ヤクルトレディは、ヤクルトの製品を配達営業する女性販売員である。「ヤクルトさん」「ヤクルトおばさん」などと親しまれる。
ヤクルトの販売当初は顧客の多くが家庭の主婦で、女性が配達すると親しまれて販売数量が増加したことから、1963年に本制度を開始した[1]。
自転車、スクーター、自動車などでヤクルトの各種製品を営業販売する。「レディ」の名称だが男性販売員も存在し、石井一久などが経験している[2]。
概要
1954年に高松で営業を開始する際に家庭の主婦に限定して販売員を採用すると販売数が増加し、ほかの地域も主婦を採用した事業所は業績が向上したことから、1963年に「婦人販売店システム」を全国で展開した。各販売会社は託児所を設けるなど[3]販売員の勤務環境を整えている。ヤクルトレディはパートタイマーやアルバイトなどの契約社員ではなく、各々が個人事業主である。
インターネットで受け付けた配達[2][4]も地区を担当する販売者が配達し、配達途上に直接販売も対応する[2]。
ヤクルトは世界31か国で販売し、ヤクルトレディは中華人民共和国やインドネシアなどのアジアやブラジルなどの南アメリカで採用している。欧州や北米はヤクルトレディを置いていない。
特徴
ヤクルトはスーパーマーケット、コンビニエンスストア、自動販売機などの販路に比して販売員の口コミに利点があり[5]、「Yakult1000」など販売員経由のみ購入可能な宅配専用商品を設けている[2]。店頭販売品として2021年10月に全国発売した「Y1000」と「ヤクルト1000」は容量や価格が異なる。
個人事業主であるヤクルトレディの収入は「事業所得」に分類され、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例と青色申告特別控除が、同時にそれぞれ最大65万円まで適用可能となり、給与所得が適用される通常のパートタイマーと比べて、所得税や社会保険料の支払で有利となる事例が多い。販売員は各自で貸借対照表の基礎資料となる帳簿書類を用意し、各々が契約するヤクルト販売会社の顧問税理士に依頼することで確定申告の負担を軽減している。
北海道室蘭市で80歳の女性が自宅の便所で動けなくなり、3日後に訪問したヤクルトレディに発見された救助された事例[6]など、地域貢献の側面も散見される。
愛の訪問活動
1972年に孤独死した高齢者に心を痛めた一人のヤクルトレディが自主的に始めた訪問活動。2020年3月時点で全国3万8千人の高齢者へ訪問活動を実施している。定期訪問の為、上記のように高齢者が救出された例もある。
制服
日本ユニフォームセンターによると、2013年現在でヤクルトレディの制服は日本の女性用制服として最も出荷数が多く[1]、これまで50年間に複数回モデルチェンジされている。
脚注
- ^ a b 小学館「女性セブン」2013年11月14日号(第51巻第42号)91頁 雑誌20922-11/14
- ^ a b c d “路上で声をかければヤクルトが買えると話題 そもそも「ヤクルトレディ」とは何者だ!?”. J-CAST会社ウォッチ (2021年5月31日). 2021年5月31日閲覧。
- ^ ヤクルト保育所.ヤクルトレディのお仕事情報!!、ヤクルト本社、2019年5月12日閲覧。
- ^ ヤクルト届けてネット.ヤクルト本社、2019年5月8日閲覧。
- ^ 堅調ヤクルトレディー 地域密着、不況知らず.朝日新聞デジタル(朝日新聞社)、2009年7月27日
- ^ . 室蘭民報ニュースWEB版 (室蘭民報社). オリジナルの2013年6月2日時点におけるアーカイブ。2019年5月8日閲覧。
関連項目
外部リンク
- ヤクルトレディのお仕事情報!! - ヤクルト本社公式サイト