サヴァ川(サヴァかわ、セルビア語: Сава、クロアチア語: Sava、ドイツ語: Save、ハンガリー語: Száva)は、東ヨーロッパを流れる川である。ローマ時代にはSavusと呼ばれていた。
地理
スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビアの各国を流れ、セルビアの首都ベオグラードでドナウ川に合流する。この川がバルカン半島の北端の付け根とされることが多い。
サヴァ川には主な水源が2つあり、ともにスロベニア北西のアルプス山脈に存在する。1つの水源はクランスカ・ゴーラ近郊の(サヴァ・ドリンカ)の泉である。「小さいサヴァ」を源とするもう1つの支流は、一度(ボヒニ湖)に流れ込み、(サヴァ・ボヒニカ)として流れ出ている。両支流は(ラドヴリツア)で合流し、(サヴァ谷)を流れていく。
中下流部の蛇行するサヴァ川の沿岸に氾濫原が発達しており、川沿いに河畔林、湿地、草地、ヨシ原と三日月湖が多い。川およびその沿岸には(Ranunculus lingua)、(ウォーターヴァイオレット)、(Urtica kioviensis)、ヨシ、ヤナギ、ポプラ、オークなどの植物が生え、シュバシコウ、ヘラサギ、メジロガモなどの鳥類、ドナウイトウ、コイ、(Umbra krameri)、(Gymnocephalus schraetser)、(Zingel streber)などの魚類、ユーラシアカワウソ、ヨーロッパビーバーなどの哺乳類およびファイアサラマンダー、(ダルマチアアカガエル)、ヨーロッパヌマガメ、(ヌマカイメン)、貧毛綱のRynchelmnis limnosela、(ダニューブクシイモリ)などが生息している。ボスニア・ヘルツェゴビナとの国境に近いクロアチアの(ロニスコ・ポリェ自然公園)[1]、ボスニア・ヘルツェゴビナ北部の(バルダチャ湿地)[2]、セルビアのスレムスカ・ミトロヴィツァ付近の(ザサヴィツァ湿地)および(オベドスカ沼地)はラムサール条約登録地である[3][4]。
主な支流としては、リュブリャナで合流するリュブリャニツァ川、(サヴィーニャ川)、クルカ川、(ソトラ川)、クパ川、ウナ川、ヴルバス川、ボスナ川、ドリーナ川などがある。
歴史
歴史的にサヴァ川より北側はヴォイヴォディナに相当し、ヴォイヴォディナはハンガリー王国の歴史的地域に相当する。ハンガリー王冠は1526年以降、ハプスブルク家によって世襲されたため、第一次世界大戦が終結する1918年までハプスブルク君主国に内包された。
第一次世界大戦時にはサヴァ川がオーストリア・ハンガリー帝国とセルビア王国の国境であった。即ち、セルビアの首都であるベオグラードはサヴァ川を挟んで、オーストリア・ハンガリーと直接対峙していたことになる。このため、オーストリア・ハンガリー軍がサヴァ川を渡河してベオグラードに侵攻するのが、この方面の戦線でのハイライトになった。
流域の都市
サヴァ川は、以下の都市を流れる。
航行
サヴァ川は、クパ川が合流するシサクまで船でさかのぼることができる。小さな船であれば、さらに上流まで行くこともできるが、気象条件などにより深さなどが変動するため一概には言えない。
文学
19世紀のスロベニアの詩人フランツェ・プレシェーレンは、有名な英雄叙事詩 "Krst pri Savici" を書いている。
脚注
- ^ “Lonjsko Polje Nature Park | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2020年2月11日). 2023年4月12日閲覧。
- ^ “Bardaca Wetland | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2007年2月2日). 2023年4月12日閲覧。
- ^ “Zasavica | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年3月13日). 2023年4月12日閲覧。
- ^ “Obedska Bara | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (1977年3月28日). 2023年4月12日閲覧。