ファースト・ネーション(カナダ英語: First Nations)は、カナダに住んでいる先住民のうち、イヌイットもしくはメティ以外の民族のことである[1]。現在、カナダには50を超える民族に50種の固有言語を有する、630を超えるファースト・ネーションの共同体が存在し[2]、そのうちおよそ半分はオンタリオ州かブリティッシュコロンビア州に居住している。人口は2011年の国の世帯数調査によれば1,400,000人を超え、これはカナダの全人口の4パーセントにあたる[2]。
(カナダの雇用均等法)の下でファースト・ネーションは、女性やヴィジブル・マイノリティー(肌の色から判断できる少数派人種、つまり白人以外の人種)または身体および精神障害者と並び、「特定集団(designated group)」として扱われる。同法及びカナダ統計局の要件として、ヴィジブル・マイノリティーに含むと定義されていない。
呼称
(カナダ憲法)上ではインディアン(Indian)という呼称がイヌイットとメティを除く先住民(Aboriginal peoples)を指す用語として用いられているが、これに不快を覚える先住民もおり、「ファースト・ネーション」という呼称が1970年代から一般的に使用されている[1]。また「ファースト・ネーション」の用語を、従来の「(バンド)」の言い換えとして使用してきている先住民集団も存在する[1]。一方、「インディアン」の呼称の使用は減少している[要出典]。2006年国勢調査によれば、インド系カナダ人の人口はファースト・ネーションの人口を超えている。
アメリカ合衆国政府が使用するネイティブ・アメリカン(Native American)と言う用語はカナダでは一般的ではない。アメリカ合衆国内に居住する先住民を指すとされるからである。また同様の呼称としてのネイティブ・カナディアン (Native Canadian)という用語は一般的には使用されない。単にネイティブと呼ばれる場合もある(カナダにおけるフランス語ではオートシュトン(autochton))。
現状
ファースト・ネーションは、差別を受ける対象である。2010年1月14日、国連が、先住民と非先住民の寿命の違いに関する調査結果を公表した。ファースト・ネーションは、イヌイットもしくはメティと共に、非先住民との寿命の開きが17年ほどあるとされている。国連は先住民に対して、経済・社会・文化における権利がいまだに限定されている可能性を指摘している[3]。
主なファースト・ネーション
関連項目
外部リンク
- ファーストネーション(在日カナダ大使館)
- カナダ先住民の軌跡と今=建国150周年を前に(時事通信社)