『スタートレック:エンタープライズ』(英: Star Trek: Enterprise、略称 ENT)は、アメリカのSFテレビドラマシリーズ。『スタートレック』メディア・フランチャイズの5番目のテレビドラマ作品。全98話。
スタートレック:エンタープライズ | |
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別名 | Enterprise |
原案 | リック・バーマン ブラノン・ブラーガ |
出演者 | スコット・バクラ ジョン・ビリングズリー (ジョリーン・ブラロック) ドミニク・キーティング (アンソニー・モンゴメリー) (リンダ・パーク) (コナー・トリナー) |
作曲 | (デニス・マッカーシー) |
オープニング | (Faith of the Heart) |
国・地域 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
シーズン数 | 4 |
話数 | 98(各話リスト) |
各話の長さ | 42/44分 |
製作 | |
製作総指揮 | リック・バーマン ブラノン・ブラーガ マニー・コト |
製作 | (パラマウント・テレビジョン) (ブラーガ・プロダクションズ) (リック・バーマン・プロダクションズ) |
配給 | (CBSテレビジョン・ディストリビューション) |
放送 | |
放送チャンネル | UPN |
映像形式 | 1080p (HDTV版) 720p (HDTV版) |
放送期間 | 2001年9月26日 | - 2005年5月13日
Enterprise at StarTrek.com | |
番組年表 | |
前作 | 『スタートレック:ヴォイジャー』 |
続編 | 『スタートレック:ディスカバリー』 |
関連番組 | 『宇宙大作戦』 『まんが宇宙大作戦』 『新スタートレック』 『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』 |
あらすじ
2063年の異星人(バルカン人)とのファーストコンタクトからおよそ90年が経過した2151年、地球のオクラホマ、ブロークンボゥにクリンゴン人の宇宙船が何者かに追われて墜落する。
地球連合宇宙艦隊のジョナサン・アーチャー大佐は完成したばかりの人類初の深宇宙探査船「(エンタープライズ NX-01)」を使用してクリンゴン領に生存者を送り届けることにするが、それによって数世紀の時をまたぐ「時間冷戦」に巻き込まれることになる。
舞台設定
2001年9月から、UPN系列で全米での放送を開始した。『宇宙大作戦』で描かれたカーク船長の5年間の探査ミッションの約100年前、惑星連邦成立前の22世紀を舞台に、ジョナサン・アーチャー船長指揮する地球初の深宇宙探査船「(エンタープライズ NX-01)」とそのクルーの活躍を描く。スタートレック世界の時間軸で、映画『ファーストコンタクト』から『宇宙大作戦』までの期間を直接描いた初めての作品となる。
時間冷戦
カバルや(球体創造者)など、異なる時代の複数の勢力が自己に有利なように歴史改変を行おうとして生じた対立。
第3シーズンまでのストーリーのおおまかな軸となっていたが後述する制作側の混乱により第4シーズン序盤で時間冷戦に関するエピソードは終りを迎え、その全貌が明かされることは無かった。
時間冷戦の参加勢力
- カバル(22世紀)
- (スリバン人)の組織。28世紀からの指示で動く。
- (球体創造者)(21世紀~22世紀もしくは25世紀)
- 限定的に未来視やタイムトラベルができる種族。
- (ナクール)(29世紀)
- 惑星連邦(31世紀)
- ダニエルスを22世紀に派遣。
製作
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本作以前の『スタートレック』は、シリーズを通しての設定や別の作品のストーリーを前提とした話も多かったが、本作はシリーズ第一作である『宇宙大作戦』以前の時代を舞台とし、そうした設定をいったん白紙の状態に戻した事で、予備知識を持たない人も楽しむことができるようになっている。また、他作品のエピソードの前日譚も随所に織り込まれている。
本国アメリカではシリーズで初めてタイトルに「Star Trek」の名を冠しないで放送された。アメリカでの番組タイトルは、第1・第2シーズンの放送時は Enterprise で、第3シーズンから日本版と同じく、Star Trek: Enterprise に変更。
