ディノハリアリ(Dinoponera gigantea)は節足動物門昆虫綱ハチ目アリ科(ハリアリ亜科)のアリの一種で、8種からなるディノポネラ属をひっくるめてこの名で呼ぶ。
生息地
南アメリカのブラジル、ガイアナ、ボリビア、パラグアイ、ペルー、エクアドル、コロンビアにまたがるアンデス山脈東部の熱帯雨林帯に生息する。
特徴
体長が3~4cmほどにもなる世界最大級のアリで、日本最大のクロオオアリの二倍近い大きさとなる。
黒光りする体色と体格に似合った頭部が他のアリと比べて大きめで、その頭部と同様に大きな顎も目立つ。顎には内歯がノコギリ状に生えて噛み合っており、腹部にはハリアリ特有の大きな針が発達している。胸部や腹部には短い毛が多く生えている。
生態
熱帯雨林の木の根元に巣を構える。女系社会で女王アリはおらず、普通に働きアリ同士が子育てをして巣や勢力を拡大していく。
肉食性の獰猛な種で、大きな顎と腹部末端の毒針を駆使して他の昆虫だけでなく、両生類や爬虫類などにも襲いかかり、エサにしてしまう。体が大きい分針が大きいだけでなく毒量も多く、人間でも刺されると非常に痛い上に、アナフィラキシーショックの恐れもあるので、現地では他の毒針を持って刺すアリ達と同様に恐れられている。大顎も噛まれると人の皮膚など簡単に噛み破って出血させる威力だと云われる。
生態系が豊かであると同時に、外敵も多い熱帯雨林の中で体を大きくし、他のアリでは退化した毒針を残し、生息環境に合わせていったと考えられている。
近縁種
本種には以下の近縁種がある。
- (Dinoponera grandis) Emery, 1901
- (Dinoponera hispida) Lenhart, Dash & Mackay, 2013
- (Dinoponera longipes) Emery, 1901
- (Dinoponera lucida) Emery, 1901
- (Dinoponera mutica) Emery, 1901
- (Dinoponera quadriceps) Kempf, 1971
- (Dinoponera snellingi) Lenhart, Dash & Mackay, 2013
- (Dinoponera nicinha) Dias & Lattke, 2021
参考
外部リンク
- “体長4cm!世界最大の働きアリ「ディノハリアリ」”. 世界仰天生物日記. 2015年8月31日閲覧。