リチャード・アレンズワース・ジュエル(Richard Allensworth Jewell、1962年12月17日 - 2007年8月29日)は、アメリカ合衆国の警備員である。
経歴
1962年12月17日[1]、バージニア州ダンビルで父ロバート・アールと母ボビのホワイト夫妻の間にリチャード・ホワイトとして生まれるが、4歳のときに両親が離婚し、母の再婚相手であるジョン・ジュエルの養子となってリチャード・ジュエルとなる[2]。
1996年アトランタオリンピックが開催されているあいだ、彼は警備員の職に就いていた[2]。1996年7月27日、(センテニアル・オリンピック公園)のベンチの下に不審なバックパックが置かれていることを発見した彼は、(ジョージア州捜査局)の捜査員に知らせて、周囲にいる人々を立ち退かせはじめた[2]。その数分後、バックパックに仕込まれていたパイプ爆弾が爆発した[2]。これにより2人が死亡、100人以上が負傷した[2]。
数日後、連邦捜査局がジュエルを事件の有力な容疑者として捜査を進めていることが報道された[2]。それまで国の英雄として扱われていたジュエルは、捜査局とマスメディアの両方に付きまとわれる日々を過ごすことになった[2]。同年10月、彼を捜査の対象から外すことが正式に発表されたことにより、リチャードの容疑は晴れた[3]。なお、事件の真犯人である(エリック・ルドルフ)は2003年に逮捕され、裁判で終身刑が確定した[1]。
ジュエルは一連の報道により名誉を傷つけられたとして、(ピードモント・カレッジ)、NBC、ニューヨーク・ポスト、CNN、(アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション)の発行元である(コックス・エンタープライズ)を相手取り、訴訟を起こした[4]。コックス・エンタープライズとの裁判では彼の主張は退けられたが、それ以外の裁判では和解金を受け取ることで合意した[4]。
事件後、ジュエルはジョージア州メリウェザー郡で郡保安官補を務めるなど、法執行官の職を転々とした[5]。2007年8月29日[1]、ジョージア州(ウッドベリー)の自宅で死去[6]。晩年は健康に問題を抱えており、自然死だったと伝えられている[6]。44歳没[6]。
大衆文化
クリント・イーストウッドが監督を務めた2019年の伝記映画『リチャード・ジュエル』は、ジュエルの生涯を題材としており、ポール・ウォルター・ハウザーがジュエルを演じている[7]。
出典
- ^ a b c d e Carlson, Michael (2007年10月26日). “Richard Jewell”. The Guardian. 2019年9月30日閲覧。
- ^ a b c d e f g Brenner, Marie (1997年2月1日). “American Nightmare: The Ballad of Richard Jewell”. Vanity Fair. 2019年9月30日閲覧。
- ^ Sack, Kevin (1996年10月28日). “A Man's Life Turned Inside Out By Government and the Media”. The New York Times. 2019年9月30日閲覧。
- ^ a b Wilkinson, Alissa (2019年12月11日). “Clint Eastwood's new movie Richard Jewell thwarts its truth-telling by smearing its female journalist”. Vox. 2020年1月22日閲覧。
- ^ Bruney, Gabrielle (2019年12月13日). “Clint Eastwood's Controversial New Film Fictionalizes the True Story of Richard Jewell”. Esquire. 2020年1月22日閲覧。
- ^ a b c Sack, Kevin (2007年8月30日). “Richard Jewell, 44, Hero of Atlanta Attack, Dies”. The New York Times. 2019年9月30日閲覧。
- ^ McNary, Dave (2019年9月27日). “Clint Eastwood's 'Richard Jewell' Gets Awards Season Release”. Variety. 2019年9月30日閲覧。
関連項目
外部リンク
- Richard Jewell - Find a Grave(英語)
- Richard Jewell - IMDb(英語)
- - ウェイバックマシン(2007年2月26日アーカイブ分) - 同志社大学・浅野健一ゼミ