ダブルスキン構造(ダブルスキンこうぞう)とは、鉄道車両の構体構造の一種である。
概要
従来、鉄道車両の構体を構成するために必要だった外板と骨組(柱や梁)を一体にまとめた構造であり、その断面は、段ボールと同じように、2枚の板の間にトラス状の補強部材が入っており、それにより、骨組み無しでも強度を確保できる仕組みとなっている。車体の製造時には、トラス状の断面を持つアルミニウム合金の大型押し出し成形材を溶接でつなぎ合わせて製造されているが、最近の溶接方法は摩擦攪拌溶接(FSW)が主流となっており、近畿車輛ではレーザーMIGハイブリッド溶接と呼ばれる独自の溶接方法を採用している[1][2]。
利点としては、剛性が高く構体のたわみが少ないことである。外壁部のみで必要な強度を確保できるため従来のシングルスキン構造で必要だった柱や梁といった骨材が不要であるため、室内への突出がなくなり室内空間を広く取れる。そして2枚の板と板の間の隙間に制振材を挿入することができるため、客室内への騒音をきわめて低く抑えることができることである。また、車体の屋根板と側板が一体化されたことによる部品点数の削減と柱や梁の省略により製造工程の簡素化や製造コストの低減も実現している。
欠点としては、2重構造のため重量的には若干重めで、軽量化に対しては若干不利[3]なことであるが、トータルバランスではシングルスキン構造より圧倒的に優れているため、近年開発された新幹線N700系電車などの多くの鉄道車両の構体構造として採用されている。日立製作所のA-trainシステムおよび川崎重工業のefACEシステムでも採用されている。