ヘンナ

ヘンナ（ヘナ）は、ミソハギ科の植物の名。和名は、指甲花（シコウカ）・ツマクレナイノキ・エジプトイボタノキ。学名は、Lawsonia inermis。主に、マニキュアや(ヘナタトゥー)などの染料として古代から使用されてきたハーブである。

ヘンナ（ヘナ）
分類
界 : 植物界 門 : 被子植物門 綱 : 双子葉植物綱 亜綱 : バラ亜綱 目 : フトモモ目 科 : ミソハギ科 属 : (シコウカ属)

概説

エジプト、インド、北アフリカ、イランなどの乾燥した水はけの良い丘陵に育つ、ミソハギ科の高さ3メートルから6メートルほどの常緑低木。白またはピンク系の花、長さ2センチ幅1センチほどの楕円形の葉をつける。

葉を乾燥させて粉にしたものを水などで溶いたものが、古くから髪・眉・爪・手足などの染色やペイントに使用されている。染料となるのはローソンという赤色（オレンジ色）色素で、そのローソンがタンパク質に絡み付く習性を持っているため、人間の頭髪や皮膚に色が付く。その歴史は、記録に残っている限りでは先史時代にまで遡り、クレオパトラもヘンナで爪などを染め、現代で言うマニキュア代わりとして使用していたという。

ヨーロッパではトリートメント目的でペルシャ産のヘンナが使われており、日本でも近年白髪染めとトリートメント目的でインド産のヘンナが使用されている。一般的にペルシャ産のヘンナの方が質が良いとされている。

染色用途以外にも、

• 豊かな髪を作る（頭皮を健康に保ち髪の毛を保護する）
• フケや頭皮のかゆみを予防する
• 手足などの皮膚の薄い繊細な場所を保護する
• 紫外線を予防する
• 便秘が治る
• 更年期障害やPMSを緩和する

などと口承されているが、そのメカニズムに関しての資料報告は、現在のところほとんどない。

用途

 

メヘンディ

古くは、アラブ馬のたてがみを染めたり、切り傷・潰瘍・炎症などに使用されたり、マニキュアや眉墨代わりに用いられた。

現在では主に、天然素材の白髪染め・ヘアートリートメントの原料として、または(メヘンディ)（英語版）・ヘンナタトゥー（(ヘナタトゥー)）・(ヘナージュ)などと呼ばれるボディーペイントの原料として使用されている。草木染めなどにも使用される。天然の染料として、人体にも使用できるハーブとして注目されている。花は香水の原料にもなる。

栽培

ヘナの木は北アフリカ、アジア、オーストラリア北部などの半乾燥帯と熱帯に自生する^[1][2]。35℃から45℃の間で育ったヘナが最も染まりが良いとされる^[3]。降雨のある間、ヘナは早く生長し、新枝を出すが、長引く乾燥や涼しい天候においては葉が徐々に黄色になり、落ちてしまう。11℃以下の環境では生長ができず、5℃となると死んでしまう。

脚注

1. ^ "Henna". HowStuffWorks. Retrieved 5 May 2013.
2. ^ "henna (plant)". Encyclopædia Britannica. 2013年5月5日閲覧。
3. ^ Bechtold, Thomas; Mussak, Rita (6 April 2009). Handbook of Natural Colorants. John Wiley & Sons. p. 155. (ISBN 9780470744963).

参考文献

• 『美髪再生 髪にやさしいヘンナをはじめましょう』塩田鹿納命著（メタモル出版・2008年）
• 『染色原典 ワイルドカラー』ジェニー・ディーン著／箕輪直子監修（産調出版・2000年）
• 『Henna-Tattoos はじめてのヘナタトゥー』ウラヤ・ガダラ／マーゴット・イブライム共著／手塚千史訳（岳陽舎・2002年）

外部リンク

• The Henna Page