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クーリエ:最高機密の運び屋

クーリエ:最高機密の運び屋』(クーリエ さいこうきみつのはこびや、The Courier)は、2020年イギリススパイスリラー映画。監督は(ドミニク・クック)(英語版)、主演はベネディクト・カンバーバッチキューバ危機において重要な役割を果たしたとされる実在のイギリスのスパイで電気技師の(グレヴィル・ウィン)(英語版)の半生を描いている[5]。(「クーリエ」とは情報の運び屋の意)

クーリエ:最高機密の運び屋
The Courier
監督 (ドミニク・クック)(英語版)
脚本 (トム・オコナー)
製作 (アダム・アクランド)
(ベン・ブラウニング)
(ロリー・エイトキン)
(ベン・ピュー)
製作総指揮
  • ドミニク・クック
  • トム・オコナー
  • (グレン・バスナー)
  • (リア・クラーク)
  • ベネディクト・カンバーバッチ
  • (アリソン・コーエン)
  • (アシュリー・フォックス)
  • (ミラン・ポペルカ)
  • (ジョシュ・ヴァーニー)
出演者
音楽 アベル・コジェニオウスキ
撮影 ショーン・ボビット
編集 (ギャレス・C・スケイルズ)
製作会社 (42)
(フィルムネイション・エンターテインメント)(英語版)
(サニーマーチ)
配給 ライオンズゲートUK
キノフィルムズ
公開 2020年1月24日サンダンス映画祭
2021年5月17日
2021年9月23日[1]
上映時間 112分[2]
製作国 イギリス
アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 $15,330,717[3]
1億円[4]
(テンプレートを表示)

ストーリー

1960年。東西冷戦により世界中が核の脅威に晒される中、モスクワアメリカ大使館に、ソ連高官からの密書が届けられた。GRUに所属するオレグ・ペンコフスキー大佐が、アメリカへの亡命を打診して来たのだ。CIAは、たまたまソ連政府内部のスパイを失った直後だった為に、イギリスMI6に協力を求めた。

ペンコフスキーは、妻子を伴ったソ連脱出と、亡命先での厚遇を求めて、政府の機密を漏洩する覚悟を決めていた。MI6とCIAは、怪しまれずにペンコフスキーと接触する人物として、素人を起用する計画を立てた。東欧の国々で工業機械を売る英国人ビジネスマンの(グレヴィル・ウィン)(英語版)をスカウトするMI6。説得され、恐る恐るモスクワヘ向かうウィン。

商用を装いモスクワを訪れるウィンの協力で、2年に渡り情報を送り続けるペンコフスキー。英国とアメリカは、キューバにおけるソ連の秘密作戦を察知した。ソ連はキューバに、アメリカを射程圏内とする核ミサイルの配置を目論んでいたのだ。しかし、西側に潜入中のソ連スパイによって、内通者の存在が示唆され、安全の為にウィンのモスクワ行きは中止された。

1962年。アメリカのケネディ大統領は全世界に向けて、キューバ国内のソ連核ミサイルの存在と、応戦する意志を明らかにした(キューバ危機)。スパイ容疑で調査の手が迫るペンコフスキー。ウィンは、ペンコフスキーを救う為に志願してソ連に向かった。しかし、脱出計画は失敗し、逮捕されるウィンとペンコフスキー。

ソ連の収容所に拘禁されるウィン。スパイの鉄則として一貫して無罪を主張し、耐え続けたウィンは、面会に来た妻から、キューバの核ミサイルが撤去された事実を知らされた。後日、一度だけ対面したペンコフスキーに、「世界を救ってくれた」と告げるウィン。その後、ペンコフスキーは処刑された。

一年半に及ぶ拘束の末に、ウィンは開放され、イギリスでビジネスマンとして生涯を終えた。

キャスト

製作

2018年5月3日、ドミニク・クック監督の新作映画『Ironbark』にベネディクト・カンバーバッチが出演すると報じられた[6]。10月8日、レイチェル・ブロズナハンの起用が発表された[7]。12日、ジェシー・バックリーがキャスト入りした[8]。製作に当たり、物語が描いている当時の実際のスパイ手法を調査して取り入れたとドミニク・クック監督は語っている[9]

