» www.Giftbox.Az - Bir birindən gözəl hədiyyə satışı
ウィキペディアランダム
毎日カテゴリ
共有: WhatsappFacebookTwitterVK

パラース

パラースあるいはパッラース古希: Πάλλας, Pallās)は、ギリシア神話の神、巨人、あるいは人物である。長音を省略してパラスパッラスとも表記される。主に、

が知られている。以下に説明する。

クレイオスの子

このパラースは、ヘーシオドスの『神統記』によるとティーターン族の1人クレイオスエウリュビアーの息子で、アストライオスペルセースと兄弟[1][2]オーケアノステーテュースの娘の1人ステュクスとの間にゼーロスニーケークラトスビアーをもうけた[3][4]ヒュギーヌスはパラースを巨人と呼び、ヘーシオドスの挙げる4子に加えてスキュラ、泉、湖が生まれたと述べている[5]。ただし、エピメニデースはステュクスの夫をペイラースとし、エキドナの父とした[6]アカイア地方の都市ペレーネーの伝承によると、同地の地名はティーターンのパラースに由来するという[7]

ギガースの1人

このパラースは、ガイアウーラノスの子供であるギガースの1人である[8][9]ギガントマキアーにおいてオリュムポスの神々と戦ったが、女神アテーナーによって倒され、その皮を剥ぎ取られた。アテーナーはパラースの皮を自身の鎧とした[9]。初期の喜劇詩人エピカルモスによると、アテーナーは皮を剥いだパラースから自身の名前(パラス・アテーナー)を取った。エウリーピデース悲劇イオーン』によると、ギガントマキアーの際にアテーナーが皮を剥いで、アイギスに用いた相手はゴルゴーンとなっている[10]。散逸した叙事詩『メロピス』によると、アテーナーはコース島に住むメロペス人アステロスの皮を剥いで、アイギスに用いたという[11][12]

メガメーデースの子

このパラースは、メガメーデースの子。『ホメーロス風讃歌』の第4歌「ヘルメース讃歌」によると月の女神セレーネーの父[13]。パラースをセレーネーの父とする伝承は同箇所のみに見られるものである[14]。『神統記』においてセレーネーの姉妹とされるエーオースについて、オウィディウスはパラース(系統不詳)の娘と呼んでいる[15][16]

アテーナーの父

このパラースは、一説によると女神アテーナーの父。キケローはアテーナー(ローマ神話ミネルヴァ)が5人いるとして、第5のアテーナーとしてパラースの娘を挙げ、アテーナーの処女を奪おうとしたために、アテーナーに殺されたと述べている[17]

リュカーオーンの子

 
現在のフォロ・ロマーノとパラーティウム丘。

このパラースは、アルカディア地方の王リュカーオーンの50人の息子の1人である[18]。同地方南東部の都市(パランティオン)(英語版)の創建者[19]ローマの古王エウアンドロスの祖父にあたる[20]パウサニアースはパランティオンにパラースの神殿とエウアンドロスの像があったと報告している[21]

アポロドーロスによると、リュカーオーンの子供たちは人間を犠牲にして神を試したために滅ぼされたが[18]、パウサニアースの考えでは、パラースは父リュカーオーンのように人間を生贄にしなかった[22]ウェルギリウスは孫のエウアンドロスの故郷パランティオンとパラーティウム丘とを結びつけている。すなわち、ローマに移住したエウアンドロスは祖父の名前にちなんで都市を建設した場所をパランテーウムと名づけた[20]。これが後のパラーティウム丘であるという[23]

パンディーオーンの子

このパラースは、アテーナイの王パンディーオーンと、メガラー王ピュラースの娘ピュリアーの息子である。アイゲウス、(ニーソス)、リュコスと兄弟。4兄弟について、アポロドーロスはパンディーオーンのメガラー亡命後に生まれたとし[24]、パウサニアースは亡命前に生まれたとする[25]

父を追放したメーティオーンの一族を打倒し、アッティカ地方に帰還したのちは、4分割されたうちの1地方を支配した[26][27]ソポクレースによるとパラースの支配地はアッティカ地方の南部地域であった[28]。パラースは子宝に恵まれ、50人の子供がいたと伝えられている[29]。そのため子供がいなかったアイゲウスは同族への恐怖を募らせたという[26][29]。後にパラースとその子供たちはアイゲウスの後を継いでアテーナイの王となったテーセウスに対して反乱を起こし、滅ぼされた[30][31]。テーセウスはデルピニオンの法廷で裁かれたが、無罪となった[31]

