メルエンプタハ(Merenptah / Merneptah、在位:紀元前1212年 - 紀元前1202年)は、古代エジプト第19王朝第4代目のファラオ。ラムセス2世の第13王子。メルエンプタハは誕生名であり、即位名はバエンラー・メリネチェル(「ラーの魂、神々に愛されしもの」)。王妃は数人確認されている。子にはセティ2世、アメンメセス(母はタカト)らがいる。
生涯
異母兄第1王子アメンヘルケペシュエフ、同母兄の第2王子ラムセス、第4王子カエムワセトの死後、四人目の後継者に指名された。このときすでに40歳を超えていたが、ラムセス2世はその後さらに20年近く在位したため即位したのは実に60歳を超えてからのことであった。
医学の未発達なこの時代としては驚くべき高齢での即位と言える。
彼のミイラは(KV8)に当初埋葬されたが、1898年にアメンホテプ2世が埋葬されているKV35で発見され、現在ではカイロのエジプト考古学博物館に所蔵されている。身長は171.4センチで、父ラムセス2世のミイラと同様、関節炎の痕跡が確認されている。
治績
父王ラムセス2世を悩ませたリビア人の侵攻にはメルエンプタハもまた手を焼かされた。 また、人生の大半を軍人として過ごしてきたため政治は不得意であった。 しかし努力と父王から引き継いだ重臣たちの協力で政治的能力を成長させ、治世中期に起こったリビア人の侵攻に際しては見事な指導力、危機管理能力を発揮してリビア人の撃破に成功した。
メルエンプタハのミイラ
メルエンプタハのミイラは王家の谷のKV35王墓から発見された。ミイラの保存状態はさほど悪くなく、盗掘によって腕に損傷があっただけで他のファラオと比較してもかなり状態の良いミイラであった。父であるラムセス2世と同様、死亡時はとても高齢であったため虫歯や歯周病、動脈硬化など様々な病気で苦しんでいた可能性が指摘された。