本作のテーマ曲「Where My Heart Will Take Me」はスタートレックシリーズでは初となる歌詞付きで、歌手はイギリス出身のラッセル・ワトソン(原曲はロッド・スチュワートの「Faith of the Heart」)。なお、第3シーズンからの番組名変更にともない、主題歌も新アレンジで再録音された。
しかし、放送開始当初から視聴率的には低迷し、過去のシリーズに登場したキャラクターや俳優を出演させるなど様々なテコ入れが試されたが、視聴率は地を這う一方で、2005年2月3日(現地時間2日)に第4シーズン・フィナーレを最後に打ち切りされることが正式に発表された。そして、同年5月中旬、「最後のフロンティア[1]」が最終エピソードとして放送され、全4シーズン・98話を以って終了した。最終話には『新スタートレック』のウィリアム・T・ライカー副長役のジョナサン・フレイクスとカウンセラー・ディアナ・トロイ役のマリーナ・サーティスが特別ゲスト出演した(内容としても新スタートレック第164話『難破船ペガサスの秘密』と関連づいている)。
『スタートレック』シリーズはその時点で、1966年の『宇宙大作戦』開始から40年近くが経過していた。1987年に始まった『新スタートレック』からは15年以上にわたり途切れなくテレビ放送が続いており、そのうち7年は2つのシリーズが並行して放送されていた。『新スタートレック』開始以降だけでも4本のテレビシリーズ(合計500話以上)と6本の映画が製作される中、『スタートレック・ヴォイジャー』の第4シーズン終了時~第6シーズン初期にかけてプロデューサーかつメインライターであったマイケル・ピラー、ロナルド・D・ムーア、(ジェリ・テイラー)らがスタートレックシリーズから離脱し、それ以降リック・バーマンとブラノン・ブラーガが主要かつ製作陣のトップにあり続けた結果、シナリオの質の大幅な低下や、レギュラーメンバーの描写の偏りが目立つようになり、最終的に(『スタートレック・エンタープライズ)』において上記の視聴率低下により打ち切りを招く結果になった。
『新スタートレック』以降のテレビシリーズや劇場作品で製作陣の中枢にあり、本作の最終話を含む数多くの脚本も執筆していたリック・バーマンとブラノン・ブラーガはこれを最後にシリーズから完全に退くことになった。
元々この2人は第4シーズン開始時に製作陣からは外されており、マニー・コトが後を引き継いでからは、過去シリーズとのつながりも矛盾のないものとなり、また補完が行われるなどストーリーの質も大幅に上がったが、最終話の脚本を再びリック・バーマンとブラノン・ブラーガが担当しており、第4シーズンで積み重ねてきたタッカーとトゥポルの関係を特に理由もなくリセットさせていたり、俳優自身も疑問を呈するほどの必然性の無い死に方をタッカーにさせたため、多数の視聴者から抗議や疑問の声があがり、打ち切り後に出版されたいくつかの小説で、タッカーのその後を描かれた理由の一つにもなった。
タッカーの扱いについて、多くのファンから糾弾されたブラノン・ブラーガは、タッカーを死なせたことについて後悔はない等と発言した。その後スタートレックシリーズの「パロディ」ドラマである宇宙探査艦オーヴィルに参加している。
なお、日本語吹き替え版は当初「船長」ではなく、「艦長」と当てられていたが、『宇宙大作戦』との整合性をとるために、第1話『夢の旅立ち』のアフレコ終了後に変更され、第1話自体も録り直されている。
登場人物
※ 演の括弧内は日本語吹き替え。
レギュラー
- チャールズ・タッカー三世
- 演 - (コナー・トリニアー)(内田直哉)
- 機関部長。階級は中佐、吹替では少佐。地球人男性。愛称は「トリップ」。
- マルコム・リード
- 演 - ドミニク・キーティング(井上倫宏)
- 保安部長兼兵器士官。階級は大尉。地球人男性。
- トラヴィス・メイウェザー
- 演 - (アンソニー・モンゴメリー)(浜田賢二)
- 操舵士。階級は少尉。地球人男性。
- フロックス
- 演 - ジョン・ビリングズリー(茶風林)
- 医療部長。デノビュラ人男性。
その他の登場人物
- 未来人
- 演 - (ジェームズ・ホーラン)(森田順平)
- 遺伝子操作されたスリバン人で構成される工作組織「カバル」を操る時間冷戦の当事者。種族や性別は不明で、常にシルエットのみで登場。
- (ダニエルス)
- 演 - (マット・ウィンストン)(津田英三)
- 31世紀の時間エージェント。地球人男性。厨房スタッフとしてエンタープライズに紛れ込んでいた。
- J・ヘイズ
- 演 - スティーブン・カルプ(斉藤次郎)
