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ハ43 (エンジン)

ハ43は、第二次世界大戦期に三菱重工業が開発・製造した航空機空冷星型エンジン

ハ43は陸海軍統合名称であり、陸軍呼称はハ211、海軍略符号はMK9、海軍呼称はなし。三菱での社内呼称はA20

同社の空冷星型14気筒エンジン金星を18気筒化したものであり、戦闘機向けの小型大馬力エンジンとして計画された。

開発

三菱は、2,000馬力級のエンジンとしては火星を18気筒化した大型機用のハ42の開発を進めていたが、昭和16年(1941年)4月[注釈 1]深尾淳二 名古屋発動機製作所長の指示によりより小型の金星を18気筒化したA20エンジンの開発を開始した。その理由として、開発取纏役を務めた佐々木一夫は「中島がを開発していることを聞き、その対抗としてではないか」と回想している[2]

佐々木がまとめた基本構想は以下のようなものであった。

  • 馬力当たりの重量(パワーウェイトレシオ)を世界一軽いものにする。
  • 馬力当たりの前面面積も世界一小さいものとする。
  • 世界一の高い信頼性を持たせる。
  • 最高出力は2,200馬力とする。
  • 高々度性能も世界一を狙う。

設計の上では、エンジンを極力小型にまとめる為に金星から続くカムの前部集中を前後振り分けに改めた。また小型化と強度を両立する為にクランクケースを鋼の鍛造品とした。更に回転数はそれまで瑞星の毎分2,700回転が最高であったところを毎分2,900回転に引き上げた。エンジンには強制冷却ファンが標準装備とされた[3][4]

主要図面の出図は昭和16年(1941年)10月に完了[注釈 2]、試作初号機は昭和17年(1942年)2月に完成[注釈 3]し試運転を開始した[5]。試運転、負荷試験と続く耐久運転ではピストンや軸受けの焼損、各部の焼付き、割損、折損、高速運転時の弁機構破損が頻発し、油冷却器の容量増大など対策に苦慮した[1]。それでも昭和18年(1943年)6月には海軍の耐久試験に合格し[6]、12月からは試作機に搭載されて飛行試験に供されるまでこぎつけた[1]。しかしハ43を搭載した試作機のうち終戦までに実用に達したものはなく、ハ43は実戦に供されることなく開発を終了した。

評価

大戦末期に海軍の主力エンジンであった誉が、未熟練工の大量生産による粗製濫造と燃料事情の悪化により、出力・稼働率の低下に悩まされていたため、信頼性に定評があった金星の流れをくむハ43の生産が間に合えば「烈風などの高性能機が活躍したのでは」などの誉より信頼性が高いとする説が多い。 だが、ハ43は終戦時においても大量生産可能な段階に至っておらず、烈風以外にハ43を搭載して試験中であった陸軍の新型遠距離戦闘機キ83排気タービン過給機よりもエンジン本体の不調に悩まされている。他にも、震電も終戦間際のテスト中にハ43に故障が発生し、これを修理するために三菱の技術者の到着を待っていたところで終戦を迎えたという記録が残されていることから、近年はハ43の信頼性に否定的な意見も多い。[要出典]

現にハ43も量産に入れば誉と同じ様に品質低下に悩まされるだろうと言う海軍技官の意見(但し、海軍は誉の開発段階から深く関与しており、烈風開発においても出力不足が懸念されたにもかかわらず誉を強く推していたことに留意)[7]や烈風のテストパイロットの小福田少佐も「誉の後に来るものとして約束されるも未だその信頼性は実戦に対して不十分なり」と証言している。[要出典]

反面、震電開発に関わった倉持勝朗技師や西村三男技師らは「よく回りました」「ハ四三の量産の可能性は十分にあったでしょう」「実用の域に達した量産可能なエンジンでした」と高く評価している。[8]

主要諸元

ハ43-11(ハ211-I)

  • 形式:空冷複列星型18気筒
  • 口径×行程:140 mm × 150 mm
  • 排気量:41.6 L
  • 圧縮比:7.0
  • 全長:2,305 mm
  • 直径:1,340 mm
  • 乾燥重量:1,280 kg
  • 過給器:遠心式機械過給器1段2速[9]
  • 減速比:0.457
  • 離昇馬力:2,400 HP / 2,900 rpm(ブースト圧 +500 mmHg
  • 公称馬力
    • 地上:2,000 HP / 2,800 rpm
    • 一速全開:2,130 HP / 2,800 rpm(高度 1,800 m)
    • 二速全開:1,930 HP / 2,800 rpm(高度 8,300 m)

