフや二人の兄よりも優秀であることを示してみせる。
声の出演
キャラクター | 原語版声優 | 日本語吹き替え |
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ファイファー・ピッグ | ドロシー・コンプトン | 中谷佐知子 |
フィドラー・ピッグ | メアリー・モーダー | 井上美哉子 |
プラクティカル・ピッグ | ピント・コルヴィッグ | 伊藤友美 |
ビッグ・バッド・ウルフ | ビリー・ブレッチャー | 内田稔 |
評価と反響
この映画は当時の観客の間で目ざましい成功を呼び起こし、公開後何か月にもわたり上映され続けた。多くの映画館ではこの作品がどれだけロングランを続けているかの指標として、映画のポスターにあごひげを書き加えた。
アニメーション史研究家の間では、『三匹の子ぶた』は、単純な「善玉」と「悪玉」ではない個性を備えた複数のキャラクターを描き分けた、最初のアニメーション作品であると考えられている。わらの家と木の枝の家を建てた子ぶたは軽はずみで無用心であり、レンガの家を建てた子ぶたは用心深く生真面目である。
ビッグ・バッド・ウルフが戯画化されたユダヤ人の行商人に扮装する場面は、後に配給されたフィルムでは削除され、ウルフが(フューラー・ブラッシュ)社(アメリカの有名なブラシ販売会社)の訪問販売員を装うという、比較的差し障りのない場面が代わりに挿入された。
この作品のためにフランク・チャーチルにより作曲されたオリジナル曲『狼なんかこわくない』(原題:Who's Afraid of the Big Bad Wolf?)は、ベストセラー・シングルとなった。人々は世界恐慌を「大きな悪い狼」になぞらえて笑い飛ばすためにこの曲を歌い、恐慌に立ち向かうための応援歌として愛唱した。第二次世界大戦に先立つ数年間にナチス・ドイツがドイツの領土を拡張し始めると、この歌は戦争を行うことなくヒトラーに領土拡張を許した欧米諸国の無関心さを非難するのに使われるようになった。
挿入歌
- 『狼なんかこわくない』
- 作詞作曲:フランク・チャーチル
*続編でも利用されている。
続編
ディズニーは数編の『三匹の子ぶた』の続編を制作したが、いずれも最初の作品ほどには成功しなかった。最初の続編は前作と同じくバート・ジレットに監督され、1934年4月14日に公開された『赤ずきんちゃん』(原題:The Big Bad Wolf)である。この作品では前作の四匹に加えて、狼が悪役として登場する別の民話から採用された赤ずきんと、そのおばあさんの二人が新キャラクターとして追加された。
物語の筋書きは非常に単純だった。プラクティカル・ピッグは三匹のぶたが共同で住むための住居の増築に取りくんでいた。そこに通りかかった赤ずきんに、フィドラー・ピッグとファイファー・ピッグはおばあさんの家まで送っていこうと申し出る。プラクティカルからの忠告に逆らって、三人は近道として森を通り抜けようとする。三人は女装したウルフに出くわし、辛くも難を逃れる。ウルフは赤ずきんに先んじておばあさんの家に駆けつける。ウルフはおばあさんを衣装ダンスに閉じ込めると、孫娘の到着を待つ。やがて赤ずきんがやって来るが、おばあさんの手助けにより衣装ダンスの中に逃げ込む。その後、フィドラーとファイファーは弟に助けを求める。駆けつけたプラクティカルが焼けた石炭とポップコーンをウルフのズボンに入れ、ウルフを追い払う。この短編はいくつものギャグが含まれていたが、前作の商業的成功を繰り返すには至らなかった。この作品は現代の視聴者から見てもそれなりに楽しめるものの、前作よりは大きく劣っている。
この続編のそれなりの、しかし、前作には遠く及ばない成功が、ディズニーをしてそれまでに得た栄誉に甘んじさせず、マルチプレーン・カメラの開発や史上初の長編アニメーション映画『白雪姫』の制作のような、リスクの大きい計画に邁進させ続けた要因となったと考えられている。ディズニーの名言は、長年にわたってしばしば繰り返されてきた。「ブタで、ブタを越えることはできないよ(you can't top pigs with pigs)」。
またビッグ・バッド・ウルフは他のディズニー作品にも登場しており、「マジカルテトリスチャレンジ featuring ミッキー」ではピートの手下として登場した。
(リトル・バッド・ウルフ)はディズニーの漫画に登場するキャラクターで後に「ハウス・オブ・マウス」の短編作品で登場した。悪者になろうとしないリトル・バッド・ウルフは父ビッグ・バッド・ウルフの悩みの種だった。事実、リルトのお気に入りの遊び相手は三匹の子ぶたでウルフに捕まった彼らを助けたことがある。父に内緒で家に遊びに行っている。一方で友人である子ぶた達に「良いところだってあるよ」と父のことを話したり、ウルフの治療するなど嫌っている様子はない。
続編作品
いずれも本作と同じシリー・シンフォニーシリーズの作品である。
- (赤ずきんちゃん)(1934年)
- (オオカミは笑う)(1936年)
- (働き子ぶた)(1939年)
その他
ディズニーの短編アニメ、ミッキーマウスシリーズ初のカラー作品である『ミッキーの大演奏会』にチューバ奏者として出演し、ドナルドダックの友達でもあるピーター・ピグは三匹の子ぶた達のおじである。
スタッフ
日本での公開
収録
- 『夢と魔法の宝石箱 ディズニーのなかまたち』(VHS、バンダイ)
- 『シリー・シンフォニー 限定保存版』(DVD、ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント)
脚注
外部リンク
- Three Little Pigs - IMDb(英語)
- Three Little Pigs - The Big Cartoon DataBase(英語)
- Disney Shorts - Three Little Pigs(英語)
- Three Little Pigs - IMDb(英語)