民族抵抗戦線

民族抵抗戦線（NRF）^[2][3]、国民抵抗戦線^[4]またはパンジシール・レジスタンスとしても知られ、アフガニスタンの北部同盟の元メンバーと他の反ターリバーンの人物によって形成された武装軍事同盟であり、2021年ターリバーン攻勢を受けて設立された。

民族抵抗戦線
アフガニスタン紛争、2021年ターリバーン攻勢、パンジシール紛争に参加
左図：アフガニスタン・イスラム共和国の国旗 右図：北部同盟の旗^[1] 両側の旗は戦線で使われている。
活動期間	2021年8月16日 -
指導者	アフマド・マスード (アムルッラー・サーレハ)（英語版） ビスミッラー・ハーン・モハンマディ
活動地域	民族抵抗戦線の活動範囲（パンジシール州、パルヴァーン州、バグラーン州の一部地域）   ターリバーン暫定政権の統制範囲   軍閥の活動範囲
上位組織	アフガニスタン・イスラム共和国
関連勢力	タジキスタン
敵対勢力	ターリバーン
ウェブサイト	nationalresistance.org
(テンプレートを表示)

概要

2021年8月の設立時点で、アフマド・シャー・マスードの息子アフマド・マスードと、アフガニスタンの大統領代行である(アムルッラー・サーレハ)（英語版）によって設立され、ターリバーンが占領していないアフガニスタンの残りの地域を支配している^[5][6]。

カーブル陥落後、パンジシール州を拠点とする連立は、アフガニスタンのターリバーンに対する主要な組織的抵抗を構成した^[7][8]。

NRFは2022年9月17日、タリバーンに倒された旧政権の閣僚らも参加した会合をオーストリアの首都ウィーンで開き、話し合いによる解決を望むとした宣言を採択して、タリバーンに包括政権の樹立や女子中等教育の再開を求めた^[9]。

経過

2021年8月17日、アシュラフ・ガニー大統領が逃亡したため、当時アフガニスタン第一副大統領だった(アムルッラー・サーレハ)（英語版）が(憲法)（英語版）に基づいて暫定大統領に就任すると発表した^[10]。アフマド・マスードとアフガニスタンのビスミッラー・ハーン・モハンマディ国防長官はサーレハが暫定大統領に就任したことに賛同した^[11]。

同日、アフガニスタン国民軍の残存勢力はマスードの呼びかけに呼応し、パンジシール渓谷に集結し始めた^[12][13]。その後、民族抵抗戦線はパンジシール州の首府であるバザラックとパルヴァーン州の首府である(チャーリーカール)を攻略した。

当初はターリバーンとは相互に攻撃しないとの紳士協定が成立していたが、2021年9月に入るターリバーン側との衝突が激化。パンシジール州境のハワク峠などで戦闘が行われた^[14]。9月4日時点でターリバーン側が州の制圧を宣言したが、民族抵抗戦線側は困難な状況にあるとしつつも制圧を否定した^[15]。9月6日、ターリバーンはパンジシール渓谷を完全に制圧しアフガニスタン全土を支配下に置いたと宣言、同時にマスードとサーレハはタジキスタンに逃亡したと発表した^[16]。なお、反ターリバーン組織は「まだ戦いは続いている」との声明を発表しており、11月にはパンジシール州の65%を支配下に収めていると発表した^[17]。

2021年から2022年にかけての冬季は戦闘を停止し、2022年5月上旬に戦闘再開を宣言^[4]。同年5月14日、パンジシール渓谷の住民によれば、同渓谷においてターリバーンに対する攻勢を開始した^[18]。

2022年9月13日、ターリバーンはパンジシール渓谷で民族抵抗戦線と交戦し、戦闘員少なくとも40人を殺害したと発表した^[19]。

関連項目

• ラシッド・ドスタム（トルコを拠点に反ターリバーン政権活動を続けている）

脚注

1. ^ “”. (Hindustan Times) (2021年8月17日). 2021年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月17日閲覧。
2. ^ “Afghan leader of Taliban resistance urges West to "supply us without delay"”. Newsweek (2021年8月19日). 2021年8月20日閲覧。
3. ^ “National Resistance Front Of Afghanistan”. www.irishtimes.com. The Irish Times. 2021年8月20日閲覧。
4. ^ ^{a b} アフガン「反タリバン」再決起 東部抗戦開始■民族結集動き『読売新聞』朝刊2022年5月27日（国際面）
5. ^ Brick Murtazashvili (2021年7月28日). “”. The Washington Post. 2021年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月17日閲覧。
6. ^ Hakim, Yalda. “”. BBC News. 2021年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月17日閲覧。
7. ^ “” (英語). The Week. 2021年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月17日閲覧。
8. ^ “”. Market Research Telecast (2021年8月17日). 2021年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月17日閲覧。
9. ^ 反タリバン勢力「交渉望む」アフガン 包括政権へ歩み寄り強調『産経新聞』朝刊2022年9月19日総合面掲載の共同通信記事（2022年9月30日閲覧）
10. ^ Amrullah, Saleh. “”. Twitter. 2021年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月17日閲覧。
11. ^ “Panjshir flies flag of resistance again; Amrullah says he is President of Afghanistan”. Tribune India. (2021年8月17日). https://www.tribuneindia.com/news/world/panjshir-flies-flag-of-resistance-again-amrullah-says-he-is-president-of-afghanistan-298553 2021年8月17日閲覧。 
12. ^ . (Hindustan Times). (2021年8月17日). オリジナルの2021年8月17日時点におけるアーカイブ。. 2021年8月17日閲覧。 
13. ^ . (The Week). (2021年8月17日). オリジナルの2021年8月17日時点におけるアーカイブ。. 2021年8月17日閲覧。 
14. ^ “パンジシールで戦闘再開、タリバンに抵抗の最後の州 アフガン”. CNN (2021年9月2日). 2021年9月3日閲覧。
15. ^ “タリバン、パンジシール制圧し全土完全掌握と表明 新政権発表は最終段階”. ロイター (2021年9月4日). 2021年9月3日閲覧。
16. ^ “タリバンがパンジシール渓谷完全掌握と表明、新政権近く発表”. ロイター. (2021年9月6日). https://jp.reuters.com/article/taliban-idJPKBN2G20GV 2021年9月7日閲覧。 
17. ^ 日本, Sputnik (20210909T1529+0900). “アフガンの反ターリバーン勢力、パンジシール州の最大65％を統制下に” (jp). Sputnik 日本. 2021年11月25日閲覧。
18. ^ “反タリバン勢力が反攻開始、住民多数避難 アフガン・パンジシール渓谷”. AFPBB News. (2022年5月15日). https://www.afpbb.com/articles/-/3404934?cx_part=latest 2022年5月15日閲覧。 
19. ^ “タリバン、抵抗勢力40人殺害と主張 パンジシール渓谷で”. AFP (2022年9月14日). 2022年9月19日閲覧。