エウアンドロスの子

このパラースは、ローマの古王エウアンドロスとサビーニー人の女性との間に生まれた息子である[32]アイネイアースとともにトゥルヌスと戦った。

アイネイアースが無事にイタリアに到着したとき、ヘーラー(ローマ神話のユーノー)はエリーニュスの1人アレークトーを呼んで、イタリア人の間にアイネイアースへの敵意を掻き立てさせた[33]。トゥルヌスをはじめとする多くの王たちがトロイアー人を攻撃せんと集結しているのを見たアイネイアースは、河神ティベリーヌスの勧めでエウアンドロスと同盟を結んだ[34]。エウアンドロスは若いパラースに軍役を学ばせるため、アイネイアースの軍に息子を同行させ、双方にアルカディア騎兵の精鋭200を与えた[35]。また出陣の際には息子の無事をゼウス(ローマ神話のユーピテル)に祈った[36]。パラースは戦場ではラグス、ヒスボ、ステニウス、ロエトゥス、アンケモルス、双生児ラリーデスとテュンベル、テウトラス[37]、かつてトロイア戦争アガメムノーンのもとで戦ったハライソスを討つ活躍をした[38]。パラースはさらに若い敵将ラウススと戦ったが、ユートゥルナの助言で駆けつけたトゥルヌスの槍で討たれた。パラースはトゥルヌスの投じた槍に胸を貫かれ、身体から槍を引き抜いたものの、絶命して大地の上に倒れた。トゥルヌスは勝ち誇り、ダナイデスの物語が刻まれた剣帯を奪い取った。残された遺体は楯に乗せられ、パラースの戦友たちによってエウアンドロスのもとに運ばれた[39]。後に物語のラストシーンでアイネイアースはトゥルヌスを倒すが、命乞いをするトゥルヌスに対して、アイネイアースはトゥルヌスがパラースの剣帯を身に着けているのを発見し、パラースの死の悲しみを思い出したときに、激しい狂気と怒りからトゥルヌスに止めを刺した[40]

脚注

  1. ^ ヘーシオドス、375行-377行。
  2. ^ アポロドーロス、1巻2・2-3。
  3. ^ ヘーシオドス、383行-385行。
  4. ^ アポロドーロス、1巻2・4-5。
  5. ^ ヒュギーヌス、序文。
  6. ^ エピメニデース断片6(パウサニアース、8巻18・2による引用)。
  7. ^ パウサニアース、7巻26・12。
  8. ^ ヘーシオドス、182行-187行。
  9. ^ a b アポロドーロス、1巻6・1。
  10. ^ エウリーピデース『イオーン』898行-997行。
  11. ^ 安村典子 2010年、p.24。
  12. ^ 安村典子 2021年、p.110。
  13. ^ 『ホメーロス風讃歌』第4歌「ヘルメース讃歌」99行-100行。
  14. ^ 沓掛良彦訳注、p.260。
  15. ^ オウィディウス『変身物語』9巻421行。
  16. ^ オウィディウス『祭暦』4巻373行。
  17. ^ キケロー『神々の本性について』3巻23。
  18. ^ a b アポロドーロス、3巻8・1。
  19. ^ パウサニアース、8巻3・1。
  20. ^ a b 『アエネーイス』8巻51行-54行。
  21. ^ パウサニアース、8巻44・5。
  22. ^ パウサニアース、8巻44・6。
  23. ^ 岡道男・高橋宏幸訳注、p.351。
  24. ^ アポロドーロス、3巻15・5。
  25. ^ パウサニアース、1巻5・3。
  26. ^ a b アポロドーロス、3巻15・6。
  27. ^ ストラボン、9巻1・6。
  28. ^ ソポクレース断片24(ストラボン、9巻1・6による引用)
  29. ^ a b プルタルコス「テーセウス伝」3。
  30. ^ パウサニアース、1巻22・2。
  31. ^ a b パウサニアース、1巻28・10。
  32. ^ 『アエネーイス』8巻510行。
  33. ^ 『アエネーイス』7巻286行以下。
  34. ^ 『アエネーイス』8巻。
  35. ^ 『アエネーイス』8巻514行-519行。
  36. ^ 『アエネーイス』8巻572行-583行。
  37. ^ 『アエネーイス』10巻362行-404行。
  38. ^ 『アエネーイス』10巻411行-425行。
  39. ^ 『アエネーイス』10巻426行-509行。
  40. ^ 『アエネーイス』12巻919行-952行。

参考文献

  • アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
  • ウェルギリウスアエネーイス岡道男高橋宏幸訳、京都大学学術出版会(2001年)
  • オウィディウス変身物語(下)』中村善也訳、岩波文庫(1984年)
  • オウィディウス『祭暦』高橋宏幸訳、国文社(1994年)
  • キケロー選集11』「神々の本性について」山下太郎訳、岩波書店(2000年)
  • 『ギリシア悲劇III エウリピデス(上)』「イオン」松本克己訳、ちくま文庫(1986年)
  • 『ギリシア悲劇全集11 ソポクレース断片』「アイゲウス」下田立行訳、岩波書店(1991年)
  • ストラボンギリシア・ローマ世界地誌』飯尾都人訳、龍溪書舎(1994年)
  • ソクラテス以前哲学者断片集 第1分冊』「エピメニデス」山口義久訳、岩波書店(1996年)
  • パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
  • ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
  • ヘシオドス神統記廣川洋一訳、岩波文庫(1984年)
  • ホメーロス『ホメーロスの諸神讃歌』沓掛良彦訳、ちくま学芸文庫(2004年
  • 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)
  • 安村典子『ゼウスの覇権 : 反逆のギリシア神話』京都大学学術出版会、2021年。ISBN (9784814003068)。 NCID BC11883536。(全国書誌番号):(23631520)。 
  • 安村典子「「アイギス」をめぐって : ゼウスとアテーネー」『西洋古典論集』第22巻、京都大学西洋古典研究会、2010年、22-37頁、CRID 1050001202112019328、ISSN 0289-7113、NAID 120002056232。 
ウィキペディア、ウィキ、本、library、論文、読んだ、ダウンロード、自由、無料ダウンロード、mp3、video、mp4、3gp、 jpg、jpeg、gif、png、画像、音楽、歌、映画、本、ゲーム、ゲーム。