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クル族 (リベリア)

クル族 (クルぞく、Kru people, クルーとも) は、リベリア内陸部に居住する民族集団。その歴史は、強い部族意識と、占領への抵抗の歴史である。

クル族の男性 (1892年)

もともとクル族は、初期の奴隷貿易商たちの間では、奴隷狩りに反抗する忌々しい部族として知られていた。こうした評判もあり、逃亡や自殺を試みることも多かったことから、クル族の奴隷としての価値は、他のアフリカ人たちよりも低かった[1]

現在のリベリアの一部が独立国メリーランド共和国として存在していたころ(1854年 - 1857年)、貿易を支配しようとしていたメリーランドの入植者たちに対し、クル族は様々な形で抵抗を続けていたが、1856年には(グレボ族)と結んで入植者たちに戦争をしかけた。メリーランドはリベリアの軍事支援を得て反攻し、この抵抗は失敗に終わるが、この戦争を機にメリーランドはリベリアに併合されることになった。

クル族は、グレボ族の一派で海岸部に住むクルメン族とは別の集団であるが、クルメン族も「クル族」と呼ばれることがしばしばあり、混同されやすい。

クル族は、リベリアの数多い民族集団のひとつであり、人口の7パーセントを占めている。クル諸語 (Kru languages) は、リベリアでは大きな言語集団となっている[2]。クル族は、リベリアの社会・政治活動において、(クラーン族)(Krahn)、マノ族 (Mano) と並んで3つの主要な先住民集団のひとつとなっている。

クル族の著名人としては、1990年代に活躍したサッカー選手ジョージ・ウェア[3]、幼少時には「カブー (Kaboo)」という名だった福音伝道者(サミュエル・モリス)(Samuel Morris)などがいる。リベリア共和国大統領エレン・ジョンソン・サーリーフは、クル族、ゴラ族(Gola)、ドイツ系の血を引いている[4][5]モンロビア市長の(メアリ・ブロー)(Mary Broh)は、クル族とバッサ族((Bassa))の血を引いている。モンロビアのクル族地区の知事だったトーマス・ニメン・ボートー他、1952年の大統領選挙ではクル族の(ディドフー・トェ)(Welleh Didwho Twe)が大統領候補として出馬し、アメリコ・ライベリアンウィリアム・タブマン大統領の対抗馬だった。

出典・脚注

  1. ^ Johnston, Harry, and Johnston, Harry Hamilton and Stapf, Otto. Liberia. 1906, page 110
  2. ^ 真島一郎「3-2.民族」アトリエIV. リベリア内戦史資料。
  3. ^ BBC News, "Profile: George Weah"
  4. ^ Reed Kramer, "Liberia: Showered With Enthusiasm, Liberia's President-Elect Receives High-Level Reception in Washington", AllAfrica.com, 11 December 2005
  5. ^ Britannica Online Encyclopedia, "Ellen Johnson-Sirleaf"

参考文献

  • Behrens, Christine, Les Kroumen de la Côte Occidentale d'Afrique, Bordeaux: Centre d'Etudes de Géographie Tropicale, 1974;
  • Brooks, George, The Kru Mariner in the Nineteenth Century: A Historical Compendium, Newark,Del., 1972 (Liberian Studies Monograph Series no.1);
  • Davis, Ronald, Ethnohistorical Studies on the Kru Coast, Newark, Del., 1976 (Liberian Studies Monograph Series no.5);
  • Fraenkel, Merran, Tribe and Class in Monrovia, New York-London: OUP, 1964;
  • Mekeel, Scudder, "Social Administration of the Kru: A Preliminary Survey", Africa 10 (1937) 75-96; 11 (460-68);
  • Massing, Andreas W., The Economic Anthropology of the Kru, Wiesbaden: Steiner, 1980 (Studien zur Kulturkunde 55);
  • Massing, Andreas W., Kru, in The Oxford Encyclopedia of Maritime History, vol.2, 306-309, New York, 2007;
  • Schwartz, Alfred, Peuplement Autochthone et Immigration dans le Sud-Ouest Ivoirien, Abidjan: ORSTOM, 1973;
  • Tauxier, Louis, Les Kroomen de la Forêt de Côte d'Ivoire, Paris: Larose, 1935;
  • Zetterström, Kjell, Ethnographic Survey of Southeastern Liberia: Preliminary Report on the Kru, Robertsport: Centre of African Culture, 1969

関連項目

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