この記事は(検証可能)な(参考文献や出典)が全く示されていないか、不十分です。(2017年7月) |
ズームカーは、南海電気鉄道が南海高野線橋本駅 - 極楽橋駅間の山岳区間への直通運転のために製造した電車の通称。
なお、難波から高野線の山岳区間へ直通運転することを大運転と称する。
概要
ズームカーの名の由来には2つの説が存在する。一般的には、平坦区間から急峻な山岳区間まで広範囲に速度と牽引力を制御できる車両性能を、広角から望遠まで広範囲に画角を変えられるカメラのズームレンズに例えたと説明されることが多い。他に、在来車よりも優れていた加速性能や急勾配を力強く上る様子を、航空機が速度とひきかえに急角度で上昇する機動を指す「ズーム上昇」に例えたという説もある(なお、レンズの語源も航空機の機動である)。「天空」のパンフレットおよび車内放送では前者の説を紹介している。
高野下駅から極楽橋駅までの区間は50‰の勾配や半径100m級の急カーブが続くため、この区間に乗り入れる車両には大きな牽引力が要求される。ズームカーは平坦区間を100km/h以上で高速走行、山岳区間は低速で力強く走行できる。最高速度と山岳区間の定速走行速度の倍率は3.3 - 3.6倍である[注釈 1]。
本来は、単に「ズームカー」といえば1958年(昭和33年)に登場した21001系電車のことを指す。その後登場した22001系電車は「通勤ズーム」、または「角ズーム」と呼ばれ、21001系電車は車体形状から「丸ズーム」とも呼ばれるようになった。2000系電車も「ステンレスズームカー」のほか、「ハイテクズーム」「VVVFズームカー」とも呼ばれる。また、旧型直通大運転車の機器を再用して製作された(21201系)は、21001系と同じ車体でありながら機器類が旧式である事から「偽ズーム」と呼ばれた。特急用の20000系電車は「デラックスズームカー」と呼ばれたが、1983年(昭和58年)に登場した30000系電車以降は、個々の形式を指して「ズームカー」と呼ぶことは少ない。
急勾配での性能を確保するため全車両が動力車である。ただし、かつて存在した20000系電車のみ、1両だけ付随車が存在した(20000系電車の項を参照)。車両重量を軽減するためと、山岳区間の急カーブによる車両限界の関係で、一般車両の場合には、片側2箇所の客用扉、車体長17m級の中型車として製造されており、4扉、21m級の大型車体を標準としている南海通勤車とは規格が異なる。そのため、駅の案内放送や表示器、乗車位置目標では次に到着する列車が2扉車か4扉車かが判別できるようになっているほか、駅掲示用時刻表、ポケット時刻表は各列車の使用車両が判別できるよう、時刻を四角で囲っている列車は2扉車、囲っていない列車は4扉車としている。
車両群
一般車両
- 21001系電車(丸ズーム、廃車。大井川鐵道・一畑電車に譲渡)
- 22001系電車(角ズーム・通勤ズーム、名目上廃車)
- 2000系電車(新ズーム・ステンレスズームカー・ハイテクズーム・VVVFズームカー、南海線でも使用される唯一のズームカー)
- 2300系電車(赤ズーム、編成個別に愛称が付けられている。本文参照)