ブラジルの言語においては、現在ブラジルでは223の言語が話されているが[1]、公用語はポルトガル語であり、ポルトガル語は他の言語に比べて圧倒的な存在感を保っている[2]。
先住民言語
現存しているブラジルの先住民言語は163存在する[1]。
植民地時代に、トゥピ系のトゥピナンバ語をベースにサンパウロ州や、北部のマラニョン州、パラー州でリンガ・ジェラールと呼ばれる白人と先住民、あるいは先住民同士の意思疎通を図るための共通語が成立した[3]。サンパウロ州のものは18世紀に消滅したが、(北部)のものは現在も(カボクロ)やインディオによって用いられている[3]。
ポルトガル語
1822年の独立以来、ブラジルではブラジルのポルトガル語が「ブラジル語」か「ポルトガル語」かを巡って論争があり、20世紀に入るとナショナリズムの高揚から1935年に国語を「ブラジル語」と表記する案が提出されたが[4]、この論争は1946年に言語学者(ソウザ・ダ・シルヴェイラ)が提出した報告書によって、ブラジルの国語はポルトガル語であることが確認され、終焉した[5]。 ブラジルのポルトガル語はポルトガルのポルトガル語とは語彙や音韻がかなり異なるが[6]、話者の意識としては「ブラジル語」は存在しないとみなす考え方が一般的である[7]。
脚註
参考文献
- 市之瀬敦『ポルトガルの世界──海洋帝国の夢のゆくえ』社会評論社、2001年12月。ISBN (4-7845-0392-7)。
- 黒澤直俊「ブラジルの言語」『ブラジル学を学ぶ人のために』富野幹雄、住田育法編、世界思想社、2002年7月。
- 佐野泰彦『ポルトガル・ブラジル文化への誘い』同朋舎出版、1983年6月。