シクロオクタテトラエン | |
---|---|
all-cis体 | |
一般情報 | |
IUPAC名 | シクロオクタ-1,3,5,7-テトラエン [8]アヌレン |
分子式 | C8H8 |
分子量 | 104.149 |
形状 | 黄色液体 |
CAS登録番号 | 629-20-9 (all-cis体) |
SMILES | C1=CC=CC=CC=C1 |
性質 | |
密度と相 | 0.919 g/cm3, 液体 |
沸点 | 142 °C |
シクロオクタテトラエン (cyclooctatetraene, C8H8) は、環状炭化水素の一つ。アヌレン類のひとつであり、[8]アヌレンとも呼ばれる。1905年にリヒャルト・ヴィルシュテッターによって初めて合成された化合物である。アセチレンをテトラヒドロフランに溶解させて(シアン化ニッケル)を触媒として15~25気圧に加圧し、加熱しながら重合させて得られる。通常は二重結合が全てシス型の (1Z,3Z,5Z,7Z)-シクロオクタテトラエンを指す事が多い。
性質
シクロオクタテトラエンは4個の共役二重結合をもつが、分子構造ではベンゼンのように全原子が同一平面上にあるのではなく、二重結合が全てシス型のものは共鳴による安定化がほとんどなく芳香族としての性質を示さない。よって炭素原子間の距離は全部同じではなく、また付加反応が起こりやすい。これらの性質は、シクロオクタテトラエンのπ電子の数が8個でありヒュッケル則に反するためである。
しかし、カリウムと反応させると、カリウム原子二つと結合する際に二つ電子を受け取ってジアニオン(シクロオクタテトラエンジアニオン)となり、π電子数が10となってヒュッケル則を満たすことから芳香族性を持つようになる。同様の例としては、シクロオクタテトラエン分子2つがウランと結合したウラノセンがある。