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国鉄コキ1000形貨車(こくてつコキ1000がたかしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)に在籍した海上コンテナ輸送用の貨車(コンテナ車)である。
国鉄コキ1000形貨車 | |
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基本情報 | |
車種 | コンテナ車 |
運用者 | 日本国有鉄道 |
所有者 | 日本国有鉄道 |
製造所 | 川崎車輛、富士車輌、ナニワ工機 |
製造年 | 1968年(昭和43年) |
製造数 | 70両 |
消滅 | 1986年(昭和61年) |
常備駅 | 東高島駅、神戸港駅、他 |
主要諸元 | |
車体色 | 赤3号 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 16,320 mm |
全幅 | 2,600 mm |
全高 | 2,013 mm |
荷重 | 41 t |
自重 | 19.0 t |
換算両数 積車 | 4.5 |
換算両数 空車 | 1.8 |
台車 | TR215F |
車輪径 | 860 mm |
台車中心間距離 | 11,100 mm |
最高速度 | 75 km/h |
本形式の元となった試作車であるコサ900形及びコキ9100形、3軸ボギーの試作車であるコキ9300形についてもここで解説する。
概要
1960年代後半、海上コンテナの鉄道輸送が検討された。それを受けて1967年(昭和42年)に海上コンテナ輸送用の貨車が2種類試作され、21t積のコサ900形と41t積のコキ9100形が製作された。ISO規格コンテナ(ISO1A形・ISO1AX形・ISO1B形・ISO1C形・ISO1D形)及びISO規格外のマトソン(M形)及びシーランド(S形)の輸送を考慮したものとし、これらコンテナに対応したツイストロック式緊締装置を四隅に備え、車体側の金具は共用可能とされていた[1]。衝撃に弱い海上コンテナを保護する観点から大容量油圧緩衝器を装備した。量産車は積載効率の面から41t積とし、コキ1000形が1968年(昭和43年)に登場した。
形式別概説
コサ900形
21t積の海上コンテナ用貨車の試作車で1967年(昭和42年)に2両(コサ900 - コサ901)が製作された。積載するコンテナはISO1C形1個もしくはISO1D形1 - 2個積とした。台車はTR63B。ブレーキ装置はKSD形積空ブレーキと両側側ブレーキである。
コキ9100形
41t積の海上コンテナ用貨車の試作車で1967年(昭和42年)に2両(コキ9100 - コキ9101)が製作された。コキ9100は川崎車輛で製造され、コキ9101は 日本車輌製造、輸送機工業グループにて製造された。軸重15tを許容した幹線用の運用制限車として設計され、積載するコンテナはISO1A形・ISO1B形・M形・S形の場合はいずれか1個積でISO1C形については1 - 2個積とした。台車はTR63E。ブレーキ装置はASD形積空ブレーキと手ブレーキである。
コキ1000形
41t積の海上コンテナ用貨車の量産車で1968年(昭和43年)から1969年(昭和44年)にまでに70両(コキ1000 - コキ1069)が川崎車輛、富士車輌、ナニワ工機のグループにて製作された。本形式ではX形[2]の積載にも対応し、積載するコンテナはISO1A形・ISO1B形・M形・S形X形の場合はいずれか1個積でISO1C形については1 - 2個積とした。台車はTR215F。ブレーキ装置はASD形積空ブレーキと手ブレーキである。
コキ9300形
61t積の海上コンテナ及び10tコンテナ用貨車の試作車で1974年(昭和49年)に1両(コキ9300)が製作された。全自動化システムに対応したコンテナ車の試作車で5tコンテナの積載は考慮されていない[3]。積載するコンテナは10tコンテナ1 - 3個とし、海上コンテナであればISO1A形は1個、ISO1B形は1 - 2個、ISO1C形については1 - 3個積とした。緊締装置はISO規格のツイストロック式とダボ式で18個ある。台車は総重量90tに達したため、3軸ボギーとしたTR902とし、ブレーキ装置はCL方式(応荷重装置付自動空気ブレーキ)で最高速度はコキ50000形合わせるため、95km/hである。連結器は密着自動連結器とし、緩衝器はシリコン緩衝器とした。