- (軍事攻撃指令作戦部隊MACO)の少佐。地球人男性。第3シーズンでエンタープライズに随行した陸戦隊を指揮。
- (ケルビー)
- 演 - (デレク・マジャル)(髙階俊嗣)
- タッカー少佐の部下の機関部員。階級は大尉。地球人男性。タッカーが姉妹船コロンビアに転出した後に機関部長を引き継ぎ少佐に昇進したが、タッカーがエンタープライズに復帰すると元の大尉に戻った。
サブタイトル
シーズン1
番号 | 原題(英語) | 日本語版題名 |
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1 | Broken Bow | 夢への旅立ち(前編) |
2 | Broken Bow | 夢への旅立ち(後編) |
3 | Fight or Flight | 死のファースト・コンタクト |
4 | Strange New World | 風が呼んだエイリアン |
5 | Unexpected | 予期せぬ侵入者 |
6 | Terra Nova | 植民星テラ・ノヴァの謎 |
7 | The Andorian Incident | 汚された聖地 |
8 | Breaking the Ice | 彗星は去り行くとも |
9 | Civilization | 狙われた星アカーリ |
10 | Fortunate Son | 復讐の連鎖 |
11 | Cold Front | 時を見つめる男 |
12 | Silent Enemy | 言葉なき遭遇 |
13 | Dear Doctor | 遥かなる友へ |
14 | Sleeping Dogs | 名誉に生きる者 |
15 | Shadows of P'Jem | 恩讐を越えて |
16 | Shuttlepod One | 引き裂かれたクルー |
17 | Fusion | 果てなき心の旅 |
18 | Rogue Planet | 幻を狩る惑星 |
19 | Acquisition | 獲物たちの罠 |
20 | Oasis | 閉ざされたオアシス |
21 | Detained | テンダーの虜囚 |
22 | Vox Sola | 漂流生命体の叫び |
23 | Fallen Hero | 追放された者への祈り |
24 | Desert Crossing | 幻影の戦士 |
25 | Two Days and Two Nights | 楽園での出来事 |
26 | Shockwave, Part I | 暗黒からの衝撃波(前編) |
シーズン2
番号 | 原題(英語) | 日本語版題名 |
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27 | Shockwave, Part II | 暗黒からの衝撃波(後編) |
28 | Carbon Creek | スプートニクの飛んだ夜に |
29 | Minefield | 許されざる越境 |
30 | Dead Stop | 謎の自律浮遊基地 |
31 | A Night in Sickbay | 小さな生命の灯 |
32 | Marauders | 招かれざる訪問者 |
33 | The Seventh | 封印された記憶 |
34 | The Communicator | 危険なコンタクト |
35 | Singularity | 三重星系の誘惑 |
36 | Vanishing Point | 転送空間の恐怖 |
37 | Precious Cargo | 眠る女の謎 |
38 | The Catwalk | 嵐を告げる男達 |
39 | Dawn | 熱き夜明け |
40 | Stigma | 消せない汚名 |
41 | Cease Fire | 戦場の絆 |
42 | Future Tense | 沈黙の漂流船 |
43 | Canamar | 地獄への護送船 |
44 | The Crossing | 光の意志 |
45 | Judgment | 反逆の法廷 |
46 | Horizon | 兄弟の地平 |
47 | The Breach | 理由なき憎しみ |
48 | Cogenitor | 第3の性 |
49 | Regeneration | 覚醒する恐怖 |
50 | First Flight | 運命の飛行 |
51 | Bounty | 狙われた首 |
52 | The Expanse | 帰還なき旅 |
シーズン3
番号 | 原題(英語) | 日本語版題名 |
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53 | The Xindi | トレリウムD |
