10月革命65周年記念パレード

ソ連10月革命65周年記念軍事パレード（ソれんじゅうがつかくめい65しゅうねんきねんぐんじパレード）は、1982年11月7日の革命記念日にソビエト連邦モスクワの赤の広場にて行われたソビエト連邦軍の観兵式。

	大10月社会主義革命65周年記念軍事パレード
開催国	ソビエト連邦
指導者	レオニード・ブレジネフ
司令官	ドミトリー・ウスチノフ

労働者のデモンストレーションも併せて行われた。レオニード・ブレジネフ政権下最後のパレードであり、ブレジネフはこの3日後に死去した（因みに、この1年後に行われるのが、アンドロポフ政権下で唯一行われたパレードである「10月革命66周年記念パレード」であるが、当のアンドロポフは重病で病床に伏していたため姿を現していない。したがって、次期書記長のアンドロポフにとっても最後のパレードとなった）。

パレードが始まる午前10時前、レーニン廟前の右階段から共産党指導者や軍の幹部が姿を見せ、ブレジネフは廟の周りにいる観客に手を振った。手を振った後ブレジネフは廟の中央付近に立ち、共産党総務部長でブレジネフの腹心であったコンスタンティン・チェルネンコがニコライ・チーホノフ首相を挟んで事実上のナンバー2のポジションに並んだ。また、長年共産党第二書記として政権を支えたミハイル・スースロフの死に伴い、同氏の後継となったユーリ・アンドロポフがチェルネンコの隣に並んだ。次いで、モスクワ党第一書記のヴィクトル・グリシン、外相のアンドレイ・グロムイコ、農業担当書記のミハイル・ゴルバチョフの順で整列した。一方で、引退が確実視されていたアンドレイ・キリレンコ政治局員は姿を見せなかった。ドミトリー・ウスチノフ国防相の演説が終わると、兵士と車両の行進が開始された。

幻のパレード

このパレードはソビエト連邦中央テレビで放送されたはずの映像がほとんど出回っていないため、極めて奇妙で不気味なパレードと一部の者の間で言われている。通常なら約2時間のパレード映像が出回るのだが、出回るのは数十分の映像で、しかもそのほとんどがソ連中央テレビが撮影した映像ではなかった。2020年に入ってからネット上で<<1982年ソ連10月革命記念軍事パレード>>と名付けられた動画が出回るようになった。しかし動画を見るとほとんどが他の年のパレードの映像・音声を合成した物であり、未だに1982年パレードの映像を閲覧するのは難しいとされる。

フィルム破損説

このパレードのフィルムは何らかの事情で既に破損していて、もう見れないという説。前提としてネットで出回るほとんどのパレード映像は国際放送テレビ局を経由して外国に放送された映像である。実はソ連国内で放送されたパレード映像はソ連の秘密主義的体制の影響で保管されにくく、ソ連崩壊後は西側の映像収集機関などが保管した映像のみ残るようになってしまった。

ブレジネフ体調悪化説

このパレードの3日にブレジネフは死去したが、パレードが行われてからの3日間、非常に体調が悪化しており、いつ亡くなってもおかしくない状況なのでソ連中央テレビは国際放送テレビ局に映像を渡さなかったという説。この説は上のフィルム破損説よりかは現実味のある物で、国際放送テレビ局が放送しておらず西側の映像収集機関が保管できず、ソ連でも上で言った通り秘密主義的体制の影響でブレジネフ死去後数年は保管されていたが、いつの間にか消滅してしまったという説である。

国家機密説

ブレジネフ死去3日前ということもあり既に出回っている映像を見ても、ブレジネフの健康状態の悪さが良く分かる。現在のロシアでもブレジネフ政権時代を懐かしむ者は多く、好きなソ連指導者ランキングでは一位に入ることも稀ではない。そんなブレジネフの終末期が撮られたこの映像が出回ることによりブレジネフ=弱い指導者という現代ロシアにおいて好ましくない印象を与える可能性があるので機密扱いとなっている説である。

現代ロシアはウラジーミル・プーチンの長期政権下にあるとよく言われ、同じ長期政権であったブレジネフ政権の末期の映像を見せることにより「長期政権の末期はこんなもの」という印象は与えたくない、とプーチン政権は考えておりこの映像は機密扱いになっているとも言われている。実はアンドロポフ政権下で行われた1983年革命パレードの映像も1982年と同じように全く出回っておらず、出回っていない理由はプーチンと同じKGB職員であったこと、このパレード当時アンドロポフは体調が悪化しておりレーニン廟には登っていない。同じKGB出身のトップの末期の映像を公開することによりプーチン政権に悪影響を与える可能性があると思い、1982年パレードと同様国家機密扱いされているという説も存在している。