グリーンイグアナ(Iguana iguana)は、爬虫綱有鱗目イグアナ科グリーンイグアナ属に分類されるトカゲ。グリーンイグアナ属の模式種。単にイグアナと呼ばれることもある。
分布
ガイアナ、コスタリカ、コロンビア、スリナム、トリニダード・トバゴ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ブラジル、フランス領ギアナ、ペルー、ボリビア、メキシコ、西インド諸島[1][2]
形態
分類
2亜種に分ける説もあるが、明瞭な差異(吻端の角状の突起の有無)がないことや同所的に分布することから亜種を無効とする説が有力[1][2]。
生態
熱帯雨林に生息し、水辺を好む[2]。水面に張り出した樹上にいることが多い[1]。泳ぎがうまく、危険を感じると水に飛び込んで逃げる[2]。陸上で外敵に襲われると、かみついたり尾を打ちつけたりして応戦する[2]。
各部の名称
頭から尻尾にかけて棘のような、たてがみ状のうろこが発達しており、これをクレストという。また、喉から首下にかけて、皮膚のたるみがありこれをデューラップという。これらのクレスト、デューラップは興奮するときに逆立ち、広がる。
人間との関係
日本では流通量が多く遺棄された場合に定着する可能性があり、生態系への影響が懸念されるため生態系被害防止外来種に指定されている[a 2]。石垣島では既に定着している可能性があるとされ[a 2]、実際に日本テレビのバラエティ番組『ザ!鉄腕!DASH!!』では、出演者らが石垣島で野生化したグリーンイグアナを捕獲し、その後料理するという企画が2度にわたり放送されている[3][4]。
ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。主に幼体が安価で流通する[1]。テラリウムで飼育される。ケージとして観葉植物用の温室や、大型犬用のケージなどのような大型かつ頑丈でさらに高さがあるものを用意する[1][5]。温室を用いる場合はガラスを尾で叩き割った例もあるため、アクリルなどの割れにくい素材に差し替えることが望ましい[1]。低温に弱いため[1]、複数の暖房器具を用いるかエアコンなどでケージを設置した部屋ごと保温する[5]。乾燥にも弱く幼体や小型個体は大きな水入れを設置し、大型個体に対しては加湿器を設置したりこまめに霧吹きを行い湿度を上げる[1][5]。紫外線要求量は高く、日光浴をさせたり紫外線照射量の高い照明器具を照射する[1][5]。餌としては野菜や果実などを与える[1][5]。飼育下では配合飼料にも餌付き、専用の配合飼料も市販されている[1][5]。大型種の上に成長が早いため、大型の飼育設備が用意できない限り一般家庭での飼育にはむかない[1]が、一般家庭での飼育個体が逃げ出し大捕り物となる(2022年4月15日の兵庫県の事例がある)など問題となることがある。歯や爪によって人にひどい怪我を負わせることもあり、特にオスは繁殖期に性格が狂暴になるため注意が必要[5]。
原産地ではガリナ・デ・パロ(木の鶏)と呼ばれ伝統的に食用にされる[6]。
画像
頭部
脚注
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド トカゲ1 アガマ科&イグアナ科』、誠文堂新光社、2004年、69-70頁。
- ^ a b c d e f g h i j 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、32頁。
- ^ イグアナを食べるのはかわいそう? 『鉄腕DASH』グリル厄介の内容が議論にNEWSポストセブン 2018年1月22日
- ^ TOKIO城島茂、関ジャニ∞横山裕とグリーンイグアナ捕獲リベンジ!『ザ!鉄腕!DASH!!』モデルブレス 2019年2月14日
- ^ a b c d e f g 冨水明 「イグアナという名の誘惑」『ビバリウムガイド』No.36、マリン企画、2007年、10-11、34-36頁。
- ^ Gruson, Lindsey (1989年8月22日). “A Plan to Save Iguanas, and Rain Forests in the Bargain”. The New York Times2020年12月27日閲覧。