撮影・音楽

本作の主要撮影は2018年10月15日にロンドンで始まり、同年12月7日に終了した[10]2019年10月15日、アベル・コジェニオウスキが本作で使用される楽曲を手掛けるとの報道があった[11]

カンバーバッチは後半のシーンの撮影のために3ヶ月間で体重10kgを減らしてリアリティを追求し、丸刈りにするシーンも実際に彼の髪を刈って撮影した[12]

公開・マーケティング

2020年1月24日、本作はサンダンス映画祭でプレミア上映された[13]。27日、ライオンズゲートとロードサイド・アトラクションズが本作の全米配給権を獲得したと報じられた[14]。5月6日、本作のタイトルが『Ironbark』から『The Courier』に変更された[15]。2021年1月28日、本作のオフィシャル・トレイラーが公開された[16]。日本では2021年9月23日から劇場公開された[17]

作品の評価

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「『クーリエ:最高機密の運び屋』は、事実に基づいたスリリングなストーリーと主演のベネディクト・カンバーバッチによる神経質な演技によって、心躍らせる感動的な昔ながらのスパイアドベンチャーを盛り上げている。」であり、172件の評論のうち高評価は86%にあたる148件で、平均点は10点満点中6.9点となっている[18]Metacriticによれば、33件の評論のうち、高評価は24件、賛否混在は8件、低評価は1件で、平均点は100点満点中64点となっている[19]

ワシントン・ポストのアン・ホーナデイ記者は、この映画に4つ星のうち3つを与え、「『クーリエ:最高機密の運び屋』は、ストリーミングサービス向けにますます増えている昔ながらのスパイスリラーを、スマートでスタイリッシュに表現している。謙虚で丁寧に作られており、そのような映画は最近希少である。」と述べている[20]バラエティ誌に書いているピーター・デブルージュは、この映画を「定義によると退屈だが堅実なスパイ物語」と呼び、「『クーリエ:最高機密の運び屋』の魅力は実際の出来事に基づいていることであり、その背景にある歴史は共有されるべきものである」と述べた[21]。米ウェブサイトVultureは、本作の脚本が「ウィンとペンコフスキーの関係に、秘密の恋愛のような微妙なオーラを与えている。」と評した[22]英インデペンデント紙は、「脚本家トム・オコナーは、キューバ・ミサイル危機から焦点を遠ざけ、その脅威を背景としつつ、2人の男の絆の成長の物語に仕上げている。」と評している[23]