運用の変遷
本形式は(チキ5000形(2代))ととも海上コンテナ輸送に使われたが、需要が伸び悩んだこともあり、一時は1970年(昭和45年)に設定された隅田川駅 - 西岡山駅間の山陽ライナーにコキ5500形8900番台と混用され、コキ50000形が登場するまで10tコンテナ輸送に使われた時期もあった。1986年(昭和61年)度までに全車除籍され、JRには車籍を継承されなかったが、車両自体はJR化後も残っていたこともあり、他形式に改造された車両もあった。
改造車
クキ900形
タンクローリーピギーバック輸送用の貨車で1989年(平成元年)に1両がコキ1000形より改造された。
チキ1000形
MDI(メチレンビスフェニルイソシネアート)積コンテナ用の 41 t 積の長物車で1989年(平成元年)に2両が新製名義で製作されたが実際はコキ1000形(コキ1025、コキ1034)よりの改造製作車両であった。国鉄時代に製作した同一形式名の(チキ1000形)とは別の車両である。日本陸運産業所有の私有貨車として製作され、車両自体はコンテナ車そのものであるが、日本貨物鉄道(JR貨物)の私有貨車制度の制約により、コンテナ車の私有所有が認められなかったため[4][5]、車籍編入の条件のために、特定コンテナの積載専用とする長物車に分類された[6][7]。2両1ユニットで運用され、1両目に 20.5 t 積MDI専用タンクコンテナを2個、2両目に電源コンテナ[8]1個と 24 t 積MDI専用タンクコンテナを積載する。1両目と2両目の間にはジャンパ線で接続され1両目コンテナへ電源(AC220 V)を供給する。1997年(平成9年)に形式消滅した。
譲渡車
1993年(平成5年)、4両(コキ1014、コキ1018、コキ1005、コキ1011)が名古屋鉄道へ譲渡され、レール輸送用長物車に改造され、チキ10形となった。2014年にはEL120形導入に伴い、機関車の間に貨車を連結した状態でも、前位側の機関車の運転台から後位側の機関車の制御を行う総括制御を実施する為、制御線の引き通し栓を増設する改造を行った。
脚注
- ^ 実際には緊締不能になるものもあった(特にS形)。
- ^ 後にISO規格コンテナとなり、1AA形となった。
- ^ 後に日本貨物鉄道(JR貨物)が製作したコキ100系では海上コンテナ、10tコンテナだけでなく5トンコンテナの積載にも対応している。
- ^ ネコ・パブリッシング『レイルマガジン』 吉岡心平 「プロフェッサー吉岡の私有貨車セミナー 第2回」 - 1993年9月号 No.120 p.74
- ^ 私有貨車のコンテナ車は1996年(平成8年)に残土積コンテナ輸送用のコキ104形5000番台が登場しているが、こちらは転用を見込んで例外的に製作された車両であり、輸送終了後はJR貨物に譲渡され、一般車と混用されている。
- ^ ネコ・パブリッシング『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑 復刻増補版』p.313
- ^ 国鉄時代に製作したチキ80000形も同様の理由で長物車に分類されている
- ^ 電源コンテナはC20形コンテナを改造したものであり、ディーゼル発電機を2台搭載し、タンクコンテナの電気ヒーターに供給するものであった。
参考文献
は列挙するだけでなく、(脚注)などを用いてしてください。 |
- イカロス出版
- 『J-train』吉岡心平「昭和50年の貨車情勢」2008年 Vol.31
- ネコ・パブリッシング
- 『Rail Magazine』吉岡心平 「プロフェッサー吉岡の貨車研究室 - コサ900形・コキ9100形・コキ1000形」2008年10月号 No.301
- 『Rail Magazine』 吉岡心平 「プロフェッサー吉岡の貨車研究室 - コキ9300形」2009年2月号 No.305
- 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑 復刻増補版』 2007年
関連項目
- 国鉄の車両形式一覧
- 国鉄タキ43000形貨車 - タキ143645の台車はコキ1000形から流用している。