坂上茂樹 2013, pp. 415–416より。

ハ43-42

エンジンを後部に搭載する推進式震電に合わせ、プロペラ延長軸を備え、排気ポートの向きが逆(プロペラ側)となっている。

  • 過給器:遠心式機械過給機2段無段階変速(フルカン式+ギア式)
  • 離昇馬力:2,130 HP / 2,900 rpm(ブースト圧 +500 mmHg)
  • 公称馬力 
    • 地上:1,700 HP / 2,800 rpm(ブースト圧 +300 mmHg)
    • 1,850 HP / 2,800 rpm(高度 2,000 m、ブースト圧 +300 mmHg)
    • 1,660 HP / 2,800 rpm(高度 8,300 m、ブースト圧 +300 mmHg)

『世界の傑作機』No.102 pp.30-31より。

ハ43-43

震電用。

  • 過給器:遠心式機械過給機2段無段階変速(フルカン式+ギア式)
  • 離昇馬力:2,070 HP / 2,900 rpm(ブースト圧 +500 mmHg)
  • 公称馬力
    • 地上:1,830 HP / 2,800 rpm(ブースト圧 +420 mmHg)
    • 1,930 HP / 2,800 rpm(高度 700 m、ブースト圧 +420 mmHg)
    • 1,600 HP / 2,800 rpm(高度 8,600 m、ブースト圧 +420 mmHg)

『世界の傑作機』No.102 pp.30-31より。

ハ43-44

震電用。

  • 過給器:遠心式機械過給器1段3速
  • 離昇馬力:2,130 HP / 2,900 rpm(ブースト圧 +500 mmHg)
  • 公称馬力
    • 地上:1,900 HP / 2,800 rpm(ブースト圧 +420 mmHg)
    • 一速全開:2,000 HP / 2,800 rpm(高度 1,800 m、ブースト圧 +420 mmHg)
    • 二速全開:1,830 HP / 2,800 rpm(高度 5,000 m、ブースト圧 +420 mmHg)
    • 三速全開:1,660 HP / 2,800 rpm(高度 8,700 m、ブースト圧 +420 mmHg)

『世界の傑作機』No.102 pp.30-31より。

搭載予定機

注釈

  1. ^ 坂上茂樹 (2013)は佐々木の回想から開発着手を昭和17年(1942年)5月としている[1]
  2. ^ 坂上茂樹 (2013)によれば昭和17年(1942年)10月[1]
  3. ^ 坂上茂樹 (2013)によれば昭和17年(1942年)12月[1]

出典

  1. ^ a b c d e 坂上茂樹 2013, p. 414.
  2. ^ 松岡久光 2017, p. 123.
  3. ^ 松岡久光 2017, pp. 130–132.
  4. ^ 坂上茂樹 2013, p. 410.
  5. ^ 松岡久光 2017, p. 125.
  6. ^ 松岡久光 2017, p. 129.
  7. ^ 中川良一・水谷総太郎 『中島飛行機エンジン史 若い技術者集団の活躍』 酣燈社、1985年、(ISBN 978-4873570075)。
  8. ^ "ハ四三の可動は良好"「決戦の蒼空へ」渡辺洋二著 P158
  9. ^ 松岡久光 2017, p. 137.

参考文献

  • 松岡久光『三菱 航空エンジン史 - 大正六年より昭和まで』グランプリ出版、2017年8月。ISBN (978-4-87687-351-7)。 
  • 坂上茂樹「第III部 固定気筒空冷発動機の進化と三菱航空機・三菱重工業 - モングースから金星ファミリーまで」『三菱発動機技術史 - ルノーから三連星まで』〈大阪市立大学大学院経済学研究科 Discussion Paper No.79〉2013年6月。 
  • 「特集 九州飛行機 海軍 試作 局地戦闘機 震電」『世界の傑作機』第102号、文林堂、1978年10月。 

関連項目

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