出典

  1. ^ “ベネディクト・カンバーバッチ主演、『クーリエ:最高機密の運び屋』9.23公開決定”. シネマトゥデイ. (2021年7月13日). https://www.cinematoday.jp/news/N0124669 2021年7月13日閲覧。 
  2. ^ “クーリエ 最高機密の運び屋”. 映画.com. 2021年7月14日閲覧。
  3. ^ “Ironbark (2021)” (英語). The Numbers. 2021年7月14日閲覧。
  4. ^ キネマ旬報』 2022年3月下旬特別号 p.43
  5. ^ MINAMI (2020年5月8日). “ベネディクト・カンバーバッチ主演の実話スパイ・スリラー、米国公開日が決定”. THE RIVER. https://theriver.jp/tho-courier-us-date/ 2021年3月15日閲覧。 
  6. ^ Wiseman, Andreas (2018年5月3日). “Benedict Cumberbatch To Star As Cold War Spy Greville Wynne In FilmNation Thriller ‘Ironbark’ — Hot Cannes Pic” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2018/05/benedict-cumberbatch-to-star-as-cold-war-spy-greville-wynne-in-filmnation-thriller-ironbark-hot-cannes-pic-1202381812/ 2021年3月11日閲覧。 
  7. ^ N'Duka, Amanda (2018年10月8日). “‘Mrs. Maisel’ Star Rachel Brosnahan Joins Benedict Cumberbatch In ‘Ironbark’” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2018/10/mrs-maisel-rachel-brosnahan-benedict-cumberbatch-ironbark-1202478377/ 2021年3月11日閲覧。 
  8. ^ Grater, Tom (2018年10月12日). “Jessie Buckley joins Benedict Cumberbatch, Rachel Brosnahan in 'Ironbark' (exclusive)” (英語). ScreenDaily. https://www.screendaily.com/news/jessie-buckley-joins-benedict-cumberbatch-rachel-brosnahan-in-ironbark-exclusive/5133552.article 2021年3月11日閲覧。 
  9. ^ “「第三次世界大戦」を回避せよ──キューバ危機の裏で暗躍したスパイは、ただの英国人セールスマンだった”. クーリエ・ジャポン. 2022年2月4日閲覧。
  10. ^ “Ironbark” (英語). Production List. Film & Television Industry Alliance. 2021年3月11日閲覧。
  11. ^ “Abel Korzeniowski to Score Dominic Cooke’s ‘Ironbark’” (英語). Film Music Reporter. (2019年10月15日). http://filmmusicreporter.com/2019/10/15/abel-korzeniowski-to-score-dominic-cookes-ironbark/ 2021年3月11日閲覧。 
  12. ^ “【ネタバレ】『クーリエ:最高機密の運び屋』ベネディクト・カンバーバッチ衝撃展開のウラ側”. THE RIVER. https://theriver.jp/the-courier-bts/2/ 2022年2月5日閲覧。 
  13. ^ Siegel, Tatiana (2019年12月4日). “Sundance Unveils Female-Powered Lineup Featuring Taylor Swift, Gloria Steinem, Abortion Road Trip Drama” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/sundance-2020-unveils-female-powered-lineup-taylor-swift-gloria-steinem-films-1259538? 2021年3月13日閲覧。 
  14. ^ Fleming, Mike Jr (2020年1月27日). “Lionsgate Closing U.S. Deal On Benedict Cumberbatch Cold War Thriller ‘Ironbark’ – Sundance” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2020/01/lionsgate-closing-u-s-deal-on-ironbark-sundance-1202842639/ 2021年3月13日閲覧。 
  15. ^ McClintock, Pamela (2020年5月6日). “Benedict Cumberbatch's 'The Courier' Lands August Release in Theaters” (英語). The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/news/benedict-cumberbatchs-courier-lands-august-release-theaters-1293643 2021年3月13日閲覧。 
  16. ^ “The Courier Official Trailer In Theaters March 19” (英語). YouTube. RoadsideFlix (2021年1月28日). 2021年3月13日閲覧。
  17. ^ “映画『クーリエ:最高機密の運び屋』公式サイト”. 2022年2月4日閲覧。
  18. ^ "The Courier". Rotten Tomatoes (英語). 2021年7月13日閲覧
  19. ^ "The Courier" (英語). Metacritic. 2021年7月13日閲覧。
  20. ^ Hornaday, Ann (2021年3月17日). “'The Courier' is a throwback to the kind of solid yet fun spy thriller they don't make anymore” (英語). The Washington Post. https://www.washingtonpost.com/goingoutguide/movies/the-courier-movie-review/2021/03/16/8173e2e4-860c-11eb-8a8b-5cf82c3dffe4_story.html 2022年2月4日閲覧。 
  21. ^ Debruge, Peter (2020年1月24日). “'Ironbark': Film Review” (英語). Variety. https://variety.com/2020/film/reviews/ironbark-review-benedict-cumberbatch-1203479560/ 2022年2月4日閲覧。 
  22. ^ Ebiri, Bilge (2021年3月19日). “The Courier Is an Old-Fashioned Spy Thriller Elevated by Two Great Performances” (英語). Vulture. https://www.vulture.com/article/review-the-courier-spy-movie-benedict-cumberbatch.html 2022年2月4日閲覧。 
  23. ^ Loughrey, Clarisse (2021年8月13日). “The Courier review: Benedict Cumberbatch excels in an otherwise predictable Cold War tale” (英語). The Independent. https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/films/reviews/the-courier-review-b1900742.html 2022年2月4日閲覧。 

外部リンク

  • 公式ウェブサイト(日本語)
  • クーリエ:最高機密の運び屋 - キノフィルムズ
  • クーリエ:最高機密の運び屋 - allcinema
  • クーリエ:最高機密の運び屋 - KINENOTE
  • The Courier - IMDb(英語)
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