スヘルデ川(スヘルデがわ、オランダ語: Schelde [ˈsxɛldə]、フランス語: Escaut [ɛsko]、英語: Scheldt [ʃɛlt])は、フランス北部、ベルギー西部およびオランダ南西部を流れ北海に流入する川である。延長350km。名前はラテン語のScaldisに由来する。フランス語読みはエスコー川[1]。
源流はフランス・エーヌ県にある。北流してベルギーに入り、ヘントでリス川(レイエ川)を合わせ、東に転じる。流域最大の都市アントウェルペン近くで西に転じ、オランダに入って北海に流入する。古くはアントウェルペンの下流で2つの派流、東スヘルデ川と(西スヘルデ川)に分れて北海に注いでいたが、現在の河口は西スヘルデ川のみとなっており、(東スヘルデ)は西スヘルデ川と運河で結ばれた湾となっている。また、東スヘルデの湾口にはデルタ計画で設けられた(東スヘルデ防潮水門)がある。
上中流域にはヨーロッパウナギ、(ヌマアカガエル)、(ハシボソヨシキリ)などが生息しており、フランス北東部のオー=ド=フランス地域圏にある(スカルプ川)とスヘルデ川の渓谷は2020年にラムサール条約登録地となった[2]。アントウェルペンより下流側にはシロチドリ、サンドイッチアジサシ、ソリハシセイタカシギ、コガモ、ヒドリガモ、ヘラサギ、ニシズグロカモメ、アジサシ、オカヨシガモなどの鳥類、ゼニガタアザラシ、ネズミイルカなどの海生哺乳類およびウミヤツメ、(トウェイトシャッド)、ガーフィッシュ、ヨーロッパソール、プレイスなどの魚類が生息しており、ベルギー北部のスヘルデ下流部の塩性湿地[3]、オランダの(ライン・マース・スヘルデ三角州)にある西スヘルデ川と(サエフティンゲ)[4]、東スヘルデ[5]およびその周辺の(マルキーザーツ湖)[6]、(ゾーム湖)[7]、(フェールセ湖)[8]はラムサール条約登録地である。
水運上重要な川であり、運河でライン川、マース川さらにセーヌ川とつながり、ダンケルク、リール、ブリュッセル、リエージュ、といった工業都市を結んでいる。
歴史上、フランスと神聖ローマ帝国などの政治的・文化的な境界になったこともある。第二次世界大戦の激戦「スヘルデの戦い」が起きた場所でもある。
支流
- レイエ川
- (スカルプ川)
脚注
- ^ “エスコー川(えすこーがわ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年4月1日閲覧。
- ^ “Vallées de la Scarpe et de l'Escaut | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2020年2月1日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ “Schorren van de Beneden Schelde | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (1992年1月1日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ “Westerschelde & Saeftinghe | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2022年11月1日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ “Oosterschelde | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2022年11月1日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ “Markiezaat | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2023年1月6日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ “Zoommeer | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2022年11月1日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ “Veerse Meer | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2022年11月1日). 2023年4月1日閲覧。
関連項目
外部リンク
- Nationaal Park Oosterschelde: Welkom
- Schorren van de Beneden Schelde | Ramsar Sites Information Service