54 | Anomaly | オサーリア人の襲撃 |
55 | Extinction | 突然変異 |
56 | Rajiin | 美しき潜入者 |
57 | Impulse | 幽霊船 |
58 | Exile | 孤独な亡命者 |
59 | The Shipment | 兵器工場潜入 |
60 | Twilight | 留められない記憶 |
61 | North Star | ウエスタン |
62 | Similitude | ライサリア砂漠幼虫 |
63 | Carpenter Street | デトロイト2004 |
64 | Chosen Realm | 選ばれし領域 |
65 | Proving Ground | アンドリア人の協力 |
66 | Stratagem | 策略 |
67 | Harbinger | 新たなる脅威の兆し |
68 | Doctor's Orders | フロックス船長の孤独 |
69 | Hatchery | トゥポルの反乱 |
70 | Azati Prime | 爬虫類族の攻撃 |
71 | Damage | 球体創造者 |
72 | The Forgotten | デグラの決断 |
73 | E2 | エンタープライズ2 |
74 | The Council | 評議会の分裂 |
75 | Countdown | 地球攻撃10時間前 |
76 | Zero Hour | 最終決戦 |
シーズン4
番号 | 原題(英語) | 日本語版題名 |
---|---|---|
77 | Storm Front, Part I | 時間冷戦(前編) |
78 | Storm Front, Part II | 時間冷戦(後編) |
79 | Home | ヒーローたちの帰還 |
80 | Borderland | ボーダーランド |
81 | Cold Station 12 | コールド・ステーション |
82 | The Augments | 野望の果て |
83 | The Forge | 狙われた地球大使館 |
84 | Awakening | 陰謀の嵐 |
85 | Kir'Shara | バルカンの夜明け |
86 | Daedalus | 亜量子転送 |
87 | Observer Effect | 死の観察者 |
88 | Babel One | バベル1号星 |
89 | United | ロミュランの陰謀 |
90 | The Aenar | 氷窟の民 |
91 | Affliction | クリンゴンの苦境 |
92 | Divergence | 優生クリンゴン |
93 | Bound | 誘惑の甘い罠 |
94 | In a Mirror, Darkly, Part I | 暗黒の地球帝国(前編) |
95 | In a Mirror, Darkly, Part II | 暗黒の地球帝国(後編) |
96 | Demons | テラ・プライム(前編) |
97 | Terra Prime | テラ・プライム(後編) |
98 | These Are the Voyages... | 最後のフロンティア |
その他
ラッセル・ワトソンが歌うオープニング曲「ホェア・マイ・ハート・ウィル・テイク・ミー」 (Where my heart will take me) は、映画『パッチ・アダムス』のエンディングで流れるロッド・スチュワートが歌う「フェイス・オブ・ザ・ハート」 (Faith of the Heart) に若干のアレンジを施したものである。ヴォーカルの入った曲が、スタートレックのシリーズのテーマ曲に使われたのは、初めてである。
最終話では「宇宙、それは最後のフロンティア...(Space, the final frontier…)」に始まるシリーズお馴染みのナレーションをジャン=リュック・ピカード(パトリック・スチュワート)、ジェームズ・T・カーク(ウィリアム・シャトナー)、ジョナサン・アーチャー(スコット・バクラ)が語り繋ぐ演出がとられた。原語版ではピカードとカークの台詞はオリジナルからのアーカイブ音声。日本語吹替版ではスーパー!ドラマTV放映時はアーチャー役の谷口節が単独で担当していたが、DVDではピカードとカークのオリジナルキャストである麦人と矢島正明[2]が起用され録り直しが行われた。
脚注
外部リンク
- Enterprise - IMDb(英語)
- Enterprise(Memory Alpha)
- 各話あらすじ - スーパー!ドラマTV
- スタートレックDVD日本語公式サイト